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映画鑑賞記録005 「DOGMAN」

やだ、涙が止まらない…
“痛み”を共通言語として、映画を通して自身の経験が癒され浄化する経験は何度かあるけれども、リュック・ベッソンの描く“痛み”には私はチャンネルがぴったり合ってしまう。
“レオン”なんて取り扱い注意作品だ。
うっかりそれを忘れて(正直いえば、タイトルに惹かれて怖いもの見たさで観に行った)、止まらない涙で字幕は読めないし、嗚咽しそうなのを必死でハンカチで抑えるあまり、苦しくて、初っ端から大変な鑑賞となった。

リュック・ベッソンの作品の魅力は80、90年代の空気と感じている。
この空気と時代の変化にズレを感じることもあったが、今回の作品で美しい化学反応を起こしたな、と思う。

80、90年代、家父長制、パワーバランスの偏りを、ハートフルなコメディタッチで乱暴にまとめるのがエンタメであった時代に隅に追いやられていた問題は現代に於いて見過ごせなくなってきたと思う。
要領のよさやイジりは通用せず、誠実さや真面目さ、丁寧さがやっと日の目をみる風潮に変わっているのは、個人の間だけではなく、政治や芸能界に起きる事件にも現れている。
まだまだ変化の渦中で、世界中がうねりの中だが、そういう空気とリュック・ベッソンの持つ魅力がやっと合わさった感じがしたのだ。
それが嬉しくて、本作はアカデミー賞ならぬアサデミー賞!なんて喜んでいたところに、ユーリズミックスの「Sweet Dreams」。
もうね、嬉し過ぎて再度洪水!

抱える痛みの重さと愛の深さ、行き過ぎない女性らしさ、それから不安定さを絶妙なバランスで気高く演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、素晴らしかった。
ホント、高貴な映画だよ。

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