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「ここからはじまる、私の役者人生。」 - ゲスト編 #02 赤沼スズさん

こんにちは、小布施短編映画祭広報です。

「わたしと映画祭」ゲスト編では引き続き、小布施短編映画祭に過去に関わってくださった方や応援してくださっている方をご紹介していきます!

昨年の1月、外山文治監督と石橋夕帆監督を講師に迎えた、映像演技ワークショップに、最年少で高校生として参加してくださった、赤沼スズさんにインタビューしました。ワークショップ以来、夢に向かって邁進する様子を取材しました。

インタビュアーは、高橋郷(以下、ごう)、田口暦(以下、こよみ)、石山咲(以下、さき)の3名が務めました。

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まずはワークショップ参加について...

さき スズさんはどうしてワークショップに参加しようと思ったんですか?

スズさん 私、大きなきっかけとかは別にないんですけど、小さい頃から、漠然と役者になりたいって思ってて。でもそれって、一般人が芸能界に憧れるようなそういう気持ちなのかなって、ずっと思ってたんです。でも、進路を考えるってなった時に、どうしても私は役者がやりたいなって気づいて。でも田舎だし、周りにもいうの恥ずかしいし、どうすればなれるんだろう、どうしよう、ってもやもやしてました。私本当は役者やりたいのに、この気持ちを押し殺して、普通の人生を歩むのってどうなんだろうって。
そんなときに、長野市の権堂にある相生座ロキシーっていう映画館で、ワークショップの張り紙を見つけました。「あ、これはチャンスだ」と思いました。張り紙が、もう光に見えましたね。これは奇跡だ!って。

さき 本当に完璧なタイミングだったんですね!おっしゃっていたように、なかなか目指そうと思っても踏み出しづらい、難しいキャリアだと思うのですが、それでもなお目指したいと思うモチベーションはどこからくるんでしょうか?

スズさん 今まであまりうまく行ってない人生というか。まだ18年しか生きてないですけど、学校にあんまり通えなかったり、人とあんまりうまくいかなかった時期があって。それで辛いことを思い出すと、なにくそ精神みたいな。見返してやろう、っていう風には思いますね。それは何事においてもモチベーションになってるかなって思います。

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さき 実際にワークショップに参加して印象に残ってることはありますか?

スズさん 1日目の自己紹介のときに、自己紹介し終わったら、課題だったロミオとジュリエットを一人で演じるっていうのがあって。しかも挙手制だったんです。私、セリフを覚えて、人前で演技をするっていうのが初めてだったので、なかなか手をあげられなくて、結局一番最後になっちゃって。もう、生きた心地がしなかった。セリフも飛んじゃったし、声も出てないし。あ、今まで自信満々で生きてきたの恥ずかしいなって。そういう気づきはありました。でも、やり終えたら吹っ切れちゃいました。いいや、頑張ろうって。今まですごいくだらない見栄はってたけど、そんなの捨てちゃった方がいいって思いました。自分を客観的にみる、じゃないけど。役者さんの中に混ぎれた時に、自分はどんなもんなのかって、ちょっと分かった気がしますね。

あと、最終日の撮影が本当に楽しくって。どんな風に映画って撮影するのか知れたのが本当に嬉しかったです。

こよみ 裏側みたいな感じですね!

スズさん そうそうそう!服の中にマイク入れたりして。そんなことをしてたんだ!と思って。それはすごいわくわくしました。

さき できあがった映像作品を見てどうでしたか?

スズさん まず、こんなふうに私画面に映るんだって。あとやっぱり、自分が思ってるよりも伝わってなかったりしました。最初、席を譲るシーンから始まるんですよ。「どうぞ」って。その「どうぞ」が棒読みすぎて、絶望して、1回パソコンを閉じました笑 それぐらい、思ってるのとギャップがあるなと思いました。だから、センスだけでなくて、技術も必要だなって感じました。

こよみ 私も作品見させてもらって、すごく面白かったです!あの作品に対して、どんな思い入れがありますか。

スズさん あの作品は、死後の世界を舞台にしていて、私は、戦時中に死んだ人の役だったので、全然イメージつかなくて。最初は、「戦時中」という設定は非日常なのかなって思ったんですけど、戦時中に生きている人には、日常じゃないですか。だから、普通の気持ちでもいいかもって気づいて。
で、監督から、自分が生きていた頃を振り返るセリフは、あんまり感情は入れないように、遠い昔の記憶みたいに話してって言われて。何回も本読みをして掴んできました。褒められて嬉しかったから、本番もそのまま喋っちゃいました笑 すごい楽しかったですね。

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                        ©︎植田陽

こよみ 確かに、みんな夢の中みたいな喋り方で、すごい不思議な感じがしました。戦争であったり、死であったり、そんな自分が経験したことのないことを演じる時って、どういう風に役作りをするんですか?

スズさん 例えば、人を殺すとかって、やってみようと思ってもできないから。なるべく自分の人生経験とか、日頃の生活と、うまく重ね合わせるしかないのかなと思っています。なるべく噛み砕いて、実は自分のこの部分と、この部分って、同じような気持ちなのかなとか。いっぱい考えて、考えるしかないかなと思うんですけど。重ね合わせたら、意外とここは一緒かもみたいなことが見えるのかなって。

さき どんな役者になりたいですか?

スズさん きれいとか、かわいい、とかだけじゃなくて、汚いとか、醜いとか、そういう部分も演じられたら、、、んーなんか一丁前なこといってごめんなさい!

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さき そんなことないですよ!でもそれはどうしてですか?

スズさん 人間ってそんなにきれいな生き物じゃないし。でもみんな完璧に生きたがる。そういうもがきの部分とかに個人的にぐっときちゃうので。そういうのを表現できたらかっこいいなと思います。

さき 最近もがきとかを表現していて、ぐっときた演技はありますか?

スズさん 安藤サクラさん主演の、百円の恋っていう映画。あれは、無茶苦茶食らっちゃって。あれは、女優魂だなって。命かけてる感じがしました。私はまだペーペーだから、あれは何年か生きていないとできない演技だなって思いますね。人生経験がやっぱ大事だなって思います。

こよみ 演技する楽しさってどんなことがありますか?

スズさん 私めちゃくちゃ初心者なので、あれなんですけど。セリフ読んで、自分的に解釈をするんですね。これはこういうことなんだろうなって。でも、他の役者さんに聞くと、それがちょっと違ったりするんですよ。それがすごい面白いなって思って。人によって全然解釈違うし、役柄の背景とかも全然違ってくるから、いっぱい他の役者さんとコミュニケーションとるべきだなって思いましたね。

ごう 演技を始めてから変わったことはありますか?

スズさん こういうの演技に使えるかも、感情を覚えとこうって思うようになりましたね。初めての経験をした時に、「私、こういう時ってこういう気持ちなんだ」とか、「こういう時って私こういう顔してるかも」って。エモーショナルな気持ちになった時とか、携帯のメモに事細かに書いて、思い出せるようにしてます。

さき 好きな短編はありますか?

スズさん ミュージックビデオも短編だと思うんです。最近、めちゃくちゃ素敵だと思ったのが、RADWIMPSのそっけない。結構手のアップとか、すごい面白いんですよ。すごいフェチっぽい撮り方。

最後に、みんなから一言ずつ!

スズさん 一長野県民として、映画祭をやって、たくさんの人が来てくれることはすごい嬉しいです。小布施って素敵な町だし、こんな状況ですけど、いろんな人が知ってくれたらって思います。

ごう ご飯を食べてる時、とか、人と話している時、とか、日々の生活を応用して、演技に活かそう、と考えていますよね。夢を成し遂げるために、自分の日常を軸にしようというその姿勢、僕も勉強になりました!

こよみ 演技始めたばっかりっていってたけど、すごい堂々としてて、やりたいことをちゃんともって人に話せてるのがすごいかっこいいなと思いました。スズさんのように、あんまり機会がなかったけど、一歩を踏み出せない人からしたら、すずさんの記事を読んで、自分にもチャンスがあるなって思って欲しいな。

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最後にみんなで記念写真!
こよみ「ごうくん、目つぶってない??」
ごう「いや、味です。」

スズさん、素敵なお話をありがとうございました!今年のワークショップも、誰かが役者を目指すきっかけになればいいなあ。
ご応募お待ちしています!

スズさんが「女優魂を感じた」という作品:
『百円の恋 』(2014) 監督:武正晴

スズさんおすすめの短編作品:
RADWIMPS 『そっけない』 監督: 石田悠介

赤沼スズさん プロフィール
長野県長野市出身、在住
2001年9月27日生まれ
instagram @susiezombie


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