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それぞれの速度があるからさ

「もぅ!早くしてよ!」

そう言いながら、自転車をこぐお母さん。
数年前の私と一緒。


「ねぇ、あんたが出る準備してなかったからこんな時間になったのよ!仕事に間に合わなかったらどうするのよ!」

車の中や、自転車をこぎながら、そう言ってしまう。
うん、わかる。数年前の私だ。


どうしてか、
かなり赤ちゃんのときは、
そんなことを思わないし
言いもしないのに、
ある程度のサイズになってくると
チクチク言っても許される気がしてくる。

「ほら、これができないと大人になれないのよ!」
と見せつけるように、
チクチクと「あなたのせいで遅れた」と言ってしまう。

本心は、

これからは遅れないようにしようね!

と優しく言いたいのに。
口から出る言葉は

あなたのせいで遅れたの。
あなたのせいで遅れたらどうするのよ!
早く用意できないと時間に間に合わないわよ!
時間が間に合わないとか、恥なんだからね


「あなたのせいでこうなった」としか伝わらない。


わたし1人が、
どんなに「早く!早く!」と思っていても「早く」の速度は、実はみんな違うのだ。

わたしにとっては時速200キロで
息子にとっては時速100キロで
娘にとっては時速60キロかもしれない。

同じ「早くしなきゃ」でも、
そもそもの速度が違うと気づいてから
速度の違いを怒っても仕方ないなぁ、と思うようになった。


わたしは、
子どもたちより
ほんの少しだけ先に生まれて、
ほんの少しだけ長く生きてるだけだから
時速200キロが耐えられるわけで。

子どもたちは
時速200キロに
まだ耐えられるボディじゃないだけ。
これから耐えられるようになるかもしれないし、これからも時速60キロかもしれない。

自転車とバイクみたいなもんで
電動自転車は、200キロも出せない。
出したら危ないし、
出すもんじゃない。
車体が壊れたり、モーターがショートしたり
大事故につながるから。

自転車もバイクも変わらないけど
人間がすごいのは、
【成長】という機能が初期設定ですでにあること。

少しの負荷で、
ちゃんと成長していける。


新中1なので、
中学校に行く準備をする息子。
出る前にそんなにバタバタするなら
ギリギリまでゲームするのをやめればいいのに、

と、
大人だからこそ言いたくなる。
でも、きっとこれは息子が自分にかけてる負荷なのだ。
今更「さっき準備しなかったからじゃん」と言っても仕方ないし
「ほら、何を手伝えばいいの?」と先手で動いては意味がない。

「手伝ってー」
と言ってきたときに手伝って
あとから「次は間に合うようにね」と言った方が、2人とも精神衛生上いいのだ。


速度の違いにキリキリしてきたら
深呼吸して周りを見てみる。

本音は「イヤだなぁ」と思いながらも
速度を落としてみるのだ。

そんな思いで周囲を見ると
違った景色が見えてくる気がするから。




ーhave a nice dayー

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