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高校生留学までの道のり

 はじめまして。16歳、高校1年生の息子と10歳小学4年生の娘を持つワーキングマザーです。夫は大阪単身赴任中、1歳になったミニチュア・シュナウザーを含む5人(匹)家族で、日々、お弁当作りと家事と仕事に追われながらサバイバルな毎日を送っています。

 高1の息子は文武両道がウリの中高一貫校に入学し、部活と勉強の毎日を送っています。コロナにより中学の入学式もオンラインで始まり、ろくに学校行事も海外研修もなく中学時代を過ごしてきました。23年の今年になって、初リアルな体育祭や通例の文化祭を体験し、夏にはオーストラリアはブリズベンに約2週間の語学研修にも参加できました。そこでの体験が彼に火を付け、ちょうど今は(11/23・たった今)留学(1年)先候補の1つであるスイスの学校に体験授業と視察に向かう飛行機の中(北極上空)にいます。

 息子は、特に英語に興味もないどころか、英文法もたどたどしかった中学時代から考えると、なぜこんなに英語が好きになり、海外に目が向いてしまったのか親の私にも分かりません。ただ、今思い返すと、幼い頃から幾つかのきっかけはあったように思います。また、そこに様々な大人達からの適時適切な助言もあったかもしれず、それらの一つ一つが数珠繋ぎのように繋がってきたように思います。

 一方で、留学などしたことのない親の私にとっては、何もかもが暗中模索です。正直、よくもまぁ、今こうして学校見学・面談にこぎつけたものだと、火事場の馬鹿力を出している自分に呆れます。それ以上に不安です。まず、ジュネーブで1日3校回れるか(全アポ済みではありますが)、チューリヒでは9時〜15時まで息子は学校のクラスに入り1日体験授業を受けさせてもらいますが、大丈夫なのか、などなど枚挙にいとまがないです。息子と冒険の旅に出てしまった今、「汽車は出発しました。もう、後戻りはできません…」状態です。

 ここからは、留学先選定までの道筋をいくつかのカテゴリーに分けて記します。
(正直、長文ですし、興味のない方には面白くも何ともありません。忍耐力があり、駄文に寛容な方は是非お目通し下さい。読み出すと後戻りできなくなる可能性があります)

1. 留学先の選定
2. ホームステイかドミトリーか
3. 留学支援団体・エージェント
4. 留学したい気持ちの芽生え
5. スイスのボーディングスクール
6. 北欧への留学


1.留学先の選定
 我が家の場合、息子の明確な趣味趣向があり、留学候補国は割と直ぐに決まりました。
【留学候補先条件】
1)夏にオーストラリア語学研修に参加したため、できれば他の国に行ってみたい(オーストラリア以外)
2)「地政学」に興味があるため、文化・宗教が混在した国で英語を学びたい
3)英語が第二外国語の国で学びたい(二外だと「ゆっくり、優しく英語を話してくれる」、というオーストラリアでの経験から)
    4)戦争が起きている最中、世界を仲裁できる国、独自の外交戦略を持つ国で学びたい

その結果が“スイス”と“北欧”でした。

2. ホームステイかドミトリーか
 たまたま夏に行ったオーストラリアでは、偶然、ドミトリータイプの家(そのご家庭では敷地内の母屋や別棟に世界中の大学生をホームステイで受け入れており、さながらドミトリーだった)にお世話になりました。ここで各国から集まった大学生と一緒に過ごした時間が非常に楽しかったことから、ドミトリーに入りたいと話がありました。
一方で、ドミトリータイプですと、学校の夏と冬の長期休み期間や年2、3度ある短期休みの間はドミトリーから追い出されますので、ここが問題となります。ドミトリー生が多い学校ですと、希望制で世界を回るエクスカーションなどに参加できます(別途フィー)。

3.留学支援団体・エージェント
 我が家では国から選んでいるため、その国に派遣のある団体やエージェントを探す必要がありました。最初に頭に浮かんだのはAFSですが、募集締め切りが早く、間に合わず、他の支援先やエージェントを探すことにしました。また、AFSは基本的にホームステイ型でした。ちなみに、多くの支援団体はホームステイ型、所謂、交換留学型となります。加えて国は選べても滞在地域は選べません。やはり、ドミトリー型となるとインターやボーディングスクールになってしまいます。後者は入学も厳しいことはさることながら、金額が桁違いに高いです。とはいえ、先ずは調べてみるだけ調べてみようという気持ちで調べてみることにしました。
※いずれも試験があります。これに受からなきゃそもそも入れません。

4.留学したい気持ちの芽生え
 ここで、留学したい気持ちがどう醸成されたかも考察しておきます。本人が言っていたことと、親として思い当たるものとして幾つか挙げてみました。
これらを要約してポイントをまとめますと、

1)「海外」を身近に感じる機会
 最初に海外旅行に連れていったのは、小学3年生の時、シンガポールでした。従兄弟が移住していたので、従兄弟の家でBBQをしたり、プールで泳いだりしました。次に4年次にはイギリス、5年次にはオーストラリアへ連れていきました。その多くが自炊で、その町のスーパーや市場に買い出しに行き、肉や魚、見たことのない野菜や果物を買い込み、棲む様にステイしてきました。オーストラリア・メルボルンではオーストラリアンオープンの会場となっているテニスコートを日本から事前予約し(誰でも予約できます)、家族でテニスもしました。イギリスでは車を借りて、ロンドンを離れてコッツウォルズやボートオンザウォーターへ。これらの経験の中で、少しだけカタコト英会話で話す体験をし、ちょっと通じた成功体験から、「なんとかなる、自分にもできる」という自信が少しずつ積み上がっていったようにも感じます。また、親の私達の英語があまりに酷く(ガス入り水を頼む際、ジャスチャー付で「プシュ!プリーズ」とか言っている)、それでもなんとかしていること、かつて夫は社会人でしたが3ヶ月の世界一周旅行に出かけ、珍道中を体験したことなどが、息子の海外に対するハードルを下げているようにも思います。更に、私の従姉妹や義理姉などが外国人、息子の従姉妹も外国人でアジアの中学、高校やヨーロッパの大学に行ったことも海外を身近に感じる要素の1つになっているようにも思います。

2)英語が少しずつ分かるようになってきた
 小学校では英検を推奨しており4級を。中学では3級、高1で2級を受験しました。これは学校の方針にぶら下がってきただけにすぎず、結果として英検を受け続けてこられ、ラッキーだっただけです。加えて、現在、息子の英語を見てくれている塾講師の方はかつて「伊藤の英語」として一世風靡した伊藤先生と同時期に駿台の教壇に立たれていた先生で、スラッシュ切りの読み方に対しても造詣のある方です。私は“伊藤英語の隠れ申し子”の一人なため、この先生の指導には信頼を寄せています。その先生のご指導のお陰で、息子の英語力が上がったことも申し添えておきます。

3)知らない事をもっと知りたい。知ることが面白い
 好奇心が人を育む。正にその通りで、地理・歴史・地政学が息子は好きで、特に最近は地政学に興味を持っています。日本人には馴染みの少ない宗教が、政治や戦争に起因しており、その国のあり方、今起こっている戦争を表面だけでなく、深い底から知ってみたいと思っているようです。家庭内でもどうすれば戦争を食い止められるか自分なりの意見を持つことを推奨し、双方の立場から議論してみたりもしました(夕飯時)。ヨーロッパには戦いの歴史があり、宗教や文化が交錯しており、地政学好きな息子にこのヨーロッパで学びたいという気持ちが芽生えたことは、自然でもあります。
ことスイスは、世界一物価が高いと呼ばれて久しいですが、狭い国土でありながら一人当たりGDPが上位にあり、金融と精密機械工業で栄える小さな大国です。周囲を敵国に囲われながら数々の戦火を逃れ、富裕層の子女や財産をかくまった歴史があり、誰もが知る永世中立国です。100年後に人口が1/3に減少し、中国や北朝鮮に隣接する日本が各国と友好的に発展していく上でのお手本国としてスイスが相応しいとも、親として思ったりもします。

4)憧れ
 これはもう理屈ではありません。歴史あるヨーロッパへの憧れ、世界中から学生が集まるスイスへの憧れが彼にはあるようです。アイドルに憧れて自分を磨くのと何ら変わりはありません。さらに、英語を流暢に話すことへの憧れ。これは母親の私にだってある憧れです。憧れる力は偉大なり、です。大いに憧れ、妄想し、なりたい自分になって下さい。

5.スイスのボーディングスクール
 コストの話を最初にします。コストは名実ともに世界一高いと思われます。昨今の円安もあいまって爆騰更新中です。我が家でもここが頭の痛い点です。夫からも当然反対されました。
「何故あえてそんな高い国を選ぶのか」と夫にも言われましたし、自分でもまだ、その気持ちがあります。
「老後に家を建てるのが夢で30年間コツコツ住宅財形で資金を貯めてきましたが、これを全額解約しようと思っています。それでも足りませんので、貯金も取り崩し、私財も投げ売り、自分の老後は無いくらいの気持ちで臨むしかないと思っている」と、夫に話すと、一呼吸おいて夫はこう言いました。
「…昔は、福沢諭吉の親なんかは、家を取り潰してでも、私財を投げ打ってでも子どもの教育に全財産を注いだんだよなぁ。君はそういう覚悟をしているのかぁ…」と。
なんだか、夫のその“福沢諭吉”という言葉に妙に後押しされ、
『そうか、私は、福沢諭吉の母さんと同じだったのか』と勝手な思い込みが噴出し、メキメキやる気が芽生え、スイスの学校選びのエンジンがかかってしまいました。調べるだけ、やれることは何でもやってみよう。試験(面談、英語、数学、エッセイ等)だって受かるか分からないし、ダメもとです。人間、捨て身になると底知れぬパワーが漲ります。一旦、お金は概算だけ頭に入れ、どんな条件で選ぶか息子と話を進めることにしました。
【学校選びの条件】
・1年留学しても学年が落ちない
・世界中から人が集まる
・スポーツができる(スポーツは言葉を超える)
・フランス語圏
・その国や街の活気が感じられる
・環境がよい
これらを踏まえた学校選びは、次回詳しくご説明します。

6.北欧への留学
 北欧は、大使館ホームページを通じ幾つかの団体が派遣をしている事を知り、そちらから情報を集めました。いずれもホームステイ型であり、息子の条件には合いませんが、一旦、候補としてみることになりました。具体的には、ELIからの派遣を考えており、12月にアプライを出そうと考えています。
ELIでは定期的に、昨年、留学を終えた先輩の体験談を聞くこともでき、息子と二人でzoomで参加させていただきました。また、知り合いの息子さんが大学の交換留学でスウェーデンから帰ってきたため、この方からも二人でお話しを聞きました。英語が母国語でない地域での英語習得のイメージがこれらの機会を通じて得られたようでしたし、ドミトリーだけでなくホームステイの話も聞けたこともよかったです。

 この続きはトランジットするアムスで書きます。北極の上からみたオーロラの写真を添付します。オリオン座、北斗七星がハッキリ見えました。