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12月4日に金曜ロードショー『こんな夜更けにバナナかよ〜愛しき実話』が放映されます

本当の喧嘩をしなければ、本当の友達にはなれない。

筋ジストロフィーで自立生活をしていた鹿野泰明さんの生活を描いたルポルタージュ作品、『こんな夜更けにバナナかよ』の作者である渡辺一史さんと、たまにお会いしている。私たちは、大きな喧嘩を三度ぐらいしている。どんな喧嘩だったのか、あまり覚えていないが。渡辺さんは、喧嘩をしてもまた会って話をしたくなる人で、このような関係こそ本当の友人かもしれない。お互いに思うことを言い合うからこそ、喧嘩になり、後でお互いに謝るのだ。

障がい者の自立生活を作ろうと、札幌や道内の障がい者たちが集まって作った札幌いちご会だが、当初から43年間一緒にやってきた澤口京子さんとも、今まで事務所が壊れるほど喧嘩をしてきた。でも、決定的な仲違いにはならなラズ、互いに理解しあうから、今日も彼女は事務所にきた。

12月4日の金曜ロードショーで「こんな夜更けにバナナかよ〜愛しき実話〜」が放映されます。

今週の金曜日、金曜ロードショーで『こんな夜更けにバナナかよ〜愛しき実話〜』が放映される。原作者の渡辺さんに「みんなに見てほしいから、コマーシャルしてね」と言われたので、noteに書いておく。原作の、そして映画の主人公である鹿野さんの紹介は前にも書いているので、詳しくは書かない。

鹿野さんは「札幌いちご会」で会計を担当していたし、札幌の障がい者たちのコミュニティは深くお互いにつながっていた縁もあるので、私も映画の撮影に2度立ち合わせてもらえた。

鹿野さんを演じた大泉洋さんは、映画の撮影の合間を見計らっては、よく私の話を聞いてくださった。最初にロケを見せていただいた時、大泉さんは声を低くして話していた。その演じ方だけを見ていると、まるで、鹿野さんが弱々しい病人であるのように感じられた。映画で描かれているのは、鹿野さんがまだ元気に働いていた頃で、手足の筋肉は衰えても、話し方はまだはっきりしていた。私の覚えている鹿野さんは、とにかく元気がよかった。そのことを、大泉さんに伝えてみた。「その頃の鹿野さんはもっと歯切れのいい話し方をしましたよ」と言うと、彼は深くうなずき、演じ方に取り入れた。私はほんのちょっぴり映画監督になったようで嬉しかった。そして、撮影現場で、大泉さんや監督さんやスタッフの方に優しくしていただいたのも、楽しい思い出に残っている。

この映画には、今は亡くなられた三浦春馬さんも出ている。天国というところがあったなら、鹿野さんは三浦さんに「早く来過ぎたんじゃないか」と怒っているだろう。そのことについては、以前noteに書いた。

鹿野さんは楽しい人生を送り、渡辺さんには素敵な本を書いてもらい、そして映画にもなった。映画や本を読んだ全国の人が、鹿野さんの「誰にも遠慮せず、自分の思うままのことを言う」生き方に共感している。彼の生き方が面白かったので、その人生は、本や映画で何度も生まれ変わりながら、今も生き、これからも生き続けるのだろう。

私もこれからも時折、渡辺さんと会って鹿野さんの思い出や原稿について語り合いたいと思う。喧嘩するほど仲がいいとは言っても、もう会いたくないほどの喧嘩をやらないように気を付けようと思っている。渡辺さんも、お手柔らかにね。

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