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行くなと言われたらますます行きたくなる激安スーパーマンボウ

秋も近づいてきて山々は美しくなってきました。
ある日ヘルパーさんとそのご主人と出かけようと思い、藻岩山に行くか『糸』という映画を観に行くか迷っていました。ヘルパーさんのご主人が「両方行こう」と言い、両方に行く事になり藻岩山から行くことにしました。

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久しぶりに山の空気を吸いました。胸が楽になりました。(ああ、やっと私の来たい所に来れたな。)と喜びでいっぱいでした。少しゆっくりしてしまったので、映画に行くのがちょっと遅くなりました。

しかし映画館はコロナ対策で今は満杯に人が入れなく、私だけは入れるがヘルパーさんは入れないと言われ、一人で見ようか悩みました。トイレに行きたくなったらどうしようと思い、また来ればいいさと映画は諦めました。

激安スーパーマンボウに行く

私の残念そうな顔を見たヘルパーさんのご主人が突然、「小山内さん、マンボウに行こう。」と言いました。なぜこの人は私の行きたい所を知っていたのか、驚きました。そして私は物が安いという札幌で有名なマンボウというスーパーに行った。

マンボウは野菜が安いと有名であり、私の周りの人は皆行っています。しかし前の秘書さん達は「小山内さんはマンボウに行かないほうがいい。入口も段差があり、横幅も狭く入れないよ。小山内さんが無理やり行くと店の段差をなくしたり、歩く幅を広げてくださいと言うので物が高くなるから行かないで。」と冗談なのか本気なのか笑って言っていました。

私はマンボウにはもう行けないと諦めていました。でも今回だけは入口だけでも見てこようと思い、行くことにしました。

マンボウの中は…

行ってみると意外と人が少なく、入口はフラットになり入りやすいものでした。でもやはり人が物を買い、すれ違うことは大変でした。また売り物が高く積んであるので車いすからはなかなか商品が見えにくかったです。でも入口がスムーズに入れたので、私は一瞬満足をしました。

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私はそこでトマトとハムとアボカドを買いました。物は安い物もありましたが、高い物もありました。安心して会計に入ろうとしましたが、会計の場所は幅がとても狭く小さい私の車いすでもやっと通れるものでした。

もしも私の車いすはが自分でこぐものでハンドリム(自分で車いすをこぐ部分)があったなら会計の所は通れなかったでしょう。私は会計の店員さんに、「ここ狭いですね。私の車いすならいいですけど、電動車いすなど幅が少しでも広ければ入れません。1か所でもいいから広いスペースにしてください。社長さんに伝えておいてくださいね。」と大声で言いました。

店員さんが困った顔をして「はい」と言っていました。あの店員さんは困っただろうな、あの人には罪はないのになと思いました。

私の大声に店員さん達は驚いて私を見ていたとヘルパーさんが教えてくれました。もしかしたら、マンボウには車いすの人が初めて入ったのかもしれません。

すっきりして買い物が終わり、出口から出ようとした時ものすごく高い階段が2段ほどあり出るのが怖かったです。車いすを押していた人は体格も良かったので無事に降ろしてくれましたが、汗だくになっていました。また行きたいけれど、出口の階段を考えると行きたくないなと思ってしまいました。

マンボウをバリフリーにする作戦とは

これがバリアフリーのまちづくりの限界であり、車いすを押してくれた人が最後に「小山内さん、これはね、やはり車いすに乗った人が3~4人で行くといいよ。そうしたならいっぺんに変わるかもしれないよ。」と言いました。

昔いちご会はよくそのような運動を行い、地下鉄にエレベーターを付けたことを思い出しました。昔はボランティアがものすごく多くおり、ボランティアさんと一緒にバリアフリーになるように行政と戦いました。

でも今の若い障がい者達はそこまでやらなくても便利のいい店に行けば良いのではないかと思っているのかもしれません。またヘルパーさんまで運動に巻き込み、階段でケガをさせてしまうのではないかという心配をさせながら介助をさせてはいけないと思いました。今のヘルパーさんには時間もなくケガをさせると訴えられるという恐怖感があります。

難しい問題がたくさん出てきますが、街を変えたいのならみんなでマンボウに行きたいですね。少なくとも出口の階段だけは変えてほしものです。混雑しているスーパーにも障がい者は行く権利があると思います。行かないといつまで経っても障がい者の行かないスーパーのままです。

その夜はトマト、アボカド、玉ねぎをマンボウサラダと名付けて食べました。どこにも行っていない日が続いたので、私にとっては『糸』の映画より、マンボウの方が刺激があり心がウキウキしました。


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