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「新型コロナの存在証明を開示請求したら存在しないと回答された」は誤り

[2023/7/6更新]
「新型コロナの存在証明を開示請求したら存在しないと回答された」は誤り。殆どの研究論文は情報公開法が定める行政(法人)文書の開示対象外。「作成も保管もしていない」と回答しただけで「存在しない」と回答したわけではない。新聞でも非常識な請求で迷惑と批判された。

【解説】
 そもそも「作成も保管もしていない」と回答しただけで「存在しない」と回答したわけではない。「酸素の存在証明を出せ」と言っても同じ回答になるが、酸素が世の中に存在しないわけではない。逆に「存在しない証明」を開示請求しても同じ結果なので「存在する」ことになるという単なる屁理屈である。
 また、研究論文は職務上の研究であっても殆どが職務著作にあたらず、著作権は執筆者にある。投稿論文の場合は学会や科学雑誌に著作権が委譲される。感染研ではURLのみを紹介していたが、公知のものなので情報公開の対象外としていた。
 行政文書は「行政(法人)文書管理簿」に登録しなければならないが、このような理由から殆どの研究論文は対象外となり登録されていない。
 つまり、開示請求しても「開示対象外」か「(組織として)保有していない」という回答になる。

【参考情報1】
以下に感染研の回答を記す。
・論文は行政文書に該当しない
・不開示決定は科学的根拠の存在を否定するものではない

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【参考情報2】
「感染研が論文を行政文書と認めた」という記事がファクトチェックサイトの”InFact”にあるが、これは、「職務上取得し、組織的に用いるものとして保有している一部の論文について、今後は開示する」と感染研が回答したもの。それらの論文は既にHPにURLを掲載されているが、「これまでは公知なものとして除外していた考えを改めて、開示対象とする」という意味である。また、「個人で作成したり個人で保有している職務著作以外の論文」は、開示の対象外であるという見解も変わっていない。

◾️InFact 記事
https://infact.press/2023/02/post-21430/
以下抜粋の通りInFact記事でも、厚労省の見解は「職務著作以外の論文は対象外」である。

以下にメディアの報道例を記す。請求者は迷惑行為であると自覚すべき。

◾️2021/11/21読売新聞の記事(抜粋)
「コロナは存在しない」と主張しており、国立感染症研究所や全国の自治体に「コロナの存在を証明する論文」などを情報公開請求。同研究所や自治体から「行政文書として保有していない」「作成していない」との通知書が届くと、画像をSNSに掲載している。
 同研究所の担当者は「存在を証明する論文は国内外で発表されており、請求に対して公開する文書に当たらない」と説明。大阪府にも10件以上、請求があり、担当職員は「府として作成した文書はなく、公開できるものがない」と話す。
 しかし、通知書の画像を添付し、「コロナは茶番。行政も認めた」という投稿が拡散され続けている。
https://www.google.co.jp/amp/s/www.yomiuri.co.jp/national/20211121-OYT1T50023/amp/

以下に情報公開の法律上の定義を記す。

◾️情報公開とは(情報公開法 第2条第2項)
職員が職務上作成・取得した文書、図面、電磁的記録で職員が組織的に用いるものとして、行政機関が保有するもの(行政文書)が対象。開示請求の対象となる行政文書は、行政文書ファイル管理簿を作成して一般の閲覧に供する。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/jyohokokai/

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「開示請求の対象となる行政文書は、行政文書ファイル管理簿を作成して一般の閲覧に供する」
以下に行政機関が管理する行政文書を記す。

◾️行政文書管理簿e-Gov
https://administrative-doc.e-gov.go.jp/servlet/Fsearch
行政文書に該当するかどうかは、当該文書の利用・保存等の状況に照らして機関毎に個別に判断され、行政文書管理簿に登録される。e-Govで検索したところ、厚労省の行政文書管理簿に登録されているのは、公開義務のある科研費の受託研究、法人として契約した治験、所属部門名で実施された研究報告等のみで、研究員名の研究論文は含まれていない。

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◾️法人文書管理簿(厚労省管轄の各研究センター)
行政文書管理簿と同じく通常の研究論文は含まれていない。
[国立がん研究センター]
法人文書の管理に関する定め
https://www.ncc.go.jp/jp/about/org/joho/houjinbunsyokanri.pdf
法人文書ファイル管理簿
https://www.ncc.go.jp/jp/about/org/joho/pdf/Management.pdf
[国立国際医療研究センター]
法人文書ファイル管理簿
https://www.ncgm.go.jp/disclosure/050/300/houjinfile.pdf
[国立循環器病研究センター]
情報開示請求手続きの流れ
https://www.ncvc.go.jp/about/overview/jyohokokai/jyohokokai/
法人文書ファイル管理簿
https://www.ncvc.go.jp/about/bunsyokanrifairu.pdf

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以下に研究論文の著作権について記す。

◾️各研究所HPでの研究論文の扱い
殆どの研究論文は、異なる研究機関に所属する複数の研究員による共著である場合が多く、管理する研究機関が特定できない。また、著作権は投稿した学会や科学誌に委譲されることが多い。情報公開法第二条の「不特定多数の者に販売を目的とする書籍雑誌」に該当するものもある(最近はオープンアクセスも増えている)。従って、研究機関では、論文そのものは開示せず、論文のサマリーと学会や科学誌へのリンクをHPに掲載していることが多い。
eg. 国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/ri/division/molecular_modification_and_cancer_biology/paper/index.html

◾️職務著作が成立する要件(著作権法 第15条)
通常の研究論文は殆どが①③を満たさない。
①法人等の発意にもとづくこと
②法人等の業務に従事する者が職務上作成するものであること
③法人等の名義で公表するものであること
④作成時における契約、就業規則その他に別段の定めがないこと

◾️著作法改正(第42条2項)
未公表著作物について、公益上の理由により開示する場合は、必要と認められる限度において、公表権を害さないとする等の措置が図られる。

この開示対象や論文のことについては、以下のJosephYoiko氏のスレでも詳しく解説されている。

https://note.com/josephyoiko/n/n0d9b295bdaf5

【参考情報3】
以下、ネットで拡散された情報開示請求の事例を解説する。

◾️厚労省への開示請求例
厚労省は研究論文を作成も保管もしない。所轄研究機関(感染研)HPの研究情報を参考として回答したもの。この「感染研HPの研究情報」とは以下URLの「研究情報」の掲載内容全てを指し、或る特定の論文のことではない。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science.html

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◾️感染研への開示請求例
研究論文は行政文書管理簿には含まれない対象外なので「保有していない」と回答したもの。感染研HPには学会や論文誌へのリンク先が掲載されているので、厚労省はそれを回答したということ。
[参考]
“国立感染症研究所における研究データの取扱いに関する基本方針”
論文ではなく、著作権の存在しない「論文に付随する研究データ」が対象となる。
https://www.niid.go.jp/niid/images/PDF/datapolicy/20210408_NIID_datapolicy.pdf

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◾️地方自治体への開示請求例
地方自治体は研究論文を作成しない。其々の情報公開条例に基づき回答したもの。この請求は、魚屋に肉を買いに行くような非常識なこと。

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◾️海外での開示請求例
全て「培養細胞等を使うことなく…」というありえない前提条件を組み込んだ請求のトリック。この無茶な条件を満たすものは無いと回答しただけのこと。
請求文”describing the isolation of a SARS-COV-2 virus, directly taken from a symptomatic patient of COVID-19 where the sample was not first combined with any other source of genetic material (not limited but by way of example monkey kidney cells, aka vero cells , liver cancer cells),”
訳「COVID-19の患者から直接採取したSARS-COV-2ウイルスを、他の培養細胞等(例えばサルの腎臓細胞、ベロ細胞、肝臓がん細胞)を使うことなく分離したことを示す記述」
参照 Yosenapar,PhD@Yosenapar
https://twitter.com/Yosenapar/status/1387512292456108034?s=20

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注)上のCDC回答文は英文に不自然な箇所(“a COVID-COV-1 viruses”等の英文法の誤り)があり公文書の記述としては信憑性に欠けるが敢えてそのまま引用した。

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この海外での請求事例については、以下のYosenapar氏のスレでも詳しく解説されている。

◾️Yosenapar氏
https://twitter.com/Yosenapar/status/1387512292456108034?s=20

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【番外編】

さすがに”永江一石”氏でもこう言う。
 因みにインフルエンザで開示請求をしても全く同じ回答がくる。

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“涼宮アスカ”氏の厚労省問合せデマ
 問合わせた厚労省の窓口担当からは「論文を引用して何かを作成したということなら厚労省のものですが、論文そのものは研究者のものです」と説明されているのだが、本人がそれを認めず、無理矢理に都合の良い言質を引き出そうとしているだけ。

◾️“涼宮アスカ”氏のYouTube書き起こし

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