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音と人生を楽しむ5

※これは「音楽と僕」シリーズの5本目ですが、これだけ読んでも問題は全くありません。

高2の冬は人間不信だった。この頃はどんな曲を聞いていたかあまり覚えていないし、なんとなく記憶がぼんやりしている。私は悩み事があると歩きながら考える癖がある。普段は自転車通学だったが、この頃は車で送ってもらって帰りは1時間以上かけて歩くことがしばしばあった。その時間はずっと音楽を聞いていたはずだが覚えていない。人の記憶とは本当に曖昧なものだなと思う。

気づけば春が来て高校3年生になり、とある人と出会うことになる。今はSNSすら繋がっておらず、私の人生から完全にフェードアウトしてしまった人だ。しかし私は、その人に命を救われたと本気で思っている。その人のおかげで人間不信から脱することができ、夏頃にはすっかり元気になっていた。実際に夏休みごろからは私の記憶がはっきりしてくる。

その人については今回多く書くつもりはないが、何度もカラオケに行ったことを覚えている。前回紹介したRADの「'I' Novel 」は何度もカラオケでリクエストされて歌ったし、同じくRADの「謎謎」もよく歌った。この曲は簡単に言うと、『君は君自身のことを好きじゃないかもしれないけれど、僕にしか見えない美しい君がいるんだよ。』というような曲だ。[なんだ?]というなぞなぞの問いかけを繰り返しながら、その答えにたどりついていく。

幸せな日々はあっという間に過ぎ、気づけば高3の秋になっていた。この時期にVaundy藤井風という素晴らしいアーティストに出会う。RADWIMPSの次に保存している曲が多いのはVaundy、その次が藤井風だと思う。Vaundyは多くの音楽好きと同じように「東京フラッシュ」から入った。藤井風についてはデビュー前からカバー曲をよく聞いていた。ピアノカバーだと「STAY TUNE」(Suchmos)「ハッピーエンド」(back number)あたりが好きだ。藤井風のカバーは素晴らしいものばかりなので、ぜひYouTubeで検索してみて欲しい。

Vaundy「不可幸力」がリリースされ、藤井風が「何なんw」で衝撃的なデビューを飾り、高3の冬はあっと言う間に走り去った。未知のウイルスへの不安感の中で、卒業式はよくわからずに終わり、実感のないままカラオケで「遥か」を歌って卒業した。希望よりも不安を多めに抱えて、それでも人を信じるという強い気持ちを持って、18歳のギリギリ卒業生は実家を離れ、遠くの町へ引っ越していく。その選択は吉と出るか凶と出るか。
音と人生を楽しむ6に続く…

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