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B2|2021-2022シーズン展望#6|青森ワッツ

シリーズ第6回目は青森ワッツです。ここ数シーズンは元気のないイメージですが、昨シーズンは特に残念な結果に終わりました。オフの動きも鈍く、なんだか心配だったのですが、ここへ来て一気に動いて面白そうなチームになってきました。

■2020-2021シーズン

開幕節を1勝1敗でスタートしたものの、そこから悪夢の15連敗。中盤には16連敗、さらにシーズン終盤にも11連敗を喫するなど、ひたすら辛いシーズンを送りました。7勝51敗という成績は、コロナによる外国籍選手の合流遅れなどを考慮しても余りに酷いものです。

その要因はチームとしての形が見出せなかったことにあるでしょう。下山、門馬、佐野、池田とグッドプレイヤーは揃っているものの、各選手の思惑が一致しないままゲームに臨んでしまっている感じで、攻守においてひたすら歯車が噛み合わない。1試合の平均得点もORtgもブービー、失点とDRtgはどちらも最下位という数字がそれを物語っています。点は取れないし、守れない。一体どうすりゃいいんだ? 

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外国籍選手も、シーズンを通して試合に出られたのがほぼスティーブン・ハートだけという有様で、コンディショニングやチームマネジメントにおける課題も露呈。観ているとちょっと気の毒になってくる試合も、一度や二度ではありませんでした。

■オフの動き

正直、どこからどう手を付けていいのかわからなまま突入したオフシーズン。しかし、ポジティブに捉えれば伸び代しかないとも言えました。果たして青森に集まった選手は、なかなかどうして見所の多いメンバーです。

【IN】
藤岡昂希  臼井弘樹  喜久山貴一  伊藤大和
ライアン・リチャーズ  カマーク・カリノ(アジア枠)  
マイケル・クレイグ  レナルド・ディクソン  
■継続
下山大地  門馬圭二郎  野里惇貴  駒沢颯



【OUT】
スティーブン・ハート  オーランド・サンチェス  ダニエル・オルトンビリシベ実会  綱井勇介  池田祐一  寺嶋恭之介  佐野太一  
鈴木悠介
■途中退団
ジョシュア・クロフォード  カイル・バローン


ご覧の通り、残った選手は4人だけ。駒沢は特別指定選手からの本契約なので、実質はルーキー。ほぼ真っさらな新しいチームです。ただ、そこまでな気がしないのは、Bリーグ初年度からチームを支え続ける下山と門馬の2人が残ったためでしょう。このコンビがいるだけで青森って感じがするから、やっぱりチームの顔は大切。

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その2人を核に、取り巻くメンバーがいいじゃないか。藤岡・臼井・喜久山・伊藤と、新加入の日本人選手はみんなチーム事情によって泣く泣く押し出されたという感じで、そういう選手を集めてくる編成は端的に上手い。いずれも前所属チームで実績を残している選手であり、ある程度の活躍は計算できます。

外国籍およびアジア枠のチョイスも面白い。なんと言ってもマイケル・クレイグ。勝手に「B3のガードナー」と呼んでいたのですが、得点力はもちろんのこと、アシスト王に輝いたパスセンスはオフェンスの安定感をもたらすはずです。

ライアン・リチャーズは7フッターながらシュートの上手い現代的なストレッチ系センター。クレイグと一緒に出ると、相手の守備は混乱しそう。さらに、献身的なビッグマンのレナルド・ディクソンをB3鹿児島からピックアップし、荒削りながら身体能力を活かしたプレーが持ち味のカマーク・カリノをアジア枠で獲得。実に多彩なキャラクターが揃いました。どこから見つけて来たんだ?

あ、HCも堀田さんにリニューアルしてるんだった。実はここが一番の未知数だったりする気も。

■今シーズンのロスター

PG|駒沢颯  喜久山貴一  伊藤大和
SG|下山大地  野里惇貴
SF|藤岡昂希  門馬圭二郎
PF|マイケル・クレイグ  カマーク・カリノ  臼井弘樹
C|レナルド・ディクソン  ライアン・リチャーズ
※順不同、ポジションは適当です

ポジションごとに整理するとこんな感じです。いや、これ良くない?

ガードとウィングに偏りすぎていたロスターを整理して、フロントコートに一気に厚みが生まれました。サイズを活かしたボールキープと視野の広いパスセンスが持ち味のマイケル・クレイグをオフェンスの中心に据えて、ハーフコートでしっかりオフェンスを構築できそうです。ディフェンスを収縮させてくれるはずなので、喜久山・下山・藤岡のシュート力が引き出されるはず。スクリーンからポップできるライアン・リチャーズとのピックプレーは守りにくそうだぜ。

チームとしての形を見出すことに苦労していた青森にとって、得点もアシストもリバウンドも、なんでもやってくれるクレイグの加入は福音でしかありません。カテゴリーが変わり、もちろんすべてが通用するとは思わないものの、とにかく起点があることが大事なんだ。起点がなければ周縁もないし、メインがなければオプションも機能しない。青森にはまずそこが欠けていました。

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ディフェンス面はちょっとわからないけど、ハードに守るエースストッパー・門馬がいるのは心強い。そして、クレイグ中心に安定感のあるオフェンスができれば、ターンオーバーから速攻を喰らうような無駄な失点は防げるはずで、ディフェンスにもいい影響を及ぼすような気がします(よう知らんけど)。ちなみに青森は昨シーズンはターンオーバーでリーグワーストなのでした。

■鍵を握る選手
ライアン・リチャーズ

ハイライトを観ていて、もしかするとむちゃくちゃ掘り出し物の選手かもしれないと感じました。健康に過ごせれば、かなりのスタッツを残すんじゃないかと思います。日本では初めてプレーするとあって、何かを示したい気持ちも強いとは思うけれど、スクリーナーやスペーサーとしてクレイグのサポート役を務めながら、リバウンドにアウトサイドシュートに汗をかきまくってほしい。



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