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2021.10.16|奈良@青森|疾きこと風の如し

今シーズンもなかなか勝ち星に恵まれない青森ワッツ。ようやく初勝利を挙げたものの、ここまで1勝5敗。しかし、チームの雰囲気や周囲からの注目度は昨シーズンとはまるで違うのではないでしょうか。

その大きな要因は新外国籍選手のマイケル・クレイグの活躍でしょう。190cm・130kgという規格外のサイズに加えて想定外のスキルとスピード。B3を席捲したリトル・ガードナーはB2でもインパクトは絶大です。

そしてもう1人、ルーキーの駒沢颯選手の活躍が青森ブースターの希望の星となっています。昨シーズン途中に特別指定選手として加わり、ルーキーシーズンの舞台に故郷の青森を選んだ逸材。ホーム開幕戦となった西宮戦から先発すると、いきなりキャリアハイの24得点を叩き出して衝撃を与えました。GAME2ではさすがに警戒されて今野パイセンに体育館裏に呼び出されたのか、思うようにプレーできなかったもののそれでも10得点。ここまで26.5分の出場時間で平均13.7得点、3.5リバウンド、2.0アシストという堂々の成績で、6試合中5試合で2桁得点をマークし、B2の新人王レースをぶっちぎっています。

しなやかな身ごなしからの正確なフィニッシュが持ち味で、スペーシングの意識の高さやコートビジョンの広さも抜群。188cmの長身PGながらドリブルスキルがかなり高く、相手と対峙した時の最初の一歩、ドリブルの突き出しがとにかく上手いんだよね。ボールを置く場所、身体の使い方、ステップの踏み方。この試合でもクレイグのスクリーンによってスイッチしてきた奈良のグレッグ・マンガーノを何度も翻弄していました。

フィニッシュのタッチが合わずに得点こそ11点に終わったものの、圧巻だったのは4Qのゲームコントロール。試合時間残り5分を切ってから、駒沢→クレイグ→臼井(下山)というシーンが3度ありました。いずれもクレイグの絶妙なアシストから得点が生まれた形ですが、そのクレイグのパスを引き出したのは駒沢。クレイグに奈良のディフェンダーが集中することを見越し、自らドライブを仕掛けるなどしてから預けることで、クレイグにパスをさせる間を与える。一瞬ではありますが、クレイグの大きな武器であるパスセンスがあればそれで十分。アシストはもちろんクレイグに付くわけですが、「アシストのアシスト」みたいな感じで駒沢くんに半分あげられないかな。

それまではクレイグとの2メンゲームが多かった青森ですが、勝負を決めたのは駒沢起点・クレイグ経由のプレーでした。しかも、ちゃんとインサイドアウトやハイローの基本に忠実なボールムーブばかりなんだよね。それは言い換えればチームバスケットができているということでもあって、こうしたシーンが今後増えていくようならば、勝ち星も自ずと付いてくるのではないでしょうか。その中心にルーキーがいるのがすごい。

ルーキーや若い選手の良さは、ゲームの勝敗にかかわらず、成長する姿を見られることが、チームを応援する価値になるという点です。地元出身の若きスター候補生の誕生で、青森ブースターは今シーズンは楽しくて仕方がないことでしょう。しかも切れ長の目が印象的な爽やかイケメン。関東の大学で揉まれた現代的なテクニックに、天然由来のタレント性。果たしてそんな選手がB2に何人いるでしょうか。ここからは完全に蛇足ですが、なんとなくB2の方が高齢化が進んでいるような気もします。そんな中にあって、胸のすくような颯爽としたオーラを駒沢選手には感じるのでした。


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