『男は死ぬまで荒野の路上を進め』
一億光年分の価値のある宝物を探しに行く最中、僕は強烈な嵐に襲われた。
風が渦巻き、吠えるような唸りをあげ、風景が輪郭を失い、雪の礫が、僕を殴って、殴って、殴り付けてきた。
それでも僕は倒れなかった。
生きる為に生かすから。
生かす為に生きるから。
生きる為に生きるから。
だから僕は、素手で殴って、殴って、殴り付けてやった。
殴って、殴って、殴り付けたら、目の前に少しだけ道が拓けた。
第一ラウンドのゴングが鳴った。まだまだ始まったばかりだ。
生きている限り、スコップを、つるはしをフルスイングする。
ただ前へ進めという天の声が聞こえる。
宝は荒野の路上に転がっている。
生きている限り、男は荒野の路上を突き進む。
写真 小幡マキ
文 大崎航
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