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『冬は明ける』

強烈な嵐に見舞われたけど、私たちのやることは変わらない。男は一億光年分の価値のある宝物を荒野へ探しに行くとか、いつもふざけたことばかり言うけれど、この日は道や扉を明けるため、真っ先に外へ飛び出して行った。でないと私たちの仕事は始まらないし、何より牛たちの餌場や水場が確保出来ないのだから。

除雪が終わって、ようやく作業がスタートする。第一ラウンドの始まり。私たち労働者は、日々戦闘状態に晒されている。相手は「自然」だ。強大な相手だから、私もスコップやつるはしを振り上げて立ち向かう。

私たちは自然に足並みを揃えつつ、時には真っ向から立ち向かわなければならない。生かさなければならない命を沢山預かっているのだから。

雪が止んだ後、牛舎の明かりや月明かりが雪原を照らしていた。嵐は止んだけど、この冬も後何度かの吹雪を経験すると思う。

けれど、終わらない嵐も明けない冬もない。

写真 小幡マキ

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