日記:マルジェラの映画を観たよ

映画「マルジェラが語る"マルタン・マルジェラ”」を、スキップスキップレディオあきやさんのブログで紹介されているので興味を持って、観てみました。
(アマプラのレンタルで)


マルジェラは絶対に人前に現れないしインタビューも受けないデザイナー。
映画でももちろん顔は映りませんが、声を聞くことができます。

映画ではマルジェラの手元が映し出されます。
手の動きだけでマルジェラの視線と思索が感じられて、それが印象的でした。
バービーちゃんに服を合わせる。空のクローゼットの写真を眺める。
マルジェラがどのようにして服を作るか思案していたかが手の動きからいっぱい伝わってきます。もうそれだけでお腹いっぱい。
モデルさんたちもマルジェラの手が好きって言ってました。

わたしがいいなと思ったのは、脱構築のお話。本質を見極めて再構築するところです。映画の中では解剖に喩えられていました。
服とは何か。どう機能するのか。俯瞰して物事をみているところがすごく好きです。
脱構築でも川久保玲は社会に対する反抗で、マルジェラは服そのものの本質を突き詰めようとしていました。
だから古着を基にしたり、変な場所でショーをしたりしていたのかな。
伝統や権威をもつブランドと、マルジェラのような一代で築き上げたブランドの視点の違いがようやくわかってきました。
タオルのジャケットや靴下のセーター、見ていて楽しすぎる。


マルジェラが顔を出さないことで自分を守ったことは、戦略ではなく本心だったこと。
「有名になりたくない」という気持ち、流行やネットで塞いだ気持ちがひしひしと伝わってきました。
わかるといったら恐ろしいほど烏滸がましいのですが、わたしも目立つのが苦手で、褒められると逆にしんどくなるタイプなので(嬉しいし褒められたいけどなんか照れちゃう)、
マルジェラの気持ちわかる…と思いながら観てました(本当にすみません)。
結果それはミステリーとして話題にもなったし人々の興味を惹きつけたわけだけど、マルジェラが自分の自由のために行動してくれたことが本当に正しくて嬉しい。

職人気質なところも尊敬。わたしも自分のやるべきことをやろうと思えてきました。
何者でもない者になりたいってそういう意味だったのね。

ところでマルジェラは引退して作るものが変わったりしたのかな。今は何に反抗しているのか、発表しないのか、気になります。こつこつと作り続けている姿勢が本当にかっこよかったです。

ブランドのイメージよりも、デザイナーさん個人の考えが気になってきました。他のブランドはどうなのかな。
アレキサンダー・マックイーンの映画もみたいけど、内容がかなり壮絶そうなので慄いています。もう少し後で観たいと思います。


マルジェラといえば足袋ブーツくらいにしか知らなかったけど、今回映画をみて一部だけでもマルジェラの哲学を感じられてとても良かったです。

いつか欲しいな。

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