日記&7月の読書記録&あの映画

こんにちは。
日記と読書の記録と、最後にあの映画の感想です。
ネタバレが嫌な人は注意です。



日記

6月はいろいろやることに追われていて、なかなか外にも出かけられず、インプットが足りない〜と飢えていました。
結局本らしい本を読んだり映画館で映画を観たりしていなくて、ずっとYouTubeでラジオを聴きながら作業していました。
私は疲れてくると犬や猫のような毛のある生き物を触りたくなりますが、家にペットはいないので自分の髪や毛布を触っていました…。
あとは簡単な料理をしたりして気を紛らわせていました。
ずっと建物の中にいると気が滅入るけど、ちょっと外に出て散歩をしたときに風にあたると気持ちいいし、日差しが眩しいけど木陰がありがたい。
そういう感覚もインプットなのかなあって、、


詳細は思い出せないけれど先日誰かのツイートで
『4DXの映画は席が揺れたり飛沫が飛んだり工夫が凝らされているけど、映画館では耳と目と脳みそだけになって浮かんでいるような、体から解放されるような感覚が好きだから、4DXは意識が体に引き戻されてちょっと違うんだよな』(意訳)
という話を読んで、
確かに映画館で体の感覚はなくていいかもと共感したのです。

とはいえ普段も目と耳から入ってくる情報にめちゃくちゃ頼っています。
この文章だってパソコンの画面を見て書いているし。
耳にイヤホン突っ込んでるし。
運動不足だし、体に対して少々無関心かもしれません。
体の感覚、扱いが難しいですね。

本当は視覚も聴覚も触覚も味覚も嗅覚も、全部大事で、
全身で色んなことを感じたい。
夏は砂浜の綺麗な海に行ってのんびりと水面のキラキラを眺めながら、
波の音を聴いて、砂の上を裸足で歩いて、かき氷を食べて、潮風の匂いを嗅いで、貝殻を拾って…
そんな風に過ごしたい。
暑いのは苦手だし日焼けも嫌だけど…。
そのあとで映画を観たり本を読んだりするのが好きです。

当たり前だけど脳みそだけで生きてるわけではなくて、
体があるから不便もたくさんあるけど、体がないと感じられないことをもっとじっくり&思いっきり感じながら生きたいな〜と最近はそんなことを考えていました。



🏖



読書


そんなわけで7月に読んだ本です。

最近は伊藤亜紗さんの本を何冊かまとめて読んでいます。
伊藤亜紗さんは美学や現代アートを専門に研究されている方で、私は去年『どもる体』を読んで伊藤さんを知りました。
体の感覚や運動について考える本を多く書かれています。
伊藤さんのお話はYouTubeでも聞くことができて、面白いのでオススメです。


『手の倫理』

自分の体の中で手が一番好きな部位なので、この本を読んでみました。
運動は苦手だけど、手を動かして何かをするのは好きだし、そういうものに憧れがあります。
ある美術館の学芸員さんが<現代アートは欧米では「視覚」が強くアジアでは「触覚」が強いのではないか>と説いている文章を以前読んで(ふーん)と思って、視覚と触覚の対比が印象に残って気になっていました。

手の「ふれる」と「さわる」行為には能動的な違いがあって、人間同士のコミュニケーションにも大きく関わる。
普段の生活では視覚に頼りきりで、視覚はより精神性が高いと思われがち。
そのため触覚は視覚よりも下に見られやすいけど、触覚だって生きる上で欠かせない、奥の深い感覚です。
手だけでなく体全体で感じることもできるので、目隠しをして二人三脚をしてみたり、場の空気を感じてみたり、お互いの信頼を問うてみたりと様々な使い方がされます。
本は触覚だけの話ではなく『倫理』の話でもあるので、他者との関わり方や介助についてなど、色んなエピソードが紹介されています。

手(触覚)にまつわるエピソードは、人それぞれドラマがあって面白いです。
皆さんのお話も聞いてみたいです。


『体はゆく』

テクノロジーを介して体の限界を越える?!
かもしれないエピソードが紹介されています。
特にはじめの章のピアノを弾く運動について、ピアノを習っていた人が読むと特に面白いんじゃないかなと思います。
演奏が「うまい」と演奏が「うまくいく」の違いとか。
嫌なのに無理して練習してもかえってよくないそうで、体についてわかっているつもりで間違ったことをしていることは多々ありそうです。

できない→できる、わからない→わかるのような変化が、体や頭の中でどう起こっているのか、覗いたことのない体と脳の裏世界が見えた気がしてワクワクしました。
それぞれのテクノロジーを紹介してくれる研究者さん開発者さんのお話もめちゃくちゃ面白いです。
近未来感。


伊藤亜紗さんの本は他にも何冊か借りたので読み終わったらまた書くかもしれません。





そして7月はあの映画が公開されましたね…

ここから先はネタバレにご注意ください。

印象に残ったシーンをそのまま書くので、まだ観てない方は読まないでくださいね〜。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


🤸‍♀️



君たちはどう生きるか



観終わったあと、もうこれでネタバレを気にしなくていいんだという解放感が嬉しかったです。
そしてとてもいい席で観れたのも良かった。
映画館の帰り道は友達と感想を語り合いました。
最高の映画体験でした。
ありがとうございます、宮崎駿監督とジブリスタッフさんたち。
カヘッ。

とにかく観る前はネタバレを避けて、観た後もしばらくは他の人の感想と考察をなるべく摂取しないようにしていました。
友達にめっちゃ楽しんでるねと笑われました。


塔の向こうの世界は、色んなジブリ映画に繋がっているような世界観で、
ナウシカや千と千尋、ハウルやラピュタのようなファンタジーの並行世界みたいでしたね。

対して主人公の眞人が生きる現実は、私たちが生きる現実なんだと思います。
『君たちはどう生きるか』が出版されている世界。
悪意がある世界。
そしてファンタジーの世界へ行った後に、お土産のお守りをポケットに入れて帰ってくる世界でもある。


映画を観た後友達に「カタルシスはあった?」と聞かれたのですが、
私はありました。
(カタルシスって何よと思ってググりました)

カタルシス(古代ギリシア語|古希: κάθαρσις[1]、英: catharsis)とは、哲学および心理学において精神の「浄化」を意味する。
引用元:(wiki)

お母さんが死んじゃって、お父さんは戦争で儲けていて空気が読めなくて、
継母のお腹には弟か妹がいて、引っ越し先の同級生とはうまくやれそうもなくて、
自分で自分を傷つけてしまう。
誰かが悪いわけじゃないけど、なぜかうまくいかない悲しさ。

だけどファンタジーの世界でひみやキリコさんや青鷺と出会い、
元の世界で生き続けることを選んだ眞人。

どんな人にも悪意や罪があるけどそれを否定しない、
優しい映画だなーと思いました。

とくに好きなところ



好きなシーンはジャムパンを食べるひみと眞人のシーンです。
眞人は夢の中でも引っ越し先でもお母さんのことをずっと探していて、
子供だし当然なんですけど大人でもいない人のことを探すもので、
自分のことを知らない子供時代のもういないお母さんに会うなんて…
ジャムパンの味、忘れられないだろうな。
明るくて幸せだけど寂しくて、すごく好きなシーンです。


映画では最後の方のセリフでいっぱい詰め込まれていたけど、
眞人が元の世界を選んで、「友達をつくるよ」と宣言するセリフも好きです。
サラッというけど、大事なことですね…。
これぞタイトルのことだよなあと思って観てました。


全体的に不思議で難解でシリアスな映画でしたが、青鷺やお婆さんたちやお父さんやインコたちなどギャグ要素がいつもうっすらあるような感じがすごく好きでした。
特にお父さんとインコの憎めない感じがすごく好きです。
シリアスなのにうっすらギャグがある映画好きだなー
ここ笑ってもいいの?と困らせるというか、笑う間を持たせずどんどん進んでいくというか。


背景美術が凄まじくて、エンドロールに男鹿和雄さんがいるのも嬉しかったです。
広すぎるお屋敷と、大叔父さんのいる世界のあたりが特に好きです。
空の描写もすごく良かったなあ。
あと生活空間の物量と描き込みも凄くて、ワクワクしました。
夏子の部屋とキリコさんの部屋が特に好きです。



色々見落としていそうなので、もう一度観に行きたいです。



以下印象に残ったところ。


・火事の表現
アニメーションの迫力がとにかく凄かった。
火事の恐ろしさと無慈悲さ。
火の表現が印象的な映画でもありました。


・夏子が眞人にお屋敷を案内するシーン
お屋敷ご案内シーンはめちゃくちゃワクワクしました。
古くて大きなお家が大好きなので…間取り図見たい。
入口の門?柱?がめっちゃ変というかデザインが気になった。
日本家屋の縁側というかお外との境界が曖昧な感じが堪らなかった。
木漏れ日を受けて廊下に光が反射しているところとか綺麗だったなあ。
ここだけでもう泣きそう。
そしてお婆さんたちが早々に登場して笑った。(チラッとおじいさんもいた)

眞人が一言も喋らなくて、心を閉ざしているのも印象的。


・お屋敷の木々の緑と青鷺
緑が美しかったですねえ。あと空の色も…。眼福。
宮崎駿が子供の頃に疎開した地域がモデルなのかな。
青鷺がスーッと飛ぶのも綺麗だった。
青鷺は全体的にキショいキャラでしたが、美しいところはとことん美しかった。
割とガッツリ屋根の下に入る青鷺を京都で見たことがあります。


・夢の中でお母さんを探して、その後眠れない眞人
孤独な眞人。心の拠り所がない…。


・学校でうまくやっていけなさそうなの大体お父さんのせい
お父さんやめてー。学校初日に車で乗り付けないでー。
キムタクの演技良かったです。

お目目キラキラのキャラが空気読めない感じ、他でも見た気がするけどなんだっけ…。


・石で自分を傷をつける眞人
眞人の悪意。
びっくりはしましたが自分のことを傷つけてしまうことと他人を傷つけてしまうことは大きい差はないのかもしれません。
眞置かれている状況からしたら自傷は全然変なことではなくて、でも悲しいなあ。

お医者さんが夜間診療してくれる時の照明を持つお父さんの動き面白い。
夜間診療、どこから来てくれたんだろう。遠いんだろうな。


・いよいよキショい青鷺と早朝の対決

夜明け〜早朝の空の色が綺麗だった。
ここでは水が印象的なシーン。水というか水辺の生き物たち。
不気味。
青鷺の声が凄かった。

「眞人さーん」の声がちょっとくぐもっているのが良かった。
夏子の弓矢が青鷺をかすめるけど、夏子は結局どこまで向こうの世界のことを知ってたんだろう。夢なのか現実なのか。
冒頭もだけど、眞人の着替えシーンを描いてくれるの良かった。
パジャマかわいい。


・飛行機のパーツ
「美しいですね」が風立ちぬだー。
ここでも広すぎるお屋敷でテンションが上がりました。
お父さんは相変わらず目がキラキラしていて、学校に対してだいぶ酷いことを言う。


・つわりのこと
夏子のつわりの具合を聞く眞人。
眞人さんの時も、眞人さんのお母さんは大変だったんですよと教えてもらう。
お母さんのことを考える眞人…。


・夏子の部屋
眞人の傷を撫で「ごめんなさいね」と謝る夏子。
夏子は眞人が自分で自分を傷つけたことわかってたんだね。
夏子の部屋がめちゃくちゃ綺麗で、調度品の木の色が艶やかでした。
こういう生活空間の細かい描き込みが特に凄かった。。
ここをもう一度スクリーンで観たいな。


・弓と矢を作ろうのコーナー
ちゃっかりタバコをくすねておじいさんにあげる眞人。
夏休みかはわからないけど、夏休みの工作のようでワクワク。
羽に魔力が宿って矢がとんでもない飛び方するの、最高にファンタジー。
眞人の机が窓に面してるから、青鷺が覗き込むんじゃないかと思って怖かった。


・君たちはどう生きるか
お母さんから贈られた本を読んで涙を流す眞人。
切ない。


・トトロのトンネル
トトロのトンネル好きだなあ。


・湯バード
青鷺おじさん、魔力が弱まる。
湯バードだった。


・帆がはためくシーン
向こうの世界のキリコさん登場。
帆がはためいているなあ。
船を陸につけるシーン、押すシーンめちゃくちゃ良かった。
死の匂いがプンプンってどういうこと?となったけど、友達が「眞人は自殺したいか死んでも良いと思っていたんじゃないか」と考察していて、なるほどなと思いました。


・キリコさんの部屋
パンがすごく美味しそう。
ここの生活空間もすごく良かった…。
後ろにワンピースがかけてあったけど、あの服着たのかなキリコさん。
キリコさんの掘り下げが個人的にもっと観たかったです。


・月?の光が差したシーン。
月じゃないのかも。
このシーンすごく美しかった…。
膨らんで飛んでいくワラワラ。
涙を浮かべるキリコさん。


・ペリカンの話
ペリカンが飛ぶ所もう一度よく観たい。


・おばあちゃん達の人形
キリコさんが笑うとおばあちゃん達の人形も笑う。


・青鷺の嘴の穴を埋める。
夏休みの工作再び。
天丼ギャグ。
ここで青鷺がナルシストになるのが良かった。
動きも綺麗だった。


・インコとひみ登場
インコが面白すぎてずっと笑ってました。
鼻息が荒いインコ。後ろ手に包丁。怖い。笑
鳥の羽を手みたいにデフォルメするの、個人的にはあまり好きじゃないけどこれは好きです。
あえてやってるんだろうな。
ひみも登場。
ひみはなんで向こうの世界で名前変わったんだろう。
千と千尋と同じシステム?


・ひみの部屋
ジャムとバターを塗ったパン。
向こうの食事は米じゃなくてパンなんだなあ。

「母さんが作ってくれたやつにそっくりだ」という眞人が切ない。
ひみがお母さんであることがわかったのかもしれない。
わかっても言わない。

一番好きな場面。


・夏子と眞人
夏子を初めて母さんと呼ぶ眞人。
夏子も許されたかったんだと思います。
登場シーンが少ないけど、夏子サイドもまたどこかで語られないかな。


・眞人がセキセイインコになっちまった〜

時系列があやふやだけど、お父さんとお婆ちゃんたちの組み合わせもすごく良かった。


・インコの厨房、塔を登る
インコのことをだいぶ馬鹿にした描写に笑った(青鷺の無理な変装とか)。
インコのことなんだか憎めない。
料理を作るインコと料理を待つインコ達。
インコ達は大衆でありツイッタラーなのかもしれない。
私もまたインコである。

ひたすら塔を登るの、宮崎駿らしくて良いなあ。
インコの塔を登れば主様のいる所に行けるのだから、あの世界でインコはまあまあ優遇されてるのかもしれない。


・インコの王様とお付きのインコと運ばれるひみ
桃源郷のような場所を進むインコ王達。
「ご先祖様だ〜」「ここは天国ですか?」と泣くインコがかわいい。
インコ王は大叔父様に交渉する。
ひみが目を覚まし、大叔父に抱きつく。世界の危機。


・大叔父様のいるところ
大叔父様の周辺のアーチの続く建物や廊下、お庭の絵がすごく好きでした。
明るくて眩しい。
本当に天国みたいなイメージで描かれているんだろうな。
場所ごとのコンセプトが背景からしっかり伝わってきて、
いくらでも観ていたくなります。


・悪意のある世界と、悪意のない世界
新しい世界のための、悪意のない積み木を指し、後を継いでほしいという大叔父。
悪意がある今の世界と、悪意のない新しい世界。
どちらを選ぶ?と問われて、それでも今の世界で生きると答える眞人。
自分の傷(悪意)を、自分で受け入れられたのかな。


・友達をつくるよ
「友達」に自分が含まれていて「エッ」となる青鷺が良かった。
ここも好きなシーン。


・元の世界に帰る
扉の続く回廊で、元の世界に帰る。
眞人はひみが火事で死んでしまうことを嫌がるが、ひみはそれでもいいと答える。
眞人はいい子だね〜と抱きしめるひみ。
切ないけど、優しい、めちゃくちゃ良い〜


・ハッピーエンド。
元の世界で抱き合う家族たち。自由に飛び回るインコたち。
ポケットからキリコさん帰還。
セキセイインコは最後までセキセイインコらしくない鳥だった。

神隠しから帰ってきておしまいなのは千と千尋もそうでしたが、お守りをポケットに入れて帰ってきた眞人も、お婆ちゃんにもらったヘアゴムをつけた千尋も、その後どういうふうに生きたのでしょうね。
そして私たちははどう生きるか。


書いていて思ったけど初回は結構眞人くんに感情移入して観ていました。
二回目以降はまた違った見方ができるかもしれません。ペリカンの辺りやワラワラの辺りとか。
宮崎駿監督の気持ちとかは分かりませんでした。
でも監督もこの映画の制作を通して浄化されたものがあったんだろうな。


最後まで読んでいただいてありがとうございました!
また皆さんの「君たちはどう生きるか」感想も、お聞かせください〜


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