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楽しかった勲章/【文章のきほんコース受講生作品 Vol.4】

この文章は、大阪編集教室の「文章のきほんコース」受講生作品です。
課題原稿に添削が入って書き直したものを、一部編集した文章になります。
詳しい授業の内容はこちらからご確認ください。

今回の課題のテーマは「自分の好きなコト・モノ」でした。

楽しかった勲章

「大人になって、脇から砂がでてくるとは思わなかった!」
友人から言われた時ゲタゲタ笑ったが、ビーチテニスの楽しさを表した一言だと思う。

ビーチバレーのテニス版として1994年にイタリアから始まったこのスポーツ。ルールはテニスとほぼ同じだが、砂浜ではボールが弾まないので空中だけで打ち合う。

「パドル」と呼ばれる卓球用より少し大きめのラケットと、テニスボールを柔らかくしたようなボールを使う。コートは砂浜に自分たちで設営。ネットがちょっと歪んでいても、少し低くなっていてもあまり気にしない。「お互い同じ条件だからね」と一言。イタリア発祥というだけあって陽気な感じが心地良い。

手のひらでボールを投げるような感覚で打てるので、1時間も練習すれば試合ができるし、気候を問わないので、砂浜があればどこでも楽しめる。最近は日本にも人工の砂浜が増えてきており、気軽に楽しめるスポーツになってきた。ルールやマナーが厳格なテニスを30年やっていた私にとって、その気楽で自由なゆるい感じが、体を動かしたくなる理由になっている。

プレー中は太陽で肌がチリチリ焼けていくのもおかまいなし。夢中でボールに向かって走る。足がよく動くのは調子がいいからではない。単に砂の熱さでじっとしていられないだけである。思いっきりスライディングした時は、足をとられてなかなか起き上がれない。アウトだったボールが、風の助けでコートの角にポトン。こんなラッキーですら、狙っていたんだという雰囲気をだすのも実力のうちだ。チャンスボールの時には全力でジャンプ! かなり高く跳んだつもりでも、現実は3センチ程、ボールを打てず空振りすることもしばしば……。

こんな情けない姿を見せることはたくさんあるが、勝ち負けよりも楽しいことが次のポイントに向かわせる。面白がりながらチャレンジを続けることで、思い通りにボールがとぶことも増えてきた。あと1センチ高く跳べるようになれば、もっと楽しくなる……はずだ。

初めてパドルを手にとってから3年が経った。砂場で無邪気にはしゃいで砂まみれになった子どもの時の感覚が思い出され、遊ぶように運動できるところがとても好きだ。

今日もまた砂を手土産にしてしまう、楽しかった勲章として。

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