見出し画像

歪んだ靴を真っ直ぐに。

この靴の後ろ姿に違和感を感じますか?

感じます。左足が歪んでいます。

こんな感じで、ウェルトに対してヒール中央の縫い目が傾いている所を見て頂ければ分かると思います。

初めは、ヒールの片減りが原因で靴が捻れてしまったのかと思っていましたが、そもそも製造時から歪んでいたのです。

ヒール中央の縫い目の長さは左右同じでしたので、この縫い目を起点にヒール内側が釣り込み時に、引き下げられ過ぎた事が原因の様です。

左右で同じ位置(カウンターの付け根)でヒールの深さを測ると左右で約5ミリの差がありました。

そして、どこまでずれが生じているか、数箇所ヒールの深さを測って見ると、くるぶし下をピークにヒール中央からフマズのくびれあたり(画像の白線)までずれがありました。

では、どの様に戻すのかと言うと、下に引き落とされた分を持ち上げれば良いのです。

画像の履き口側のラインに沿ってウェルトがついていましたが、落ちすぎていた分を引き出してくると、ソール側のラインに沿ってウェルトが作く事になります。

しかし、引き出したら革が足りなくなる。ならば足せば良いということでこうなりました。

そして、革を引き出した状態で望ましい位置にウェルトを縫い直しました。

引き出した為、元の掬いの穴が顔を見せるか心配でしたが、ストームウェルトだった事もあり、際に少し顔を覗かせていますが、ほぼ見えないレベルに収まりました。

ヒール中央の縫い目は許容範囲まで立ち上がりました。


最後にビフォーアフター貼っときます。
改善が見て取れるかと思います。

そしてこの後、通常のオールソール交換の作業を経て完成です。

以上、イレギュラー中のイレギュラーな修理ですが、なんとかなる事もあります。先ずはご相談下さい。

イレギュラーな事案には、修理できない理由を探すのでは無く、できる前提で修理方法を考えてご提案させて頂きます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?