おいしくて楽しい中国の麻辣湯!行列店「無限麻辣湯」が作る渾身のスープを改良
中国ではとてもポピュラーな料理・麻辣湯(マーラータン)を専門に扱うお店「無限麻辣湯」が、大阪・難波にあります。2016年にお店を構えて以来行列が絶えないその秘密とは、痺れと辛さとスパイスの旨味が生きた極上のスープ。この味わいを日本全国に広めるべく、本格的なスープ販売へと乗り出します。
「なんだこれは!」と衝撃を受けた味わい
オーナーの橋本沙絵さん
麻辣湯とは、スパイスがたっぷり入ったスープに好きな具材をトッピングし、鍋のような雰囲気でスープと具材が食べられる料理のこと。中国ではどこにでもある料理ですが、日本ではかつてその存在はほとんど知られていませんでした。中国人の呉さんと結婚し、中国に移り住んでいた橋本沙絵さんは麻辣湯を現地で初めて食べ、すぐに虜になったのだそう。
「当時の麻辣湯屋さんはどこもローカルな雰囲気だったので、最初は入るのに躊躇していたんです。ある時勇気を振り絞って入店し、食べてみたところ、なんだこれは!って衝撃を受けて(笑)。スパイスの利いた痺れる辛さのスープや、自分で具材が選べることなどいろいろ楽しくて、食べれば食べるほど深みにはまっていきました」。
現在お店で提供している「麻辣湯」。入れる具材は自由
その結果、100店舗以上の麻辣湯屋さんを巡った上、自宅でも作るようになり、麻辣湯が趣味のひとつに。スパイスの組み合わせも楽しみながら独自に味の追求をし始めます。そんな矢先、呉さんの仕事の関係で大阪へ行くことに。活気あるミナミの街並みを見た橋本さんは、「ここなら麻辣湯屋さんができるかもしれない」とひらめきます。
「やろうと決めてから大変なことはたくさんあったのですが、中でもスパイスを集めるのが本当に大変で…。中国では気軽に買えるものが、日本ではどこに聞いてもないのです。漢方の卸問屋さんに連絡して取り寄せるなどあちこちからかき集め、ようやく納得できるスープに仕上げました」。
認知度を高めるために仕掛けたこと
オープン直後は麻辣湯が今ほど浸透していなかったこともあり、ラーメン屋さんだと勘違いされる日々。たしかに具材のひとつとして中華麺も入れられるけれど、「ラーメン」と言ってしまうと橋本さんが伝えたかったこととは大きく離れてしまう…と葛藤が続きます。
「スパイスの面白さや組み合わせの多彩さを伝えたかったので、ラーメンとはちょっと違うと思っていました。それに麻辣湯ってほんとに自由で、選ぶ具材によって野菜をたくさん食べることもできるし、グルテンフリーにもできる。そういった楽しさを広めるためには、もっと女性にアピールしたほうがいいのかもと思い始めたんです」。
これらの具材を自分で好きに組み合わせられる
そこでインテリアや小物を一部変更して、より女性を意識した店内デザインへ。麻辣湯の認知度を広めるべくインスタグラムも始めるとテレビ番組から取材依頼も届き、一気に女性のお客さんが訪れるようになります。次第にお昼どきには行列ができる人気店へと成長し、満を持して2019年、スープの販売へと乗り出しました。
火鍋にもできる麻辣湯スープ
「最初はお客さんに用意してもらったペットボトルにスープを入れて提供する、というやり方から始めました。でも『空のペットボトルを抱えて会社に行くのは恥ずかしい』とお客さんに言われて頓挫(笑)。次に冷凍したスープを小分けして販売し、自宅で希釈して食べていただく方法をとりました。これはすごく好評だったんですが、お店の営業とスープ作りを並行して行うのは時間的にとても厳しくて断念。そんな状況だったので、次は絶対にきちんと作ってくれる工場へ委託しよう、そして、ネット販売にもチャレンジしようって思っていました」。
スパイス文化を広め、食の楽しさを知ってもらいたい
さっそく引き受けてくれる工場を探しますが、探せど探せど見つかりません。というのも、スパイスなどの固形物と油が分離するためバランスよく詰めるのが難しいことや、スパイスならではの特徴的な香りがほかの商品に影響してしまうこと、また、そもそもロットが少ないことなどがネックとなったのです。
「大阪はもちろん、東京の展示会にも行って話を聞いて…本当に大変でした。全国に視野を広げていろいろ探し回った結果、ようやく引き受けてくれる工場が見つかってホッとひと安心。2020年4月からネット販売を始めました」。
現在発売中のスープ
新型コロナウイルスの影響でお店の対応に追われ、ネット販売のPRが十分にできていないながらも、常連客をはじめ日本全国からも少しずつ注文が入り、まずは順調な滑り出し。「大阪販売戦略」では、この濃縮スープをさらに改良させたものを販売していきます。
「今販売しているスープは店で作ったものですが、改良版は工場で一から作ってもらっています。最初は麻辣の味がきちんと出るか不安でしたが、さすがプロは違う! 私も夫も、お店のスタッフさんも納得のおいしいものができました! 量も1人前ずつのパッケージにして、より使いやすくしています」。
日本の食文化にはあまりみられないスパイス文化。「こんな味が世界にはあるんだよと、麻辣湯を通して伝えていきたい」と話す橋本さんの目には、スパイスの未知なる可能性がしっかりと見えています。
無限麻辣湯
06-6568-9697
大阪市浪速区日本橋西1-1-14 第二牧ビル1F