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幸せを手に入れる最後の方法 ~2年間のカウンセリング実録~ 29.伝えたいことを全て②

「咲笑ちゃん、ちょっと長くなるけど、話をさせてください。


僕は咲笑ちゃんのお陰でカウンセラーを名乗れるようになったけど、本来求めていた『家庭におけるカウンセラー』にはなれませんでした。


妻が問題を抱えていることは分かっていました。
そしてその問題もおおよそは把握できました。


5年半の単身赴任が終わって地元に帰り、やっと家族4人で暮らせるようになったけど、妻と娘の関係は最悪の状態でした。

毎日言い争いを聞いているうちに、気が付くと娘よりも僕の方が苦しくなっていました。


3か月前にまた大阪に来ることが決まって、僕は正直ほっとしました。

でも先月、妻が娘に出ていけと言って、娘が僕の実家に家出。

娘の心が壊れないようにすることを何よりも優先したいと思って、妻と話をしました。


アクティブリスニングも、Iメッセージも、自己開示も、できることは全てやったつもり。

でも妻は理解してくれませんでした。

僕の心が苦しいんなら僕が悪いと。
娘との関係を邪魔するなと。


今、妻と娘の関係は小康状態です。
でも今は、僕の心が妻から離れてしまいました。

僕はいつまでも、どこまでも娘の味方でいようと思うけど、今の僕に妻を安心させることはできそうにありません。
いつかは出来るのかもしれないけれど、まだ今は。



咲笑ちゃんのお母さんも、僕の妻が娘のことを思っているように、ほんとは咲笑ちゃんのことを心配しているんだと思います。

それが咲笑ちゃんを苦しめていると気付いていないだけで。



ごはんは食べたくなくても出来るだけ食べてください。
たとえ食欲がなくても、生きていて欲しいと思います。




話は変わるけど、前に伝えた通り、僕は親の愛を認識できずに育ってきました。


今でこそやっと、みんなから愛されて育ったと思えるようになったけど、最近までずっとそんな風に思ったことはありませんでした。


子供の頃から友達は多かったけど、クラスが変わったり卒業したりすると、会いに行っても喜んで貰えなくなるって経験を何度もしてきました。

転校した友達からも、いつしか手紙の返事が来なくなりました。


異性の友達はたくさんいたけど、好きな子に告白しても『いい人なんだけど…』と言われるだけで、もてた経験はありません。

でも嫌われるのは嫌だから『いい人』をやめることも出来ないし、改善点を伝えられる訳ではないから、自分がどう変わったらいいのかも分からない。


だから結婚したら愛に溢れた理想の家族を作りたいと思ってたんだけど、結婚してみると、妻はスキンシップが嫌いな人でした。

僕は妻からも愛情を拒絶されたと思って生きていました。


だから僕の中には、いつの頃からか『自分は愛されない』っていう思い込みが住み着いていました。


僕はプロコースで同期の仲間がたくさんできました。心から信頼できる仲間達です。

でも、そんな仲間たちに囲まれて尚、『人気者だね。』とか『さすが、愛されキャラだね。』とか言われても、口では『ありがとう。』とか『幸せです。』とか言いつつ、(その言葉自体に嘘はなかったんだけど)心の中では『いや、別に愛されてないし…。』とずっと思い続けていました。

優しい言葉を否定し続けてました。


ところが、それがつい先日、メンタルの卒業式で知り合った人と東京で会って、東京校で新しい知り合いがたくさん出来て、ほんとに幸せなことが数日の間に続いて、そこで初めて『あれ?僕って、愛されてるかも。』って思ったんです。


メンタルブロックが外れるにはブロックを積み重ねたのと同じくらい長い時間が必要なんだと思います。

そしてブロックが外れた時に感じた生まれ変わったような気持ち、あれは咲笑ちゃんが去年『私きっともう大丈夫だ。』って伝えてくれた時の気持ちに近いのかなって思います。


僕もまだブロックが外れて間がないし、揺り返しらしきものに襲われることもあるけど、頑張っていこうと思います。

どんな環境でも、僕は幸せだと信じ抜こうと思います。


今は仕事も、家庭も、カウンセラーとして目指している活動も、うまくいっているとは言えない状況です。

でもやっぱり僕は幸せなんです。自分の周りに幸せが溢れているんです。


だからそんな幸せから目を逸らさずにいようと思います。『不幸になんか、なってやるもんか。』と思っています。


咲笑ちゃんが頑張ってきたのは知ってるし、咲笑ちゃんが耐えてきた苦しみは僕の苦しみとは比較にならないくらい、ずっとずっと大きいと思うから、これ以上頑張れなんて僕は言えません。

でも、生きていて欲しいと切に願います。


長くなってごめん。読んでくれてありがとう。」




 もう最後かもしれない。僕はそう思って、伝えたいこと、伝えられることを全て伝えた。



 咲笑ちゃんがこれをどう感じ、どう受け止めたのかを僕は知らない。



 咲笑ちゃんから返事が来ることはなかった。










幸せを手に入れる最後の方法
~2年間のカウンセリング実録~



最後までお読みくださり、ありがとうございました。



そして苦しい話に永らくおつきあいくださり、ありがとうございました。


残り5回、幸せに溢れたエンディングをお伝えします。


次回、明日の更新は『宝物の時間』です。


是非是非、おつきあいください。
よろしくお願いします。

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