Kindle unlimtedのおすすめ:『今を生き抜くための70年代オカルト』

 先にURLを貼っておく。途中で貼るつもりでいたが、あまりに後になるので、「とりあえずURL貼れよ」という読者諸兄の声を想定し、先に貼っておく事にした。

このオカルトと言うのは、UFOやUMAとか、秘密結社が出てくるあの「オカルト」で間違いない。そのうさん臭さはカルトに丁寧語の「お」を付けてオカルトというのが語源であるからして・・・というのは嘘で、オカルトの語源はこれだ。wikipediaにあるオカルトの項目から引用しよう。

ラテン語: occulere の過去分詞 occulta(隠されたもの)を語源とする。目で見たり、触れて感じたりすることのできないことを意味する。そのような知識の探求とそれによって得られた知識体系は「オカルティズム」と呼ばれている。ただし、何をもって「オカルト」とするのかについては、時代や論者の立場等により見解が異なる。

 若干の範囲はあるが、超常現象やツチノコ等のUMAやUFOは、基本的にはオカルトとされるだろう。では、前回扱ったような怪談をオカルトと分類する事は適切だろうか?オカルトという語に明確な定義がない以上、怪談がオカルトであるかどうかを決定する事は難しいし、もしかしたら不毛であるだけかも知れないが、皮膚感覚として、怪談がオカルトであるとは思いにくい。こうした物にあまり興味が無い人が怪談とオカルトを混同するのは想像に難くない。が、ある程度こうした事に興味がある人であれば、怪談とオカルトとが、どちらかというと、別の存在であると考えている人は少なくないのではないだろうか。変な例えになるが、外国人が日本と中国の文化の違いを区別できないような物だ。しかし、日本と中国の当事者にとってみれば、それぞれが別物である事に疑いは無いだろう。

 霊についてオカルトと怪談の立場の違いを述べるならば、個人的な意見だが、霊の実在を追及するような意思が比較的弱い(皆無とは言わない)物が怪談、追及しようとする姿勢が強い物がオカルト、と区分できる。と思う。つまり、霊などの存在を証明しようとした瞬間に、その立場は怪談愛好家からオカルト研究家に近づく。

 オカルトの語源に話を戻すと、オカルトというのは上記の通り「隠された」存在を指す語だ。この隠された存在は、時には霊であるし、時には宇宙人とその乗り物であるし、時には動物であったりもする。こうした存在を語ったり聞いたりする事が楽しみである事も違いないだろう。
 オカルト(スピリチュアリズムを含む)と科学との関係については、『科学とオカルト 際限なき「コントロール願望」のゆくえ 』が扱っている。厳密には、こちらにはさらに「社会」という軸が加えられている点が特徴だ。
 オカルトと科学には、物事を理解するアプローチであるという共通点がある。

 十九世紀までは、現在のような制度化された科学はなかった。そればかりか、今日、科学の重要な特徴と考えられている客観性や再現可能性を有し た学問それ自体もなかったのである。それでは何があったかというと、オカルトがあったのだ。
池田 清彦. 科学とオカルト 際限なき「コントロール願望」のゆくえ (PHP新書) (Kindle の位置No.31-33). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

 かつて人類はオカルト的な発想で全ての現象を理解していたのだが、その一部が科学に取って代わられた。科学によって我々の生活が支えられているという事からしても、科学的な見方が有用である事に疑いは無い。しかし、物事によっては、説明に科学を持ち出すよりかは、オカルト的な物を持ち出した方が都合が良い場合、あるいはそもそも説明の不可能である場合が多々ある。人間の内面などがそうだろう。そうした科学では手に負えない部分にオカルト、あるいはスピリチュアリズムが存在する。
 科学とオカルトの両者は、現象を理解/説明するという方向性が共通している。そのために、時折両者が渾然一体とした「オカルト」が現われる。またの名を疑似科学というが、水素水などがそうだ。もう少し大きな物を挙げれば地震予知もそうだ。「人間はいつか死ぬ」位のノリで、「地震は起こる」という程度の余地が関の山だ。直前にはわかるかだろうし、地震への備えが大事なのはその通りだが、いつどこでどの程度の規模の物が発生するかどうかというのは予知不可能だ。
 人間は、完全無欠な神、という物が好きだ。未来予知だとか、鉛を金に変えるだとか、そうした超能力だ。オカルトはこうした根源的な夢を受け入れるが、科学はむしろそうした存在を否定する物だ。何故オカルトに科学の欠片が埋め込まれるかというと、科学は全てを説明する、という幻想がまた投影されているからだろう。
 
 そんなオカルトへの見方として、参考にできるサイトがある。本命がこちらであると言っても良いかもしれない。そのサイトというのがオカルト・クロニクルだ。書籍もあるので、良かったら買って欲しい。オカルト的な物への見方もそうだが、文章としても面白いのでおすすめ。オカルトに対しては、こうした懐疑的な見方をして、話としては面白いといったあたりに留めておくのが正解だろう。

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