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転職に関する、3つの理由(+α)

転職が決まった。

32歳にして、3度目の転職(4社目)だ。
少ない方ではないけれど、30歳くらいで5社6社と渡り歩いている人もざらにいる時代なので、特筆するほど多いということもない。

転職先は名古屋にあるWeb制作会社で、約1年前に立ちあがったばかりの、UX領域に特化した部署のメンバーとして加入する。

転職をきめた理由

「どうして転職したの?」と聞かれたときに、(そこまで真面目くさって考える必要もないことはわかっているのだけれど)少しだけ答えに窮する。

辞める気など微塵もなかったところをヘッドハンティングで一本釣りされたようなケースでもない限り、「今の会社を辞めることにした理由」と「次の会社に入ることを決めた理由」が違うからだ。

「転職した理由=転職活動を始めた理由」とすれば「今の会社を辞めることにした理由」に近いのだろうけれど、「どうしても辞めたいからとにかく行き先を探して転職した」というのとも違うので、だからこそ少しだけ答えに窮するのである。

さらに厳密に言えば、「辞めようと思った理由」も「次の会社への入社を決めた理由」も、当然ながらひとつではない。
だから、なぜ転職したのかという問いに答えるのだとすれば、腰を据えて話をしたくもなろうというものだ。
ただ、そこまで話し込むような相手でも場面でもなかったりするので、そんなときには「ステップアップ」という一言で片付けることになる。

つまるところ、僕の今回の転職理由はステップアップである。

今の仕事は、Webを含めた制作物のディレクション(兼営業)で、段階でいうと下流工程を担うことがほとんどだ。
クライアントの課題解決なり、カスタマーサクセスなりに、もっと踏み込んで寄与しようと思うと、上流工程から担えるような仕事をする必要があるし、自分自身の適性もそちらにある、と思った。

そして、今までやってきた制作の仕事は、もうある程度できるようになった自覚もあった。

このまま今の場所でやり続けるよりも、環境やポジションを変えて新しいチャレンジをしたほうが、成長のスピードは確実に上がる。
誰かを幸せにするための力も伸びる。

そんな相談をエージェントに投げかけたところ、非常に興味深い事業に取り組んでいる企業を紹介してくれた。

チームリーダーの人に会って話をすると、そのご本人とも、会社とも、仕事に対する価値観が相当なレベルで一致した。

その人やエージェントから話を聞く限り、環境や条件も申し分ない。

転職をためらう理由は、ひとつもなかった。

こんなのを引っくるめて、「転職理由はステップアップ」なのである。

転職がうまくいくと思う理由

仕事が向いているかどうか、社風や環境が合うかどうか、他の社員とうまくやっていけるかどうか。

こんなことは、やってみないとわからない。

「価値観が一致した」とか、「環境や条件が申し分ない」とか書いておいて、結局そんなことかと思われるかもしれないけれど、でもこればっかりはやってみないとわからないのだ。

それでも、僕は今回の転職がうまくいくと思うかと聞かれれば、何の迷いもなくYESと答える。

今までの転職とは比べ物にならないほど、「この会社で、チーム内で、このやり方で、この仕事を担うのにふさわしいか」ということを(お互いに)意識して話し合いを進めた、ということはもちろんある。

ただ、主たる理由はそこではなくて、「うまくいったかどうか」は、最終的に自分次第ということだ。

過去に在籍した3社とも、まったく毛色の違う会社だった。

当然ながら、仕事環境やら風土やら、それぞれにある程度の不満はある。もう一度入社してやってみたいか、と聞かれたらNOである。

ただ、それでも過去の就職・転職が失敗だったとはまったく思わないし、3社すべてでいい経験が積めたと思っている。
新しいことを学び、身に付けられなかった会社はひとつもない。

新しいことをやれる会社に転職して、新しいことをやってきたので、当然だろう。

絶望的にブラックで、死ぬような思いをさせられるようなことがあったらさすがに「失敗だった」となっているかもしれないが、環境や条件面である程度のラインさえ守りつつ、次のチャレンジができるところに飛び込みさえすれば、あとは自分次第。

こんなマインドでやっているので、「うまくいかないかも」という懸念は一切ない。

次の会社に長くいたいか?にYESと答えられない理由

「弊社で長く働く意思はありますか?」

選考において、わりとよくされる質問だろう。
僕としては、この質問には面接官にとっても求職者にとってもあまり意味を成さないと思っている。

第一に、面接でこれを聞かれて「いいえ。あくまでも通過点だと思っているので、御社で2年ほど経験を積んで、次のステップに行きたいと考えています」なんて素直に答えてくれる求職者はいない。

第二に、求職者は、仮に内心では通過点だと思っていたとしても、その中でもキャリアにつながる仕事をしたいと考えるだろうし、会社や同僚といい関係を築こうとするはずである。
普通の人は、面接の時点から「できるだけ短期間でノウハウだけ盗んで辞めてやるぜ」なんて思っていないし、環境や待遇、人間関係さえマッチすれば、そこである程度長く働くことに抵抗感をもつ人はほとんどいない。

第三に、長く働くことが、企業側にとっても必ずしもプラスではない、ということだ。

完全なキャリアアップでない限り、従業員が「辞めたい」と思ったとすると、どこかの部分で会社とミスマッチが起きているということになる。
そうなると、仕事のパフォーマンスは落ちるし、人間関係の面でもどこかで摩擦が生じているかもしれない。

キャリアアップのための「辞めたい」だったとしても、(本当にその人がキャリアアップに値するのであれば)相応の報酬や環境を与えられていないということになり、ミスマッチとみなすことができる。
言い方を変えると、人材をもてあましている、という状態だ。

理想論であり極論だが、「辞めたい」と思っているメンバーがすべて辞めて、「入りたい」という人を入れたほうが、組織は健全に伸びていく。
(教育が追いつかないほどの人数が「辞めたい」と思うのであれば、マネジメントを見直すべき)

だから、「弊社で長く働く意思はありますか?」という質問に、僕自身は有用性を感じられないのだ。

実は、転職先の会社での最初のカジュアル面談時にも、同じことを聞かれた。

細かいことは覚えていないが、「時代の変化にも対応しつつ、僕自身も新しいことにチャレンジし続けていける環境を維持できるのであれば、ぜひ長く働きたい」的な回答をしたと思う。

先方の質問の意図は単に「少しでも長く在籍してほしい」ということではなくて、「長期的な目線で、腰を据えてこの地域のUXへの意識の向上に臨めるか?」ということだった(と、少なくとも僕は解釈した)ので、その回答はナチュラルに受け止めてもらえたようだった。

これからのキャリア

ということで、今年の7月から、僕は新しい一歩を踏み出す。

ただ、まったく新しい道という感じではなくて、僕の前にあるひとつの道を進み続けることに変わりはない。

決してスピーディーではないかもしれないけれど、いいキャリアを辿れている感覚がある。

着実に、自分のやれる領域と、ネットワークをいい方向に広げながら、よりしっかりした足取りで、軽快に進めるようになっていっている感覚がある。

10年後、次の会社でまだバリバリやっているか、転職はせずに複業であれこれやっているか、まったく違う会社で働いているか、独立しているかはわからない。

それでも、自分のキャリアを、自分の足で歩んでいようとは、思っている。

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