見出し画像

話しを「聴く」。私が意識している最も大切だと思うこと

皆さんは患者さんの話をよく「聴いて」いますか?

「いつも患者さんの問診、しっかり聞いてるよ」

「患者さんの話をよく聞いて、困ったことはアドバイスしているよ」

眼科では目が不自由な患者さんと接するため、特に話を聴くことが大切ですね。

実は私、人と話をすることが苦手なんです。医療従事者って向いていないんじゃないかな、そう思うこともありました。患者さんともうまくコミュニケーションもとれず、悩むことも多かったです。

だけどあることを意識するようになって、患者さんとのコミュニケーションが少しづつうまくいくようになりました。

それは

話を聴くことです。

患者さんが病院に来る目的とは?

患者さんが病院に行く目的、それは

「病気を治すこと」

ですね。

治る病気、治らないけど進行を遅らせることのできる病気、残念ながら治らない病気とありますが、治せるなら治してもらいたい。

そう思っていることは、多分間違ってはないと思います。

一方で、私は患者さんからこんな言葉をきくことがあります。

あそこの病院は、話をきいてくれんから病院をかわりたい
前の病院で先生にお願いをしたら、怒鳴られた

わざと極端な例をだしていますが、これは私が実際に体験した本当の話です。あそこの病院では治らなかったから、ではないのです。
(もちろん、治らないからかわりたいという患者さんもたくさんいます)

患者さんは治ることはもちろんですが

話を聴いてもらいたい。

よく考えると、自分の病気のことや自分の辛さって周りに話せる人、少ないかもしれないですよね。

話を「聴く」は一つのスキル


私は話を聴くことは、一つのスキルだと考えています。

実はきくには、3つの意味があるのはご存知でしょうか?

・聞く⇒音が耳に入ってくる、聞こえること
聴く⇒相手の感じていること、伝えたいことを理解しようと耳を傾けること
訊く⇒知りたいこと、質問したいことを尋ねること

患者さんの話しを「聴く」ことができれば、理想的ですよね。

だけど「聴く」は、思っている以上に難しいのです。

この本に、なぜ「聴く」ができないのか、6つの態度が書いています。

「聴く」を妨げる6つの態度
①先入観のある対応
②無関心な対応
③自分の話したいことや興味を優先する
④正解思考/議論のような対応
⑤「違い」を「間違い」と判断する
⑥アドバイス志向

図解 相手の気持ちをきちんと<聞く>技術 著 平木典子

・この人は目薬がなくなったから来ただけだろう(先入観)

・忙しいから極力話さない(無関心)

・その病気はですね~(アドバイス志向)

・眼鏡はそんな使い方したらダメですよ(正解思考)

誤解のないように言っておきますが、病院なので最終的にはアドバイスしますよ。

著者の平木さんはこうも書いています。

「聴く」ためには、自分が思っていることはちょっと横に置いて、相手の思いを入れる場所を自分の心のなかにつくりましょう。

そこに相手の思いをそのまま受けとろうとします。

私が患者さんと接する上で意識していることは

まずは患者さんの話を否定せずに受けとり、それから話しを始めよう

聴いてから、話すのです。

そこには医療技術者でしか聴けない話や、アドバイスできないこともあるので、そこで専門性を活かすのです。

医師は1人で多くの患者さんを診なければいけません。

だからこそ、スタッフの「聴く」意識が大切になりますね。

聴くことは人間にしかできない


以前の記事で、多くの検査はこれからAIが発達して簡単にできるようになるかもしれない

そんな風に書きました。

だけど、この「聴く」技術はAIにはできないと思います。

なぜなら、聴くには《感情》や《表情》が大切だからと思っているからです。

もし、私には特別な技術がない、大学病院や大きな病院でないから強みがないと思うのなら

「聴く」力を身につけてはいかがですか?^^


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?