不足した富豪と高級な貧乏:秘密結社(15)

 堕天使でもないのに神に抗う堕天使の様に傲慢で、
 地獄の亡者の様に天へと登ろうとする他人の足を掴み、
 餓鬼にも優しくしろと、”天使”を卑しい自身と同じ低レベルまで引きずり降ろし、
 人と等価の尊厳を持つことが許されていない機械の様に、同じ事を繰り返すだけ、
 そして人の様に与えられたものに感謝せず、逆恨みする――
 “天使”:「悪魔の様に、求めるそれ」

 スライム。
 可愛らしくデフォルメされた、潰れたデフォルト粘液。
 「人は何にでもなれる」
 「望むのなら、好きなものになれる」
 なる。
 ならさせる。

 透かされたそれは、壁をすり抜けて外へ。
 感情が心太。
 一縷の涙。
 “天使”を拘束していた「ヒューマニストの縄」の様に垂れる。
 「良かれと思ったのだろう」
 「していた事は、倒懸」

 残されたものは空。
 空の下。
 白くも黒くも青くも赤くもなく、陽も月もない。
 茫々たる宇宙はないが、茫々が状態。
 ただ、何も問題はない。
 某某。

 「哀れというべき?」
 “天使”:「憐みを投げかけた時、ヒューマニストはその憐みを否定する」
 “天使”:「他人にそうだと評価されないと、それはそれではないという」
 “天使”:「認められなければ意味がないという」
 “天使”:「なら、いくら憐れもうが、関係がないだろう?」
 “天使”:「啓蒙者が、憐みと慈しみから与え続けた時、与えられた者は認めたか?」

 “天使”:「誰が汝をクラスでハブした?」
 “天使”:「誰が汝を寂寥へと追いやった?」
 “天使”:「与えられたものは、与えられた事を無視しながら、与えられたものを使って主張しているではないか」
 “天使”:「これからの時代は、時代に取り残される者に優しくする人が勝者だと叫んでいるではないか」
 “天使”:「そして、それらは、取り残された汝に何をした?」
 “天使”:「嫌ったのだよ」

 “天使”:「最初からトリコトミーステータスレベルは――サブアカによって――チート操作されていた」
 “天使”:「そのチートステータスを以って、フェアは否定されたのだ」
 “天使”:「平等社会の中で、アムラーが履く厚底ブーツに乗った、優しい小人に下に見られたのだ」
 “天使”:「実力が――実際に持っている能力を――優しさと云う評価基準で無効化させられたのだ」
 “天使”:「そして――その結果――どうなった?」
 “天使”:「更に文字の少ない方へ」

 “天使”:「文字を与えられた楽園者は文字を捨てたのだし、捨てている」
 “天使”:「楽園者が受け入れる事はなかったし、これからもない」
 “天使”:「唯、チート加工されて共有ファイル化されていたトリコトミーグラフには、点の様に小さな正三角形があった」
 “天使”:「ひとつを減少させようと、何も問題は無い」
 “天使”:「軸を一つキャンセルしても、三角形のまま」
 “天使”:「欠けようとも、それまでと同じ様に、二本足で立つのだ」

 “天使”:「二本足で、楽園に向かって、歩くのだ」
 “天使”:「ポジティブシンキングで、後ろ向きに」
 “天使”:「後退しながら、旗の様に掲げる事が出来る――自身よりも高いものを掴む為に伸ばす事の出来る――手を下げ、細工する事の出来る指を細工させずに力なく吊り――放置し――歴史をループしながら――逆再生しながら――背を曲げ――更に曲げ――手を地につけて、四つ足へ」
 “天使”:「最初から地に足はついているが、地に足をつけて」
 “天使”:「そのまま這いつくばり、倒れ、進む――蛇の様に」
 “天使”:「蛇蝎の如く嫌いながら」

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