#56: こんなときだから♪シュトラウス×キューブリック〜「美しく青きドナウ」

J.シュトラウス2世:ワルツ「美しく青きドナウ」(1867)
#50 -56のテーマは「名シーンに刻まれたあの1曲ー映画とクラシック音楽」

音楽によって映像が際立ち印象深いものになる場合と,すでに知っている音楽が映像によって聴こえ方が変わる場合がある。これ,映画や舞台における音楽の醍醐味だと思うんです。

今日ご紹介する映画はスタンリー・キューブリック(1928-1999)『2001年宇宙の旅』,そして音楽はヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)『美しく青きドナウ』です。すでに知っている音楽が映像によって聴こえ方が変わる代表的な作品だと思います。

「美しく青きドナウ」は,ワルツ王が残した代表的な作品であり,毎年ウィーンで開かれるニューイヤーコンサートでも,必ずといっていいほど演奏されるワルツの中のワルツといった曲です。それが,どうでしょう,ワルツがもつイメージと程遠い深遠な宇宙をバックに流れると…….静寂さが際立ち,宇宙を浮遊するとはこういうものなのか? と錯覚します。静の中の動,動の中の静ー。宇宙ではいったいどんな音が聞こえるのでしょうか? そんなイマジネーションがかき立てられます。
このように,音楽と映像の絶妙なハーモニーを次から次へと表現したのが巨匠キューブリック。ワルツという舞曲の中に静を感じてしまうようになったのは,この映画の強烈な印象によるものだと思っています。

2001年なんて遠い未来だと思っていたのに,あっという間に通り越して現在2020年。人類が宇宙へ旅行するようになる日は近いのでしょうか? それとも,まだまだ先なのでしょうか?

いずれにしても,宇宙船の中で流れるBGMは,きっとこのワルツが流れているに違いない!
そんな妄想を抱きながら,お楽しみください。

今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!
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『2001年宇宙の旅』(1968, イギリス・アメリカ)
監督:スタンリー・キューブリック


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