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ミュージアムの中の人がやんわり語る 「3度目の緊急事態宣言、どうよ」

自己紹介はあらためて行いますが、いろいろな業界を見聞きした経験をもとに、現在関わっているミュージアム業界(そんな言葉ないw)についての(あまり知られていない)ことを中心にご紹介できればと思い、noteをスタートすることにしました。で、今回のネタは「3度目の緊急事態宣言、どうよ」。ではどうぞ。



よくいわれていることですが、「ミュージアム業界からはクラスターが発生していない」という都市伝説。あれはたぶん本当なんだと思います。


無責任テイストな表現でしたが、実際に把握しているのは自館(クラスターどころか感染者も発生していません)のみですし、他館の情報で耳に入ってくるレベルでも、クラスターが出たという話は聞いていません。


そもそも、静かな環境で作品を楽しむわけですから、アート系のミュージアムでは発生しにくい環境であるといえるでしょう。ハンズオン型の展示をしている博物館系でも、接触機会を減らす目的でハンズオン型の展示を控えていると聞きますので、感染リスクは通常よりも下がっているものと思います。


さらにいえば、ミュージアムの大半が施設内を回遊する仕組みですから、映画や劇場とも異なり、一定時間固定の席に滞在しているわけではありません。なので、そもそもの話として、映画館や劇場がOKならミュージアムはさらに安全なコンテンツであるといえるわけです。


なので、緊急事態宣言はともかく、「休業要請はお願いだからやめてくれ」という立場であることには間違いないのです。が、開けられたとしても施設産業なため、コンテンツを提供する以上はスタッフの出勤が前提になるわけで、開館中に出勤7割削減なんて、とんでもなくありえないレベルな話なんですよね。


さらにいえば(お客様以上に、もっと大切な存在の)スタッフが感染しないか、という不安もありますし、そもそも、開けていてもお客様のご来館は半分以下という状況。もっといえば「入場予約制なんてなんの意味もないくらい、お客様、少ないんだぜ」という魂の叫び。(公的な施設が多いこともあってか)あまり報道もされていませんが、ミュージアム業界も非常に厳しい状況に置かれています。休業要請があってもなくても、そもそもこのコロナ禍ではなにをしたっていいことがない。


しかも降ってわいたように「おうちでミュージアム」に代表される動画コンテンツやSNSでの情報発信の業務が増加。付け加えていえば環境整備と、それにかかる費用負担など、入ってくるものは減っているのに出るものは容赦ないことこの上ないw


そうはいっても、まだ恵まれている環境にはあると自覚していますので愚痴めいたことはこのへんにしておきたいと思いますが、美術館や博物館ファンの方々にこれだけは言わせてほしいことがあります。


興味がある(展覧会)なら、行けるときに行け
※脳内CV:北方謙三氏


あえて熱量を込めるために短め(お客様をお客様とも思っていないかのようなキツめ)な表現になっていますが、みなさんSNSで「行けなかった」「見たかった」「会期延長してくれ」といいすぎw


実際に私自身も、あちこちで魅力的に感じる展覧会がありながらも、心の底から行きたかった展覧会もスルーせざるを得ませんでした。なので、みなさんの気持ちは痛いほど理解できます。できるのですが、そんな簡単に会期は延長できませんw


ということで、このコロナ禍がどのように推移していくのかわかりませんが、ひとつだけ言えることは「残念ながら、楽観視はできない」ということw


であれば、なおのこと


興味がある(展覧会)なら、行けるときに行け
※脳内CV:北方謙三氏
※余談ですが北方謙三氏の南北朝時代を扱った作品は個人的におすすめです



というわけで、みなさまのご来館を心よりお待ち申しております
(どうぞご自愛ください)