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#8 「658km、陽子の旅」の先行上映に行ってきました

こんにちは!おりんです。
最近、更新頻度がゆるくなってきております。卒論と就活もあって今後1ヶ月以上更新しなくなることもあるかもしれませんが、更新した際には読んでくださると嬉しいです。

今回は、先行上映で鑑賞した「658km、陽子の旅」の感想+舞台挨拶の話をしたいと思います。
⚠ネタバレを含みます!触れたくない方は閲覧をおすすめしません。

◎658km、陽子の旅

先行上映は7/19(月)でした!

Filmarksで付けた評価⇒★4.0

自分と向き合おうとする、人と向き合おうとする、そして父と向き合おうとする陽子の姿に終始心を打たれた。

陽子は今まで自分を閉ざして生きてきたけれど、父が亡くなったことを機に振り返ったり、ヒッチハイクを通して人に求めることや感謝することができるようになって、少しでも生きる意味を見出しているように見えた。

陽子は家族とのぶつかりや生活が上手くいかない影響で、生気を失っていたのだろう。納得がいかず自ら家出したけど、仕事も生活も上手く進まない。目標、希望、存在意義。これらを見出せなければ生きていても楽しくない。これが42年間続いていたのは、生気を失い自分と向き合わなかったことも大きいが、寄り添ってくれる人がいなかったのもあるのかもしれない。

その中で、父が亡くなり従兄が駆けつける。それは、陽子の中で自分と父と向き合うきっかけになったと思う。従兄が駆けつけなければ、陽子はまだ自分を閉ざしたままで何も変わらなかっただろう。さらに、ヒッチハイクしかねない状況になったのもあり、陽子は人と向き合うようになる(ただ、ヒッチハイクに繋がるきっかけはやや強引気味には感じた)。最初は人と今まで話してこなかったこともあり話しにくかったが、出会いやトラブルが陽子の心を揺さぶっていた。

トラブルは性被害にあたるので非常に悪質ではあったが、ヒッチハイクをしている以上、誰と会うか分からない。若宮とのシーンを見て、手を優しく差し伸べる人間だけではないと捉えられた。しかし、この件を流してしまったのは正直残念だった。今まで人と関わりがないのに、突然性被害に逢うのは身体も心もダメージが大きいと思う。「これは1つの悪質な出来事である」ということを作品の後半あたりで扱って欲しかった。その点がもったいないと思った。

しかし、心優しき木下夫婦との出会い、陽子が覚悟を決めてヒッチハイクを求める姿、ヒッチハイクを優しく引き受けた家族に感謝する陽子の姿、自分の足で実家に着いて涙を流し天を仰ぐ陽子の姿に後半ぐっときた。人と話すことすら難しかった陽子が、救いの手を差し伸べる人の優しさに触れて、自分自身と亡くなった父と関わる人に向き合っていく。陽子の成長と本心を語る姿を観て、涙が零れた。自分で何かをやり遂げる、自ら人と向き合おうとする。その壁を陽子が乗り越えたからこそ響いた。

所々もったいない点や展開に強引さを感じる点はあったが、1つ1つのシーンが景色も含めて印象に残るし、親子の繋がりと自分の人生をより見つめていきたいと思えた作品だった。自分も、これから関わる人と向き合つつ、意志を持って歩んでいきたい。

1つ1つのシーンが景色も含めて印象的だし、親子の繋がりと自分の人生をより見つめていきたいと思えた作品でしたね。

陽子はコミュニケーションを取るのが苦手で、自分を閉ざして生きてきたのもあって序盤から辛かったな…。この歳になってわがままじゃん!とか融通きかなくてイライラする!というような意見もあるけど、自分は心を閉ざしていた陽子に寂しさと心の奥にある靄を感じて辛くなったし、心の扉を開いていく陽子の成長に心を打たれました。

出逢っていく人々。さり気ない優しさ、おせっかい、眩しいほどの明るさ、目を背けたい下衆さ、手の温もり…これらが陽子の心を揺らがします。まず従兄が来なければ陽子は閉ざしたままだったと思うし、様々な人との出会いがなければ陽子は成長しなかったと思います。

ただ…ヒッチハイクのきっかけはだいぶ強引でしたね。従兄も陽子が引き籠もっていたの知っていたのに、何も言わず目を離すかなぁ。陽子の心が動くぐらい大事な出来事があって、ヒッチハイクを始めた方がいいと思いました。

あと、トラブルは性被害という設定でよかったのだろうか?性被害を扱うなら、「これは1つの悪質な出来事である」ということをシーンのどこかで示す必要があったと思います。見逃されちゃうのは流石に許せなかったです。陽子がコミュニケーションとるのが得意ではないからこそ、トラブルの描写は配慮or丁寧に描写して欲しかったですね。

でも、後半の陽子の語りでぼろぼろ泣きました。陽子、ずっと自分と葛藤してきたんだなって。心に靄を抱えて生きてきたんだなって。やっと自分の殻を破れたんだなって。菊地凛子の表情と語りのお芝居に心を打たれました。素晴らしかった。深みのある作品でした。⁡
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⁡上映後は、菊地凛子さん登壇の舞台挨拶!熊切監督とは「空の穴」以来22年ぶりのタッグとのこと。ちなみに凛子さん、日本映画はこれが初主演だそうです。ロケーションが美しくて、凛子さんのお芝居に儚さと真っ直ぐさを感じられて、内容も生きる中で刺さるものがありました。⁡

さらに、凛子さんへの質問の機会も頂いて、とても幸せでした。心に残るシーンの数々は、天候に恵まれたのも大きかったのだと思うと本当に深いです。⁡

⁡最後に、10秒ほど撮影タイムを頂いたので撮影を!凛子さん、笑顔がとても可愛くて、撮影や退場の際にずっと手を振ってくださり終始素敵でした…。

凛子さん、笑顔がとても可愛い!

菊地凛子さん主演の作品を観れたのでも嬉しいのに、内容は気になる点はあったものの心にぐさっと響くものでした。舞台挨拶で凛子さんからお芝居やロケの話を聴けたのも、ぐっときましたね。

貴重な機会を頂き、本当にありがとうございました。そして、この作品は自分の中で心に刻みたい作品の1つになりました。

次回は、久しぶりにドラマの話!夏ドラマについて語りたいと思います。

以上、第8回の投稿でした。最後まで観てくださり、ありがとうございました!

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