三点監視の応用.3 ―リフレ派.2(リフレ派の夢と現実)
前回、
リフレ理論は、ディマンドプルインフレにしたい、という動機はあるのに、
「ディマンド=国民の需要を満たそうとする行動」を第一優先とはしていないことを話しました。
因みにこの赤枠のことをマネーストック、と言います。
前回示したリフレ派の図解の時間を更に進めてみます。
この図解の時系列が、リフレ派の理想とする景気回復の流れとなります。
リフレ派の主張は多岐にありますが、目的はこれに集約されます。
さて、このような経緯でのデフレ脱却、景気回復、需要を喚起するインフレは果たして可能なのでしょうか?
確かに民間銀行と日銀の間においては、日銀は民間銀行の国債を買い取り、その代わりに日銀当座預金を発行し、民間銀行には日銀当座預金が保管されることになります。
この日銀当座預金は物語としては確かに「銀行預金」に変換することができる原資です。「貨幣の供給源」です。
しかし以前話した通りそれは、「赤枠(マネーストック)で信用創造される貨幣に実在感を与えるための虚構の物語」です。
日銀が発行する貨幣は「日銀当座預金」です。
我々が利用することができる「銀行預金」ではありません。
我々が使用している「銀行預金」は「事実」としては「信用創造(借金)」によって突然そこに生まれるものです。
現実には政府(と日銀)という供給源からの貨幣ではなく「需要者の欲望によって出現する貨幣」なわけです。
需要者の欲望を満たすためには、「貨幣発行=信用創造(借金)」を赤枠で増加させなければなりません。
さて、そこで問いたいのです。
商売がうまくいかない不況時に
「将来儲けることを見込んで借金をする人」
という人はいるでしょうか?
「いる!」
と言いうのが「リフレ派」です。
私は「いる!」とは思いません。
リフレ派は、民間銀行に大量の日銀当座預金を蓄えさせ「いつでも借金しても大丈夫なだけの『原資』があるよ」と見せている状態でいると、「期待インフレ率が上がる」と言います。
これは「将来インフレになる」という予測的な動きのことです。
さて、現実はどうなったでしょう?
2013年から行われた、「リフレ理論の政策」である「アベノミクス第1の矢」を見てみましょう。
日銀は安倍政権の命令で
「異次元の金融緩和」
を行いました。
いつでも銀行預金が貸し出すことができるように、日銀は民間銀行の国債を大量に受け取り、国民の銀行預金の原資となる日銀当座預金をビックリするくらい発行し民間銀行に渡したわけです。
しかも貸付時は返済時の利子に困らないように低金利で。
その結果、赤枠(マネーストック)の矢印は大きくなったでしょうか?
なっていませんよね?
リフレ理論は「将来確実に儲かるから借金をしよう」という将来のインフレが約束された時にしか意味をなさない理論なのです。
将来もデフレだろうというデフレマインドでは
「期待インフレ」
など発生しようがないのです。
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