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ベーシックインカムは極めて怪しい.5―BIによるコストプッシュインフレ―


■BIによって引き起こされるインフレ

さて、前回の記事でこのように書きました。

次第に富裕層の生産・販売する割り箸の金額が値上がりし(インフレ)貧困層は割り箸を買えなくなり餓死する

前記事の4.5.に出てきた上記の割り箸の値上がり、このインフレは
コストプッシュインフレ(CPインフレ)でしょうか?
ディマンドプルインフレ(DPインフレ)でしょうか?

これまで私は何度もこのインフレの種類の違いに対し言及しておりましたし、その解決方法が違うことと同時に、貧困層への対処療法においてはCP・DPインフレ共に同じ対処方法であることも書いてきました。
CPインフレは購買力が下がり実質賃金が下がる、という点においてはデフレと同じ現象になることも言及しています。

BIによって起こるインフレはCPインフレかDPインフレか?
結論を申し上げると、当初、BIが支給された最初期はDPインフレになるでしょうが、直ぐにCPインフレになります。
当初、DPインフレになるのは分かりますよね?需要が有効需要になり、多くの人が商品を購入・消費するようになるからです。
ですが、これはすぐにCPインフレに転じるというのが私の推測になります。
何故DPインフレから直ぐにCPインフレになるのでしょうか?

■DPインフレは直ぐにCPインフレに切り替わる

想像してください。
月20万円を労働で稼いでいる人が、月々5万円の給付金所得を得たとして、以降も月20万円分の労働をするでしょうか?
 ↓
こう書くと、BI推進派の人たちは
「いる!」
「たった5万程度で仕事を減らす奴なんかいない!」
「今の不安定さならその程度で仕事を止める奴なんていない!」
という人達が出てきますが、これが私がこちらで書いた「要素還元主義による議論の討論化」に繋がる行為です。一部の例外事項を全体の総意であるように広げて解釈してしまうわけですね。

正直、どう考えても所得の一部給付による労働賃金の補填は実用的には確実に「労働生産性の減少」を招く現象です。
5万円を貰っても月20万円分の労働をする人は確かに例外としているかもしれません。ですが確実に所得が増えた分、労働を減らす人はいるでしょう。
労働を減らす、というのは「労働生産性を落とす=供給力を落とす」ということです。
では、その「労働生産性を最小限に抑えるような給付金対策を行えばいいのではないか?」となり、それが生活保護や年金、失業保険などの定額給付金等対策になるわけですが、それはBIではありません。まぁ、ここを深掘りするのは別の機会にしましょう。

ともかく、BIにより労働生産性が落ちるので世の中は品薄になり物価は上昇傾向になり、家計を圧迫するようになるでしょう。これを防ぐには更なる値上げに対抗するCPインフレ対策が必要になります。
また、別のインフレ要因もあります。

■生産富裕層(資本家)は値上げをする

これに関しては、何といいますか・・・。
世の中、品薄なのにその品薄の商品を安く提供する企業があったとしたら、お目にかかりたいです。
「いや、そういう企業もある」という人がいそうですが、それは潤沢に生産物が自動的に供給されるくらいにある場合、どんなに安くても必ず儲けることができるわけですから、そういう場合は確かに低価格で供給される可能性はあるでしょう。
しかし、これも先ほど挙げた「一部の例外事項を全体の意見であるように広げて解釈」する「要素還元主義」的論点ズラしなので、余り意味はありません。

■まとめ:資本家が求めるのは「消費する奴隷」

給付金によって、労働者は労働せずに商品・サービスを消費をすることができるでしょう。
「商品・サービス」の値上がりが無ければ永遠にその状態を保ちたいと思うでしょう。
しかし、現実は値上がりします。結局、労働せずにいたがために品薄になり値上がりした「商品・サービス」を購入するために、結局富裕資本家の提供する「労働」という状況から抜け出すことはできないです。
いえ、労働によってはその状況から抜け出す未来の可能性があるならまだしも、BIが給付されることにより、商品の販売価格は需要者が決める要素よりも供給側が決める要素がより強まり、労働者の奴隷階級化はより固定化が進むでしょう。
階級の固定化は資本家・貴族として固定化も生み出す要素になり得るでしょう。

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