ベーシックインカムは極めて怪しい.4―格差是正とは何か?お箸の例え―
■経済政策とは格差是正のこと
経済政策とは、貧しさ故に死者が増えないことを企図した政策のことなので、基本、貧困層対策に主眼が置かれますし、その対策は貧困層と富裕層の経済的(金銭的・福祉的)格差是正こそが経済政策、と呼ばれるものになります。
逆説的に、格差を是正しない金銭的・福祉的政策や、格差を拡大するような政策は経済政策ではない、ということになります。
経済政策を謳って、実際には格差を是正しない偽物の経済政策のなんと多いことか、と実に嘆かわしいのがこの日本の現状です。
言っておきますが、消費税という格差拡大政策も、導入当時は格差是正をするための社会保障費の財源という名目により導入された制度です。
■完全な金銭的(名目価値の)格差の是正はできない
恐らくなのですが、BI推進派の人たちは、金銭的格差と福祉的格差の区別がついていません。
現実、金銭的格差の是正は実現できるか?と言えばこれは不可能です。
金銭的格差の是正ができる社会というのは主流派経済学の中でも特に一般均衡理論が適用されるローザンヌ学派やオーストリア学派的な典型的な「不確実性」を排除した「完全競争市場」という「非人間的な空間・社会」での空想的産物です。
私たちは、不足するものを買おうとする購買意欲があり、売って儲けようという商意欲があります。
商売という不確実性は人間である以上絶対に否定できません。
つまり、金銭的格差が存在することは否定できません。
勿論、現実に存在する極端な格差への対処は現実的には求められるでしょうが詳細を説明すると論点が反れますので、別の機会にいたしましょう。
■代わりに福祉的(実質価値の)格差の是正はできる
一方で、社会生活における格差は是正できます。
これは「日本人であればどんなに貧しくても『食欲』『睡眠欲』『性欲』の三大欲求が満たされる空間」が準備されることにより達成されます。
これが行政サービスであり、福祉です。
実は貧乏であっても、福祉が充実していれば人は不幸ではない、と言えます。勿論、金銭的に余裕があればもっと幸福になれる選択肢があり、比較すれば富裕者と貧者は富裕者の方が幸福かもしれません。
しかし、貧者や貧乏であっても、貧困ではないようにする、ということが達成できれば、金銭的格差の是正は(全くしなくて良いとは言いませんが)第一に優先しなくてもよいものになります。
■お箸に例えた格差
思いついた小話に「お箸」について考えたものがありますので、それをご紹介します。
■まとめ:格差是正の重要性と別案
4.の最後の機能不全に陥った社会福祉と、5.の格差是正効果のないBIが全く同じ「格差拡大」の方向性に効力を発揮する、というのが私の想像となります。
恐らく4.のゆっくりとした格差拡大のスピードアップバージョンが5.のBIとなるでしょう。
逆説的に、4.の
「富裕層の販売する割りばしの金額が値上がりする(インフレ)」に対応できるように「生活保護の給付金を増やすことができる社会」であれば、BIなど必要ないでしょう。これは金銭的格差は福祉的格差の是正(割り箸の提供)で補えることを示しています。
5.は福祉的格差(貧困層に割り箸の無い状況)は金銭的格差の是正では補えない、寧ろ社会的格差が拡大することを示しているわけです。
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