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「教育・子育てのノロイをほぐす」〜赤木和重さん×蓑手章吾さん対談〜

神戸大学大学院で発達障害の子どもに関わる心理学者の赤木和重さんと、公立小学校と特別支援学校で勤務経験のある蓑手章吾先生が、「教育・子育てのノロイ」をほぐす!をテーマに対談しました。

「なんでできないの…」「みんなと同じじゃないと…」と教育・子育てにまつわる「ノロイ」に苦しめられている保護者、教員の方必見です!

この記事では、対談で印象に残ったシーンを3つほどピックアップしてご紹介させていただきます。

紹介したハイライトシーンを動画で視聴される場合は、それぞれタイムスタンプを記載しましたので、このページの最後にある動画をクリックしていただき、該当のシーンからご視聴いただけるようにしております。ぜひ動画とあわせてお楽しみください!

1 「できる」のノロイをほぐす

算数の授業で、前時ではできていた「18+3=?」の問題に子ども(知的障害・自閉症・多動)が答えに詰まったとします。あなたが先生ならどう声をかけますか?

このお題は対談の中で赤木さんが参加者に問いかけたものです。

私はこの問いを見たときに、「8+3」ができるかどうか確認するかなと考えました。しかし赤木さんから紹介された特別支援教室での村上 公也先生の対応を聞いて、自分が無意識に「できる」ようにさせたくなっていたことに気づきました。

赤木さん:村上先生は「そうや、それが考えるってことや!」と言いました。ほめるというより興奮していたんです。村上先生は「できない」ではなく「考えている」そこに価値があると興奮していました。
子ども自身も「できない、できない」と思ってしまっていたときに、先生が興奮している様子を見て「こういうことでいいんや」とわかり、結果として能力もついていくんです。

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大事なことは「子どもの内面を知る」こととわかっているのに、いざとなると私たちは無意識に「できる」ようにさせたくなってしまいます。このような「~すべき」という思い込み(=ノロイ)が今自分や子どもをしんどくしているのでは、と赤木さんは指摘しました。


そしてノロイは自覚することでほぐれていき、ほぐれることで見えなかった価値が見えるようになるとも語られ、参加者は「自分はどんなノロイに囚われているんだろう」と前向きに考えられる対談のスタートとなりました。

タイムスタンプ:0:02:00

2 「みんな同じ」のノロイをほぐす

蓑手さんは教育現場に「できる限り」同学年で一斉に学ぶノロイがあると指摘します。

これらのノロイにより通常級の先生は「あの子のため」と頑張るけれども、一斉授業についていけない子がいたときに、「あの子さえいなければ」とも思ってしまうこともあるそうです。

そんな言葉を生み出す要因となる「おなじ」のノロイ をほぐすきっかけとなったのが自由進度学習だと蓑手さんは紹介します。

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繰り下がりができない子と高3の数学の問題を解く子が、同じ教室でお互いに成長を実感しているというエピソードを聞き、障害があろうがギフテッドであろうが、みんなが同じ教室で楽しく幸せに学習できる環境がつくれるフルインクルージョンの取り組みだと改めて感じました。

タイムスタンプ 58:11

また赤木さんも通常級の6年生の音楽のテストの例を紹介し、「おなじ」のノロイをほぐすきっかけを与えてくれます。

その音楽のテストでは、「みんなの前でみんなが評価」や「テストなし」など4つの選択肢からテストの実施方法を子ども自身が選べるようにしており、またその選択肢を提示するときに先生が子どもに伝えた言葉もとても素敵でした。

音楽の先生:これからみんなの前で発表したり、面接をうけたりしていくことが多いと思う。そのためには心が強くなければいけない。でもそれは無理しなくていい。ちょっとずつでいいんだよ。今の自分が気持ちよく歌えるようなかたちを選んでください。

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「おなじ」にしないことで子どもたちは「自分たちを大事にしてもらっている」実感できるんだなぁ、と自由進度学習と音楽の選択式のテストの2つの取り組みを聞き、「おなじ」のノロイがほぐれましたような気がしました。

タイムスタンプ 1:09:00


3 動画のご紹介

ここで紹介した以外にも、対談の中には下記のような大変興味深いお話がたくさんありました。

・人と比べるノロイのほぐし方
・自由進度学習の際の評価方法
・赤木先生絶賛の蓑手学級のルール「どうしても制度」

対談の様子やQ&Aのリアルなやり取りを下記の動画からご視聴いただけます。 ぜひご視聴ください。

赤木和重氏×蓑手章吾氏_対談:教育・子育てのノロイをほぐす

written by みやば

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