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限界保育士がエッセイストになる日まで

幼い頃から保育士になることが夢だったワタシは、お気に入りのエプロンに身をつつみ、子どもたちの笑い声で満たされていく日々を思い描いていました。
「さぁ、今からいよいよ人生が新しく始まる」そんな思いを胸に抱き、エプロンを着たあの日のことを今でも忘れません。

けれども現実は思っていた以上に辛く、苦しいことばかりでした。気がつけば保育士になって今年で9年目を迎えますが、現状は何一つ変わることはなく、どんどん働きにくくなるばかりです。

子どもたちの前で笑顔を作りながらも、徐々に壊れていく心を無視することしかできませんでした。

遊戯室や倉庫で1人泣いたこともありました。

誰かに助けを求めたくて、名前も知らない人の言葉に救われたくて、本屋に何度も足を運んだこともありました。
けれども保育士に寄り添ってくれるような本は一冊も見当たらず、蛍光色の表紙だらけの本が並べられているばかりでした。

あの時、保育の世界で苦しんでいた人の言葉を聞くことができたら、どれだけ救われただろう。

たった一言でも「大丈夫だよ。あなたがやっていることは間違っていないから」と語りかけてくれるような本に出会えていたら、人生は大きく変わっていたかもしれません。

ワタシは文章は上手ではないし、文才があるわけでもありません。けれども今までたくさん辛い経験をしてきたからこそ、文章を通して寄り添うことができたらと思い、エッセイという形で文章に残すことを始めました。

そしていつしか「保育士さんたちが笑顔になれるように、たった1人でも寄り添えるような物書きになりたい」という夢を持つようになりました。

この夢がいつ叶うか、そしてどのような形であらゆる人に寄り添えるのかはワタシにも正直わかりません。けれども、たった1人でもいいから、「救われた・・・」そう思ってくれる人に出会えることができたなら、きっと文章を書き続ける意味があると思うから。

生活を犠牲にして、心を壊して働くことが美徳じゃない。

保育士はロボットでもなければ、便利屋でもない。同じ血の通った人間であることを伝え続けるためにも。

ワタシなりの言葉で、あらゆることを綴っていきたいと思います。

全ての保育士さんたちが純粋に笑って子どもたちと過ごせる日が来ることを、心から願いながら。


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