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ファーストGUCCI から新しい価値観を手渡せるのかどうかの件。

誕生日を数日後に控えた彼に
何か欲しいものはないかとたずねたら、

「ネクタイ」

と、熱っぽく答えた。

6月に入って社会活動は徐々に再起動し出してきている。
彼の仕事もまた社会のそれと同じ流れの中にいた。

仕事がしたくて「うずうず」していた彼の気合いが
その一言からもこれでもか!というほど感じる。

ネクタイか。。

まず最初に頭に浮かんだのは、彼の私服でも多い「gu」や「Tommy」や「DIESEL」

でも。。

んんんーーーーー。。。

なんだかピンとこないなぁ。

guもTommyもDIESELもプライベートなら
間違えなく彼が服を選ぶときは、決まってこの3つから回る。

けれど、ビジネスシーンではもう少し、、、

もしかしたらもう少し背伸びをしてもいいのかもしれない。

と考え直した。

パラパラと流れる様にめくっていた雑誌
不意にそのページをまた送りかけ、戻した。

GUCCI

隣にいた彼と目が合う。

GUCCI か。。

彼に
「なぁ、GUCCI って知ってる?」

とたずねたら、「知らん。」と答えた。

まぁ、そうやろなと思いながら

私は自分のファーストGUCCIはいつだったかなと思い返した。

あぁ、あれは高校生2年生の時だった。

フレームカラーを自由に変えられる円形の時計だった。

今回はそれとはまた違う。
ネクタイは大切なビジネスアイテムだ。

これは、今までの彼の中にはおそらく無い「価値観」になるだろう。

その「新しい価値観」を彼にプレゼントしてみようか。と考えた。

例えば、GUCCI のネクタイを身に付けると
もしかしたら相手の方とのコミュニケーションが少し変化するかもしれない。

もしかしたら彼自身も何か変化を感じる事もあるかもしれない。

そんなある種独特の感覚を、経験値として知っておく事も悪くない。

そこでほぼ「GUCCI ってなんやのん。」
状態の彼と
「阪神地下でミックスジュース買ってあげるから」と、平日休日に関わらずすっかり引きこもりも板につきかけていた娘をショッピングに誘い、梅田阪急メンズ館二階のGUCCIへ向かった。

入り口から真っ黒なスーツに身を包んだ素敵な笑顔のスタッフさんが車椅子を素敵にエスコートしてくれる。

冷房がきんと効いて心地がいい。

ずらりと並んだショーケース。
ネクタイは入ってすぐの入り口左手に並べられていた。

「黒のネクタイが欲しい」

予めある程度イメージは絞っていたので、担当してくださったスタッフさんにお伝えすると
彼のイメージにあった幾つかの黒ベースのネクタイを並べてくれた。

「こちらはデニムにもスーツにもとても合いますよ」

迷っている彼に店員さんがアドバイスをくれた。


おおお!
着回しが効くとは、素敵やないか。

ファッションで着回しが効く事はとても大きな魅力の一つだ。

彼と目が合う。

「こちらの蜂には「素敵な出会いを運ぶ」という願いが込められているんです。」


二本つけ比べ、
結果真っ黒のベースにゴールドの蜂がワンポイントのタイトなデザインの物を彼は選んだ。

箱に詰めてくださっている間、フカフカのソファーに腰を下ろし、初めてゆっくり店内を見回してみた。

すると同じように隣にいた娘が私に耳打ちをしてきた。、

「ママ。ここにいる人みんなお金持ちなん?」

「あら。よくわかったね。きっと。ね。」

すると娘がグイッと体を寄せて、
さっきよりもっと小さめの声でこういった。

「大丈夫よママ。ママもそう見えてるから。」

「ありがとう😊」

出来るだけゆったりとした笑顔で応えると、
彼女もまた見たこともないゆったりとした笑顔で返してきた。

どうやら環境に影響されるのは、年齢はさほど関係ないらしい。

ファーストGUCCIから新しい価値観と出会い、
彼はどう感じるのだろうか。

何か感じるのか、全く何も感じないのか。
おそらく彼のキャラ的には後者かと思うが、

新しい社会で再スタートを切る彼だ。
光り輝くゴールドの蜂さんパワーで、これからも素敵な出会いがありますように。。

と願う母であった。

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