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恥ずかしい記憶の処理方法をだれか教えて

小さな恥ずかしい過去の行いは、突然頭の中に降ってくる。

 列車に乗って目線を窓に向けているとき、ソファに寝そべって日々のことを考えている途中に思考が横道にそれるとき、美容室で髪を切ってもらっているさまを鏡でただ見ている時。突然昔の恥ずかしいことを思い出して、叫びたくなる。というか、叫んでいる。外で急に思い出したときはとりあえずこぶしを握るか、眉間にしわを寄せている。奴は何も考えてないときにあらわれて、何も意味を与えずにいなくなる。こっちだっていそがしいんだ。意味をもたないなら、現れるな、と言いたくなる。

なぜならその記憶を消すのに時間がかかるからだ。悶絶する時間は無駄なんだ・・。

さっきいきなり降ってきた恥ずかしい記憶は、ベットに横たわった時に思い出した。

高校時代あこがれていた人がいて、卒業後の春休み、ひょんなことからアドレスを交換した。私は春から大学生で、彼は浪人生だった。交換したことだけでもうれしくて仕方がなかったのに、なんと向こうから連絡がきたのだ。

恋心、というより遠くから見てれば十分だった。高校時代学校祭で歌っているのを見て心打たれた。完璧にアイドルみたいなもんだった。

だから浮足立ってしまったのだ。口をきいてくれること、連絡を返してくれることがうれしかった。

「浪人生に大学の話はタブー」なんてよく考えれば当たり前なのだが、なぜか私は普通に「サークルどうしよう」という話をした。もちろんそれには「どうして俺にそんなこと聞くの?」と帰ってきた。慌てて謝罪ラインを10通ほど返したが、ラインは一切帰ってくることがなかった。

なぜ、そんなことをしたのかというと、「普通に」接することが「いいこと」だと判断したのだ。「浪人生だから」といって気をつかわないことが、気をつかうことだと思い込んでいたのだ。

なぜ「浪人生には大学生活の話はタブー」というセオリーを守らなかったのだろうか。

それは、きっと私のどこかに、「浪人生だから」といって気をつかわないことが、気を使うこと、つまり「浪人生にサークルの話をしちゃう私って逆に気が使えるでしょ?」という気持ちでラインをしていた。

今考えるとトンデモ理論。それは阿吽の呼吸が使えるようになってからその理論が通用するか、どうか見極めるべきでは?いや、というか阿吽の呼吸の仲になってもそんなやつごめんだって場合がほとんどだと思う。

それを思い出して「かっこつけんなよ~~~普通につつましく応援しろよ~~~」と恥ずかしくなり、彼にめちゃくちゃ申し訳なくなり、少しうなったあと、枕に顔をうずめた。

あと、よく降ってくる記憶で、「職場にカギを忘れた話」もある。

仕事帰り、ぷらぷらと一人で飲みに出かけた後、日付が変わろうとしていたころ、職場にカギを忘れたことに気が付いた。既に職場が入っているテナントビルにはカギがかかっていた。次の日の仕事だし、絶対ベットで寝たい。現金もカードもっておらず、(現金は使い果たしてしまった)ホテルに泊まることもできない。どうしようか、次の日も仕事なので絶対に寝たい。

ダメもとでテナントの管理室のインターホンを押した。


「あの鍵をわすれてしまったんですけど・・」
「もう入れないですよ、決まりなんで、というかどなたですか?」
「ここの従業員です・・」


その後、友達と連絡が付いたので泊めてもらったのだが、このやりとりが原因で翌日上司からお説教を食らうことになる。
「どうして名乗らなかったの?社会人、というか人として常識じゃない?」

こういわれた瞬間、ごもっともだと思ったし、自分の悪いところが凝縮された結果がこれだ、と思って、自分の中の悪魔をつまみ出されたような気持になった。

名乗らなかったのは、名前など言ってもわからない、と思ったし、名乗らなくていいのであれば名乗りたくなかった。結構酔っぱらってたのがばれない程度にさっさと退散したかったし、なぜかその時は「深夜まで飲んでいる」とだれにも思われたくなかった。どんな自意識だよ。3年前の話だしみんな外で飲むよ一人でも飲むよ、コロナ禍2021年の私はあなたがうらやましいよ。

夜道をあるいているとこちらの思い出も思い出されて、「あぁ~~~ほんと自分ってずるいしどうでもいいこと隠してんな!いつも!」と思ってしまう。

割と死ぬほど悲しかったり、傷ついたりしたことはなんとか消化しようとずっと覚えている。そして何かのタイミングで消化するもんなんだけど、小さな恥ずかしいことって、ないがしろににてほっときがち。だからそのうち記憶の片隅に追いやられてしまうけど、ある日何かがトリガーになって、急に現れて、恥ずかしさの時限爆弾みたいに現れる。

 きっと、考えすぎで逆にデリカシーがなくなるのも、常識がさっと出てこないところも、ずるいところもちゃんと定期的に思い出して、肝に銘じておけ、ということなのだろうか。でも何回繰り返せばいいのだろう?もうお腹いっぱいなので「うわぁ」と悶絶するのもいいけど、半分笑い飛ばすくらいでちょうどいい気もしている。


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