― 「ところかまわずナスかじり」第百八十話 イタタタタ ―

 秘密警察などで行われている拷問方法が最近、進化している。
 以前のように暴力に頼るやり方では、痛みに耐える訓練をしている者には効果がない、というCIAの経験結果が出ており、各国では以下のような拷問方法を積極的に採用するようになった。

<最新拷問方法:TLA(Top Lady Attack)とは>
街中より、タイトなシャツ、タイトなパンツ、網タイツ、ハイヒール、そして真っ赤な口紅をつけた、八十歳前後の女性をスカウトし、被疑者の眼前を歩かせる。

 ただそれだけのことであるが、驚くべきことに、この拷問を5分以上我慢できた被疑者は未だいない、という。


<実験的に新拷問を受けた、元海兵隊員のオリバー・シュタイナー氏の言>
― 何が起こったのか分からない。一分程度までは意識はあったと思う。しかし、目の前をレディーが行き来するたびに頭の奥で何かが冷えていくような感覚があり、目の前がピンクに霧がかったようになった。気が付いた時、私は自分がゲイであることを担当官に話していた ―


 よく、『拷問はイタチごっこ』と言われる。
 どんなに効果的な拷問でも、その拷問に耐性のできた人間には効かなくなる、ということだ。
 その意味でも、この‟TLA”の効果が永遠に続くとは考え難いが、現在、最も効果的かつ効率的な拷問であることは間違いない。
 なお、使用後のレディーは街にリリースされる、ということである・・・

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