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第24話 新弟子ブリアレオス

24. 疑問詞(1) 疑問詞の種類と用法

(8月5日 パンドラ宅③)

パンドラの父ヘパイストスは、幼いころに自分を捨てた母ヘラへの復讐に燃えていた。
彼は自宅の片隅にある工房で、完成した例の椅子の前に立ち、にんまりとしていた。
「あとは、こいつをヘラに送るだけ、……ヒーヒッヒッヒ」と、勝ち誇ったかのように笑っていると、神々の使者ヘルメスがやってきた。
「どもー、毎度」
「おぉ、ヘルメス。悪いがこれをヘラに届けてくれんか」
「ええ、お安いご用で」
彼は早速、翼の生えた帽子とサンダルを身に付け、ヘラのもとへと急いだ。――
あっという間に、ヘラ宅に着くと、
「ヘラ様、ヘラ様、……ヘパイストス様から、お届け物です」
「あら、何かしら? 開けてみてくれる?」
ヘルメスが段ボール箱を器用に開けると、中から、それはそれは贅沢な黄金の椅子が現れた。
「まぁ、……立派な椅子ねぇ。あの子もなかなかやるじゃないの」
と、訝ることなくヘラは椅子に腰を下ろした。
すると、
ビュルッ
「わっ、何じゃこりゃ。わっ、わっ、ひーっ、助けてー!」
背板から、肘掛けから、前脚から細い鎖のようなものが出てきて、一瞬のうちに彼女の体は椅子に縛り付けられてしまった。
「ヘラ様、ヘラ様、大丈夫ですか」
「大丈夫じゃないわよ! 早く、外して」
が、ヘルメスはあたふたするばかり。
「ダメです。外れません。恐らく、ヘパイストス様にしか外せないかと、……」
「じゃあ、あの子を呼んできて。早く!」
ヘルメスは命令されるがまま、ヘパイストスを呼びにいった。――
「ヘパイストス様、ヘパイストス様、……ヘラ様がお呼びです」
「ヒーヒッヒッヒ、大成功」と、ヘパイストスは何もかも予定通りと言わんばかりに笑っていた。「だが、まだまだ、これからだ」
何を企んでいるのか、ヘパイストスはヘルメスに連れられ、ヘラ宅へと向かった。――
「母さん、大丈夫かい? ヒーヒッヒッヒ」
「大丈夫じゃないわよ! 早く、外して」
「やだね、ヒーヒッヒッヒ」
「お願いだから、外してちょうだい」
と、ヘラが懇願する。
「じゃあ、母さん、……取り引きしよう。実は今、人手不足でねぇ。弟子が欲しいんだよ、弟子が。しかも、腕利きの」
「紹介する、……紹介するわ。最高の職人をお前に紹介するから、早く外してちょうだい」
「わかった、……約束だぞ」
こうして、ヘパイストスは母への復讐を遂げた。
が、彼はこのときすでに、第2の復讐――元カノとその浮気相手への復讐――を企んでいたのだった。

「ども! 家庭教師のタムラです、……ナンチャッテ」
「はーい、……あれ? 先生じゃなーい」と、パンドラが言う。「どちらさまですかー?」
「ブリアレオスと申します。ヘパイストスさんは、おりましたか?」
「少々、お待ち下さーい」と、パンドラ。「お父さーん、何か変な人来た」
(なにぃ? 何か変な人?)と、奥からヘパイストスの声がする。(今、行くから、待たせとけ)
間もなく、ヘパイストスが玄関先に現れた。
「はい、お待たせ」と、彼は目の前の何か変な人を睨みつけた。
「こんにちは。ブリアレオスです」
「おぉ、ヘラの紹介の」
「はい」
ブリアレオス(=ブリ吉)は左右に50本ずつ腕を持つ百腕巨人で、ゴルゴン家の使用人アルゲス(=アル男)とともに、幼いころから父親に嫌われ、地下に幽閉されていた。見兼ねたゼウスは、彼らが15歳のときに地下から彼らを救い出し、保護した。その後、言語能力を高めるために、タムラ塾に入塾、卒業して現在に至る。――
「にしても、お前、手、一杯あるなぁ」
と、ヘパイストスがギョロ目をさらにギョロつかせて言う。
「はい。おかげで、1人で50人分の仕事ができちゃったりなんかして」と、調子のいいブリ吉。
と、そこへ本物登場。
「ども! 家庭教師のタムラです」
「あ、先生。お久しぶりです」
「おぉ、ブリ吉! 元気だったか?」
「はい。先生のおかげさまで、……ナンチャッテ」
――相変わらず、くだらんことを言ってるな、コイツ。
「で? なんでここに?」
「今日から親方んところで、お世話になることになったんで」
「親方って、パンドラのお父さんのこと?」
「そうっす。ねっ、親方」
「まぁな。ヘラに頼まれちゃあ、しゃーねーや、……ヒーヒッヒッヒ」と、意味深に笑うヘパイストス。「どぉれ、ブリ吉、……早速、仕事だ」
「へい、親方」
「あそこにベッドがあるだろう」と、ヘパイストスは工房の奥を指差した。
「あれはわしが作った特製ベッドなんだが、仕上げに粘土で飾りを作ってもらいたい。できるか?」
「へい、親方」
「ではまず、粘土を練ってくれ。よ~く練るんだぞ」
「へい、親方」
「ベッドだけに、よ~く寝るんじゃねーぞ、……ヒーヒッヒッヒ」
「うまい! さすが、親方!」
「まぁな、……ヒーヒッヒッヒ」
――聞かぬふり、聞かぬふり、っと。
「そうだ、先生」と、ヘパイストスが振り向いた。「試しに、あれに寝てみてもらえんか」
「また、変な鎖が出てくるんじゃないでしょうね」
「いいから、いいから」
と、ヘパイストスは強引に俺を引っ張っていった。――
「では」と半ば諦めて、俺は恐る恐るその特製ベッドとやらに横たわった。
――何だ? このフィット感。寝ているだけで癒される。あー、もう立てない、立ちたくない。このまま永遠に寝ていたぁいたぁぁいたぁぁぁい、……。
と、思っていた矢先に、
ビュルッ
「わっ、何じゃこりゃ。わっ、わっ、ひーっ、助けてー!」
床板から、サイドフレームから、ヘッドボードから細い鎖のようなものが出てきて、一瞬のうちに俺の体はベッドに縛り付けられてしまった。
「どうだい、先生、……寝心地は。ヒーヒッヒッヒ」
「いや、『どうだい』って言われても、……」俺は身動きできないまま言った。「ところで、何ですか? このベッド」
「ん? アプロディテとアレスへのプ・レ・ゼ・ン・ト」
アプロディテは愛と美の女神で、ローマ神話ではウェヌス(Venus)、英語読みでヴィーナス(=「金星」の意)と同一視される。また、軍神アレスはゼウスとヘラの息子でヘパイストスの兄弟にあたり、ローマ神話ではマルス(Mars)、英語読みでマーズ(=「火星」の意)と同一視される。マルスは古代の戦争が冬に中断し春に再開したことから、マーチ(March=「3月」の意)の語源となった。
「はぁ? こんなの喜びますかねぇ?」
「誰が喜ばすと言った? いいの、いいの。ヒーヒッヒッヒ」
一体、彼は何を企んでいるのか。
訝しがる俺を尻目に見ながら、ヘパイストスはブリ吉を残して居間へと戻っていった。
――どうでもいいけど、この鎖、何とかしてくれー!

「どぉれ、やっぞぉ。今日のテーマは『疑問詞(1) 疑問詞の種類と用法』ね。早速、<アテナの黙示録24>を見てみましょ。

<アテナの黙示録24> 疑問詞(1) 疑問詞の種類と用法
【1】疑問詞の種類
|★文頭に置いて、yes/no で答えられない疑問文をつくる単語を疑問詞という。
||例)Is he Ken?(彼はケンですか)…yes/no で答えられる疑問文
||||―Yes, he is./No, he isn’t.(はい、そうです/いいえ、ちがいます)
||||Who is he?(彼はだれですか)…yes/no で答えられない疑問文
||||―He is Ken.(彼はケンです)…疑問詞で問われている人/ものを答える。
||||※who は「だれ(が/に/を)」の意味の疑問詞。
||||※疑問詞で始まる疑問文は、下げ調子で読む。
|★疑問詞には9個ある。
||who(だれが/に/を), whose(だれの/だれのもの), whom(だれに/を), what(何が/の/に/を), which(どちらが/の/に/を), how(どうやって/どれくらい), when(いつ), where(どこで/に), why(なぜ)
|||例1)Who is he?(彼はだれですか)
||||||―He is Ken.(彼はケンです)
|||例2)Whose book is this?(これはだれの本ですか)
||||||―It's mine.(それは私のものです)
|||例3)Whom did you meet yesterday?(あなたは昨日だれに会いましたか)
||||||―I met Mike.(私はマイクに会いました)
|||例4)What are you studying now?(あなたは今何を勉強しているところですか)
||||||―I'm studying math.(私は数学を勉強しているところです)
|||例5)Which is your bag?(あなたのバッグはどちらですか)
||||||―This one is.(こちらのバッグが私のものです)
||||||※この場合の one は、bag の代わり(=代名詞)。
|||例6)How do you go to school?(あなたはどうやって学校に行きますか)
||||||―I go to school by bus.(私はバスで学校に行きます)
|||例7)When did you come here?(あなたはいつここに来ましたか)
||||||―I came here an hour ago.(私は1時間前にここに来ました)
|||例8)Where did you go last Sunday?(あなたはこの前の日曜日にどこに行きましたか)
||||||―I went to the park.(私は公園に行きました)
|||例9)Why do you study English?(あなたはなぜ英語を勉強するのですか)
||||||―To be an English teacher.(英語の先生になるためです)

いがぁ。【1】から。yes/no で答えられない疑問文をつくる単語を疑問詞、っていうよ。で、大事なのは、これを文頭で使う、ってこと。例えば、『彼はケンですか』は英語で、Is he Ken? だけど、『彼はだれですか』って言うときは、Is he who?(×)とは言わないで、Who is he? になるってことね。で、読むときは、下げ調子」
「下げ調子?」
「そ。普通の疑問文を読むときは、上げ調子だったでしょ。でも、疑問詞で始まる疑問文(=yes/no で答えられない疑問文)は、普通の文(=ピリオド<.>で終わる文)みたいに下げ調子、ってことね」
「そうなんだ」
「じゃあ、どうやって答えるか、っちゅーと、『彼はだれですか』って聞かれてるのに、『はい、そうです』とか『いいえ、ちがいます』じゃ変なわけで」
「たしかに」
「こういうときは、何を聞かれてるのかを考えて、聞かれてる人/ものを具体的に答えるわけよ。今の場合は、『彼はだれですか』って聞かれてるんだから、例えば、その人が『ケン』であれば?」
「He is Ken.」
「そ。『私の兄弟』であれば?」
「He is my brother.」
「てことねん。OK?」
「オッケー」
「じゃあ、こういう疑問詞にはどういうのがあるか、っちゅーと、はい、次の★。全部で9個あるよ」
「……」テキストとにらめっこ中のパンドラ。「まさかの、……暗記?」
「そ」
「どっひゃー!」
「はい、リピート・アフター・ミーだ。フー、フーズ、フーム、ホワットゥ、フィッチ、ハウ、ホエン、ホエア、ホワイ」
「フー、フーズ、フーム、ホワットゥ、フィッチ、ハウ、ホエン、ホエア、ホワイ」
「はい、もう1回」
「フー、フーズ、フーム、ホワットゥ、フィッチ、ハウ、ホエン、ホエア、ホワイ」
「はい、もう1回」
「who, whose, whom, what, which, how, when, where, why」
「おしっ。んで、ノートに10回ずつ、書きぃ!」
「出たー! お約束のやつ」
「まぁ、how 以外は全部、wh- で始まってるんだから、覚えやすいでしょ」
「そーだけどぉ」と言いながらも、書きだすパンドラ。「ん? whom って?」
「うん、whom は『だれに/を』っていう意味なんだけど、現代英語では whom の代わりに who を使うのが普通」
「じゃあ、……」
「覚えなさい」
「ぐぶぅ、……」
「おしっ。書いたら、例文を見てみっぞ。はい、例1)から、『彼はだれですか』だったら?」
「Who is he?」
「そ。『だれですか』って聞かれてるんだから、『ケンです』って答えればいい。実際には『彼はケンです』だから」
「He is Ken.」
「てことね。はい、例2)。『これはだれの本ですか』を英語で言うと」
「Whose is(×)」
「ん・ん・ん、チョイ待ち、……『だれの本』は切り離せないよ」
「てことわぁ、Whose book is this?」
「そ。まぁ、Whose is this book? で『この本はだれのものですか』っていう意味にもなるから、どっちでもよさそうなんだけど、……今は英文法の時間なんで、前者は『これは(=this)』が主語で、whose は『だれの』の意味、後者は『この本は(=this book)』が主語で、whose は『だれのもの』の意味で使われてるってことをきちんと理解して使い分けましょ。答えるときは、『それは~のものです』って答えればいいんだから、例えば『私のもの』であれば」
「It's mine.」
「そ。『あなたのもの』だったら?」
「It's yours.」
「おぉ、やるな。じゃあ、『彼のもの』だったら?」
「It's his.」
「そのとーし! his には『彼の』の他に『彼のもの』っていう意味もあるからね。素晴らしい!」
「いぇあ! パンドラ、……アイ・マイ・ミー・マインは得意なんだよねぇ」
「全部、覚えたのか」
「うん」
「おしっ、いいよぉ、……その調子で頑張れ。では、次、例3)。『あなたは昨日だれに会いましたか』だったら?」
「Whom did you meet yesterday?」
「そ。さっきも言ったけど、現代英語では、whom の代わりに who を使うのが普通なんだけど、まぁ、こういう単語もあるんだ、ってことを覚えておきましょ。答えるときは『~に会いました』ってやればいいんだから、例えば『マイクに会いました』だったら」
「I met Mike.」
「そ。『あなたは~に会いましたか』って聞かれてるんだから、答えるときは『私は~に会いました』だよね。んで、次、例4)。『あなたは今何を勉強しているところですか』を英語で言うと」
「What are you studying now?」
「そ。『何を』は what を使えばいい。じゃあ、『数学を勉強してるところです』って答えるときは?」
「I'm studying math.」
「そ。『英語を勉強しているところです』だったら?」
「I'm studying English.」
「おしっ、いでしょ。はい、次、例5)。『あなたのバッグはどちらですか』を英語で言うと?」
「Which is your bag?」
「そ。『どちらですか』って聞かれてるんだから、答えるときは、例えば、『こちらのバッグです』とかね」
「This one is.」
「そ。この場合の one は bag を指す代名詞の one ね」
「『1』じゃないんだ」
「そ。こういう one もあるんで、要注意だね。ちなみに、is のうしろには何が省略されてると思う?」
「……」
「『あなたのバッグはどちらですか』って聞かれてるんだから、『こちらのバッグが』、……何?」
「……、『私のもの』?」
「だよね。よって、is のうしろには mine が省略されてるよ。はい、次、例6)。『あなたはどうやって学校に行きますか』を英語にすると?」
「How do you go to school?」
「そ。『どうやって』って聞かれてるんだから、手段を答えればいいね。例えば、『バスで』だったら?」
「I go to school by bus.」
「そ。『バスで』は by bus、まぁ、バスに限らず、『(乗り物)で』って言うときは『by +乗り物』で表現するよ。決まり文句だから、この機会に覚えましょ。あと、会話では、I go to school を省略して、By bus. って答えるのが普通なんだけど、その場合は『主語+述語動詞』が省略されてる、ってことを頭に入れた上で省略しましょ。OK?」
「オッケー」
「んで、次、例7)。『あなたはいつここに来ましたか』を英語にすると?」
「When did you come here?」
「そ。『いつ』って聞かれてるんだから、『とき』を答えればいいね。例えば、『1時間前に』だったら?」
「I came here an hour ago.」
「そ。hour[アウア]は『時間』っていう意味なんだけど、発音・スペル注意ね。h は読まないよ。よって、母音[ア]で始まる単語なんだから、『1時間』であれば、an hour だよね。はい、次、例8)。『あなたはこの前の日曜日にどこに行きましたか』を英語にすると?」
「Where did you go last Sunday?」
「そ。『どこに』って聞かれてるんだから、『場所』を答えればいいね。例えば、『公園に』だったら?」
「I went to the park.」
「そ。『公園に』の『に』にあたる前置詞 to が必要だね。まぁ、この前置詞については、後日詳しくやるんで、今日のところは『公園に=to the park』の丸暗記で、いでしょ。はい、次、例9)。『あなたはなぜ英語を勉強するのですか』を英語にすると?」
「Why do you study English?」
「そ。『なぜ』って聞かれてるんだから、『理由』を答えればいいね。例えば、『英語の先生になるために』であれば?」
「To be an English teacher.」
「そ。『to +動詞の原形』で『~するために』っていう意味になるよ。これを『不定詞』っていうんだけど、まぁ、これも後日じっくりやりますんで、今日のところは表現の丸暗記で、いでしょ。ちなみに、To be an English teacher. の前には何が省略されてる?」
「……」
「『英語の先生になるために』、だれが/何を/どうするの?」
「『私は英語を勉強する』」
「そ。よって?」
「I study English」
「が、省略されてる、ってことね。はい、ここまでどっか、質問ある?」
「なーい!」
「おしっ。んで、次、【2】に行くぞ」
「先生?」
「ん?」
「今日、なんか長くない?」
「何が? 鼻?」
「ぞうさんじゃないんだからさぁ。じゃなくてぇ、……授業!」
「そうかしら? 気のせい、気のせい」
――この手の発言は、サラッと流すべし。

【2】主語になる疑問詞
|★疑問詞が主語になる場合は、答え方に注意する。
||例1)Who lives in that house?(だれがあの家に住んでいますか)
|||||―My brother does.(私の兄弟が住んでいます)
|||||※疑問詞が主語になる場合は、3人称単数扱い。
|||||※この場合の does は、一般動詞の現在形 lives の代わり(=代動詞)。
||例2)Who lived in that house?(だれがあの家に住んでいましたか)
|||||―My brother did.(私の兄弟が住んでいました)
|||||※この場合の did は、一般動詞の過去形 lived の代わり(=代動詞)。

「いがぁ。疑問詞が主語になるとき、……例えば、『だれがあの家に住んでいますか』っていう文の主語は『だれが』だよね」
「うん」
「だからと言って、Does who ~?(×)とはしないよ。こういうときは、Who lives in that house? って言うよ。ここで大事なのは、who は3人称単数主語だ、ってことね。だから、live(住んでいる)が lives になってるわけよ。いい?」
「フムフム」
「で、答え方も注意。『だれが』って聞かれてるんだから、『~が住んでいます』って答えればいいんだけど、だからと言って、例えば、『私の兄弟が住んでいます』って言うときに、My brother lives. とは、普通しないで、lives の代わりに does を使って、My brother does. って答えるよ」
「なんか、めんど」
「まぁね。大体、英語っていうのは、同じものを繰り返すのが嫌いなんでね、……だから省略も多いわけで」
「ふ~ん」
「じゃあ、『だれがあの家に住んでいましたか』だったら?」
「Who lived in that house?」
「そ。今度は過去の文なんだから、live を lived にすればいいね。さて、どうやって答える? 『私の兄弟が住んでいました』だったら?」
「My brother did.」
「そのとーし! lived の代わりに did を使えばいいよ。こういう動詞の代わりに使う do, does, did を代動詞、って言うんだけど、まぁ、do, does, did にはそういう用法もあるんだ、ってことを覚えておきましょ」
「あ~い」
――メドりんか!
「んじゃ、とっとと、<スピンクスの謎24>をやっちゃうぞ。

<スピンクスの謎24> 疑問詞(1) 疑問詞の種類と用法
次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(1) (Who, Whose, Whom) pen is this?
||―It’s mine.
(2) (What, Which, How) are you doing?
||―I’m writing a letter.
(3) (What, Which, How) did you come here?
||―By car.
(4) Who broke the window?
||―I (do, does, did).
(  )内の指示に従って、次の英文を書き換えなさい。
(5) I played tennis in the park.(in the park が答えの中心になる疑問文に)

はい、(1)から、答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(1) (Who, Whose, Whom) pen is this?
||―It’s mine.

「Whose pen is this?  ―It’s mine.」
「そのとーし! ところで、なんで?」
「んー」
「疑問詞の選択問題は、答えの文に注目するといいよ」
「あ、mine って答えてるからぁ、『だれの』って聞いてる、みたいな」
「そ。はい、文全体の意味は」
「これはだれのペンですか。―それは私のものです」
「おしっ。はい、次、(2)、……答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(2) (What, Which, How) are you doing?
||―I’m writing a letter.

「What are you doing?  ―I’m writing a letter.」
「そのとーし! なんで?」
「『手紙を書いているところです』って答えてるから、『何をしている?』みたいな」
「そ。はい、文全体の意味」
「あなたは何をしているところですか。―私は手紙を書いているところです」
「そ。writing はスペル注意ね。write の e をとって ing ね。はい、次、(3)、……答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(3) (What, Which, How) did you come here?
||―By car.

「What(×)」
「チョイ待ち。なんで?」
「え、だって、『車』って答えてるから、『何』って聞いたのかな、って思って」
「なるほど。でも、What did you come here?(×)だったら、『あなたは何をここに来ましたか』っていう意味になっちゃうよ。日本語としても、何か変じゃね?」
「たしかに」
「答えの文は、By car.(=『車で』)って答えてるんだから、『何で』あるいは『どうやって』って手段をたずねるべきだよね」
「そっか。てことわぁ、How did you come here?」
「そ。what には『何が/の/に/を』っていう意味はあるけど、『何で』っていう意味はないからね。はい、文全体の意味」
「あなたはどうやってここに来ましたか。車で来ました」
「そ。ちなみに、by car の前に、何が省略されてるの?」
「んー」
「だれがどこに来たの?」
「あ、そっか、『私がここに来た』んだから、I came here」
「そのとーし! 省略の文では、常に何が省略されてるのかを確かめましょ。はい、次、(4)、……答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(4) Who broke the window?
||―I (do, does, did).

「broke って?」
「break(壊す)の過去形。不規則動詞だよ」
「じゃあ、Who broke the window? ―I did.」
「そのとーし! ちなみに、この did は何の代わり?」
「broke」
「そ。はい、文全体の意味」
「だれがその窓を壊しましたか。―私が壊しました」
「そ。はい、ラスト、(5)、……書き換えた英文読みぃ」

(  )内の指示に従って、次の英文を書き換えなさい。
(5) I played tennis in the park.(in the park が答えの中心になる疑問文に)

「Where did you play tennis?」
「そのとーし! 『公園で』が答えの中心になるためには、『場所』を聞けばいいね。『どこで』は where だ。いでしょ。ちなみに意味は?」
「あなたはどこでテニスをしましたか」
「おしっ。はい、通してどっか、質問ある?」
「なーい」
「おしっ。んで、本日終了。お疲れさ~ん」

(コラっ、ブリ吉! だれが寝ろ、って言った!)
(へい、親方)

<オイディプスの答え24> 疑問詞(1) 疑問詞の種類と用法
(1) Whose
(2) What
(3) Where
(4) How
(5) Where did you play tennis?

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