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M.G.T.F.Y.Dってなんの略やねんな

あまり間を空けたくないのでライナーノーツ4本目。
流石にこれは偉すぎる。
やるときゃちゃんとやる男でありたいんです。
やるで。

この曲。今回のアルバムでは若干毛色が違うというか、ライブでやれそうでやれなさそうというかそんな感じの曲。歌も重ね録りマシマシエフェクト濃いめ、な感じの曲。何かの間違いで我々がサカナクションみたいにならないとライブではやらないかもなみたいな曲。(やったらやったで楽しそう)
今回の音源は「シンプルにグッドミュージック」がテーマとしてある雰囲気なので、しっかり"歌モノ"な曲が多いのですが、その中でこの曲は"歌モノ"では無いなと思ってる。

ギターがバリーン!でドーン!とか
コードが美しくてエロくてオシャレな感じ、とか
キャー歌がステキー!とか
ヘンテコで頭グチャグチャになる!、とか
そんな感じの曲が俺は好きです。
故に、ウエムラ発の曲は大体そんな感じになるのですが、シバガキが書くこの手の曲も俺は結構好きでして。
なんでやろーと色々考えた結果、俺が絶対にしないことをたくさんしてるからだな、と思っている。

ギフトフォーユーのライナーノーツに「尖ったものを持ってる人に嫉妬する」と言った旨を書いたけど、嫉妬というのは歪んだ憧れみたいなものだと解釈している節がある。
この切り口で言うのであれば、間違いなく俺はコンポーザーとしてのシバガキに嫉妬だったり、憧れめいた気持ちがあるっちゅーことですね。まーシバガキが出来んことを俺が平気でやってのけることが出来ることも分かっているので劣等感とかそういう気持ちはないんですが。けどシバガキはすごい、もっと世間は評価してくれ。

そしてこの曲の個人的なミソなポイントはベース。
すんごい良いのよ。すんごい。
ミスタニスタの3人で音楽を始めたときは、ジョーザキが最も楽器歴が浅く、言葉を選ばずに言うと一番下手っぴだった。シバガキは曲が書けて、手数多いドラムを普通に叩けた。俺は駄作も多いけど曲が書けて、歌が歌えた。
(予防線っぽいけど、勿論聴く人の好みはあるので、全然ハマらない人がいることもわかっているし、別に我々の才能が微妙だと思われたとてそれはそれでしゃーないと思っている。)

彼はたまに怒ることもあるけど、昔っからシバガキとウエムラの強みをめちゃくちゃ褒め続けてくれており、そのおかげもあって俺は少なくとも音楽については割と自信過剰というか根拠の無い自信みたいなものに満ち満ちていた時期があった、というなんとも恥ずかしい話がある。
そしてめちゃくちゃ勝手な話やけど、もしかしたらめちゃくちゃキツいこともあったんだろうなと今振り返ってみると勝手に思ったりする。

とはいえ彼は音楽が大好きであり、尚且つ信じられないくらいストイックな男なので、とにかく愚直にベースを弾き倒していた。(本当に)
身を結ばない努力もあるとはいうけど、ジョーザキを見てると「そんなこと、無い」と胸を張って言いたくなる。だってセッション的なやつ全く出来なかったやつが、ZOOZでめちゃくちゃカッコ良いベース弾いてますからね。そして俺もシバガキが所謂バンドシーンからすっかり離れていたときも、バンドと向き合っていたのはコヤツである。本当に凄い。演奏家としては勿論のことなんやど、これは色々と含みがある。
ミスタニスタが復活したのは、"こたにゃん"という人が京都ラストナイトってことでイベントをした日のことなんやけど、これはマジでジョーザキによるところが大きい。すまし汁における出汁くらい大きい。
ミスタニスタの全員がシーンから完全に離れてたらあんな復活あり得なかったのでは?と今でも思う。すまし汁の出汁どころちゃうよ、生命誕生における海よ。流石にそれは言い過ぎか。

そんなこんなで一時期から俺なんかよりずっと音楽やる人間として凄くなってたわけです。少し悔しいけど。いや、結構悔しい。俺もそうでありたい。今気づいたけど、なんか毎回強がっているな。
件の事情でこの音源のレコーディングでも良いベースを弾くことにはほぼ確信めいたものがあったのです。
ところがどっこいレコーディング後に改めて聴いたら、当初のウエムラのイメージを嘲笑うかのようなベースだったのでビックリ仰天おったまげ。全王様もオッタマゲ。可能性のドアのロックをブチ破り、俺の想像を"へのへのカッパ"と超えてゆく限界突破×サバイバー、それがジョーザキだったのです。
本当にビックリしたり感動するとね、なんかもう素直に褒められんというかね。なんならここで初めて言うとるよ。誰がなんと言おうと貴方はミスタニスタのナイスベーシストです。ありがとね。

何はともあれ俺が出来ないことをする人が身近にいるというのはなんとも嬉しいことです。

毎度のことながら身の上話ばかりしてしまうし、長くなりそうなので曲の話をする。
俺的にこの曲にはモデルソングがある。

ミスタニスタとして初めて出した音源は"7インチの 現実"というアルバムで、その音源には”F.Y.D”という曲がある。
シバガキはたまにライブでの再現性を完全に無視したかっこよい曲を作るのだけど、一発デモ聴いた時に「アレやな」みたいな感覚があった。なのでその曲の歌詞を書いたような心持ちで、あまり何も考えずにつらつら言葉を並べまくるという歌詞の作り方をしようと決める。

あんまり頭を使いたく無かったので、仕事で極限状態になり、最寄駅の近くにあるベンチ的な植込に腰掛け、近くのコンビニで買った7%の缶チューハイをグーっと飲み干し、だらしない脳味噌をギュッと捻り、全身にグッと力を入れて仕上げた。
とはいえ、めちゃくちゃ本を読むタイプではないので、強靭な語彙力があるわけではなく。
自身の生活の中で「ええな」と思った言葉とか表現とかをなんとなく溜め込んでそれをブワァー!っと出すという感じだった。

この手の曲の歌詞を書くのは心底楽しい。ちょっとダークでクールな雰囲気があるところにドープでチープな言葉でオラオラ!ってやるのが好きなのですが、この音源においてこの曲の歌詞はまさにそれ。

そんな感じで書き上げたので、あんまり意味は込めて無い!
なのでこの曲の話はこれで終わり!
と言いたいところなんやけど、読み返すと結構俺には刺さっちゃうところがあるんだな。
非常に難しいけど、これはこれで結構意味がある気がしている。いや、特にないような、いや、けどあるような。みたいな。自分でも不思議な感じ。

"7インチの現実"をリリースしたときは活休するなんて思って無かったし、活休後にこんな感じで音源が出せるとも思ってもなかった。
けど30歳手前で色んな気持ちになりながら新音源のライナーノーツを書いている。この状況を俯瞰すると人生不思議だなぁとかおもしれーみたいな気持ちになる。
気合いとか思想を込めて書いた歌詞ではないはずなのに滲み出るものがあって、なぜか聴くと初心を思い出して背筋が伸びる曲です。

深夜のゴールデン街、道玄坂、心斎橋、木屋町とかそれに類するエリアを酩酊して歩きながら聴くと猛烈に滾るものがあって良いので、機会があれば是非。

P.S.
この歌詞を書いた日、季節外れの蚊にくるぶしあたりをめちゃくちゃ食われた。顔とか腕とかも嫌やけど、くるぶしとか足の甲とか、絶妙に掻き辛いところの方がなんか腹立つよね。彼らが俺の血液経由で翌日2日酔いになっていたことを祈る。

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