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〜ついに覚醒した10番〜ブラヒム・ディアスはミランの中心となる


モンツァ戦で2ゴールの活躍

 セリエA11節。今節の注目カードの一つとして挙げられたのが昇格組のモンツァと昨季王者ミランの一戦だ。モンツァはかつてミランの黄金期を築いたシルビオ・ベルルスコーニ氏がオーナーを務めており、ミランを去ってから初めてサンシーロに凱旋したことが大きな注目となったのだ。

 そんな試合で輝きを放ったのがミランの10番を背負うブラヒム・ディアスだ。2シーズン前にレアルマドリードからレンタルで加入したMFは、加入初年度には公式戦7ゴールとまずまずの結果を残し、CL出場権争いが激化した終盤戦には敵地ユベントス戦での先制ゴールなど勝負強さを見せてクラブの2位躍進、8シーズンぶりのCL出場権獲得に大きく貢献した。

 その活躍を受け、昨季からはインテルへ移籍したハカン・チャルハノールが背負っていたエースナンバー10を継承。新たに2年間のレンタル期間延長となり、ロッソネロ復権のキーマンとして大きな期待を集めた。しかし、昨季は6節までに3ゴールと好調な滑り出しを見せたものの、以降は新型コロナウイルス感染もあってコンディションを崩し、一度もゴールネットを揺らすことなくシーズンを終えることになった。シーズン終盤は本職ボランチのフランク・ケシエやラデ・クルニッチがトップ下のポジションで起用され、ベンチから戦況を見守ることが多くなるなど不完全燃焼のシーズンとなってしまった。

 迎えた今季はクラブ・ブルージュから同じトップ下を主戦場とするベルギー代表のシャルル・デ・ケテラーレが加入したことでより苦しい立場になることが予想されたが、10月に入ってから一気に調子を上げており、ユベントス戦ではイタリア代表レオナルド・ボヌッチをぶち抜いてゴールを奪うと、モンツァ戦ではセンターライン付近から単独で持ち込み先制ゴール。更にはディボック・オリギのパスを巧みなターンで受けて右足を振り抜き、ミランでは自身初となる1試合2ゴールを記録。チームの快勝に大きく貢献した。ちなみにミランの10番が1試合2得点を記録したのは14-15シーズンの本田圭佑以来7シーズンぶり。思うような結果が残せていなかったディアスにとってはこれ以上ない一戦となっただろう。

 これまではドリブルや巧みなターンで相手を剥がしてもラストパスの精度やシュートへの意識の低さから攻撃を終わらせてしまう悪癖があったものの、ユベントス戦やモンツァ戦での単独突破からのフィニッシュは一皮剥けた印象を感じさせる。本職のトップ下のみならず、右サイドでの起用でも持ち味を発揮できており、デ・ケテラーレとの共存も可能であると指揮官ステファノ・ピオーリも語っている。モンツァ戦では怪我による途中交代となり、状態が不安視されるものの、リーグ連覇やチャンピオンズリーグでの躍進へ向けてロッソネロの中心となるのは10番を背負うこのスペイン人MFだ。

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