〜世界最高峰に君臨し続けるブラジルのディフェンスリーダー〜チアゴ・シウバ
38歳となった今も第一線で活躍し続ける
サッカーファンのみならず多くの人がサッカー王国と言われて思い浮かべる国はブラジルだろう。ペレ、ジーコ、リバウド、カカ、そして現在ではネイマールと多くのスター選手がテクニックを武器に活躍してきた。そんな華やかな選手を多く輩出しているブラジルの中で、抜群の安定感を武器にDFとして活躍し続けている選手がいる。それがチアゴ・シウバだ。身長183cmとヨーロッパでプレーしている選手の中では特別大柄な訳ではないが、対人守備の強さとカバーリング。そして周囲を動かすコーチングを武器に38歳となった今でもプレミアリーグの舞台で戦い続けている。かつては世界最高のCBとも呼ばれ、2014年のブラジルワールドカップではブラジル代表のキャプテンも務めた。
多くの苦難を乗り越えて母国で台頭
チアゴ・シウバはブラジルの名門クラブであるフルミネンセのユースで育ち、2002年にフチボウというクラブでプロキャリアをスタートさせた。その後移籍したジュベントゥージでは今では想像できないウイングのポジションを務めて2004年にはリーグ戦28試合に出場した。
その活躍から2004年夏には欧州へと渡り、ポルトガルの名門ポルトのBチーム、ロシアのディナモモスクワでプレーしたが、怪我や結核の病気を患ったこともあり、ほとんどプレーすることができずに2006年からユース時代を過ごしたフルミネンセへと復帰することになった。
復帰したフルミネンセではすぐに主力として活躍し、3年間で公式戦143試合に出場。国内カップ戦の優勝を果たしたほか、コパ・リベルタ・トーレスでは決勝進出に貢献した。度重なる怪我や結核という引退を考えるほどの病気を乗り越えて母国ブラジルでCBとして輝くを放ったことで再び欧州への門が開かれることになった。
ミランで飛躍しパリで世界最高のCBへ
2009年冬にはフルミネンセでの活躍を高く評価され、1000万ユーロの移籍金でイタリアの名門ACミランに加入。加入後半年はEU圏外枠の影響で試合出場はなかったものの、09-10シーズンから主力に定着。世界最高のCBの1人と呼ばれたアレッサンドロ・ネスタの隣でプレーし安定感のあるプレーを見せ、僅か1年半でセリエA屈指のCBとして名前を挙げられるようになった。翌シーズンもリーグ戦33試合に出場し、最終ラインを牽引。チームもセリエAでは抜群の強さを見せて11シーズンぶりのリーグ制覇を達成。優勝に大きく貢献したチアゴ・シウバはリーグの最優秀DFに選出された。
その後もミランの最終ラインを牽引していたチアゴ・シウバだったが、2012年夏にはミランの深刻な財政難により、高額な移籍金が見込まれることで放出を容認されることに。多くのビッグクラブへの移籍が噂されたが、最終的にカタール資本の参入により莫大な資金を手にしていたフランスのパリ・サンジェルマンへと4200万ユーロもの移籍金で移籍することになった。同時期にミランから移籍したズラタン・イブラヒモビッチと共に新生パリの象徴となり、加入後すぐに主力として活躍。リーグアン4連覇を成し遂げるなど国内では敵なし状態にまでクラブを押し上げた。
ブラジル代表でも不動の地位を築き、世界最高のCBとして活躍し続けていたチアゴ・シウバは19-20シーズンまでパリでプレーし、16-17シーズンの1シーズンを除く7シーズンでリーグ優勝を成し遂げ、在籍最終年となった19-20シーズンには国内三冠を達成し、CLではクラブ史上初となる決勝進出に大きく貢献した。しかし、クラブはベテランの域に達していたチアゴ・シウバとの契約を更新せず。2020年のCL決勝を最後にパリを去ることになった。
ベテランとなっても挑戦は続く
2020年夏にパリを退団したチアゴ・シウバはプレミアリーグのチェルシーへと移籍した。35歳にして初めてのプレミアリーグ挑戦には否定的な声も多かったが、リーグ戦では23試合に出場してプレミアの屈強なアタッカー陣に対しても対人の強さを見せつけてチームに安定感をもたらした。前年はパリの一員として決勝で涙を呑んだCLでは快進撃を見せるチームを最終ラインから統率。準決勝では歴代最多優勝のレアル・マドリードを下して決勝に駒を進めると、決勝では同年のプレミアリーグ王者マンチェスター・シティを手堅い守備で撃破して自身初、チェルシーとしては9シーズンぶりのビッグイヤー獲得を果たした。パリでは果たせなかった悲願をチェルシーで果たし、クラブの歴史に名を刻んだ。
昨季も主力として活躍したチアゴ・シウバは自身初のクラブワールドカップ制覇も達成。38歳となった今季も衰えぬパフォーマンスでチェルシーの最終ラインに君臨し続けている。今季は2度の監督交代もありリーグでは苦しい戦いを続けているが、CLでは3シーズン連続でベスト8進出を果たした。世界最高のCBとも呼ばれた男はまだまだ最前線で戦い続け、タイトル獲得へ向けた挑戦を続けて行くのだろう。
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