見出し画像

世の中に面白いものや変なものが存在するのは、それに興味を示しお金を使う人がいるからである。

◯ 興味と消費が存在を与える。

 どんなものでも、どんな概念でも興味が持たれるから存在する。お金が使われるから存在する。正確には、存在が認識されるだが、認識されないものは存在しないと同じである。誰も注目しないもの、お金が使われないものは、忘れられ存在しなくなる。だから、個人や企業が興味なく、お金が使われないものの存在を残すために、国や役所はお金を使う。歴史的な遺産や文化・芸術の保護は、国と自治体と個人の趣味でまかなわれている。新しい本も新しい電化製品も誰も買わなければ、その存在は消えてしまう。どんなに流行ったとしても、それに興味がなくなりお金が使われなくなれば消えてしまう。

◯マニアは、変なものやマイナーなものに存在を与えている。

 マニアは、好きなことや気になることに興味を持ちお金を使う。生活するためではなく、楽しいから好きだからそれにお金を使う。変なものや誰も見向きもしない超マイナーなものであっても、気になれば興味を示しお金を使う。こうやってマニアは、人が注目しないものに存在を与えている。

 何かのラジオ番組で聞いたが、ビルやマンションの定礎(建築工事の開始を記念して設置される礎石)の写真のコレクターが紹介されていた。定礎というもの自体は知っているが、定礎を意識したこともない僕にとっては、存在していないも同様である。このコレクターが、興味を示し、写真集を作っていることで、定礎の存在感を高めている。
 同じように、路上に落ちた片手袋の写真集を作って売っている人もいる。そんな落ちた片手袋は、ゴミとして片付けられるだけで、誰も存在を認識しない。しかしながら、それを写真集にして売ることで、落ちた片手袋に存在が与えられる。マニアが、落ちた方手袋を、存在のないゴミから存在のあるものに変化させている
 新製品にお金を使って存在を与えるのもマニアである。新製品をとりあえず購入する。便利かどうか不明だが、新技術を搭載した電化製品を購入するる。実験体になって、その存在を確認してしている。当然、存在価値なしと消え去るものも多くある。
 知名度もない、宣伝もされない本を読むのもマニアである。無名作家の知名度が低い本が徐々に人気が出て話題になる。マニアがマイナーな本に存在を与えている。書店員が個人の趣味でポップをつけて本を推薦することなんて、まさに存在を与える行為である。
 マイナーな路線の利用者は誰だろうか。地元の人とマイナーな土地の旅行好きか地方路線が好きなマニアである。こうして、マイナー路線にも存在が与えられている。
 そのほか、好きを通り越して、自作するマニアも多数いる。汽車が好きで、自分の土地にレールを敷いて汽車を走らすマニア。同じく、自分の家に自前のジェットコースターを作るマニア。オリジナルのラーメンを開発するマニア。このように自作するマニアは、無から有という存在を文字どおり作っている。

◯マニアは浪費家ではない、存在を与える消費者である。

 お金は何かを入手するための手段である。お金を払って食べ物を得る。寄附したり、学校を建てたりして満足や名誉を得る。投資して貯金して安心を得る。マニアは、好きな事にお金を使って、満足や楽しみを手に入れる。どんなことであっても、お金を使ったことを肯定する限り、自分の意志で決定して使う限り本人にとっての浪費はない。遠征やグッズで推しに貢いだとしても、自分だけのオリジナルな乗り物を作っても、形としても残らなくても、自分で決めて実行し楽しんだのであればそれは浪費ではない。まして、存在を与える行為は浪費ではない。

 マニアは、道端の石ころのように、価値も意味もなく認識もされていないものを、他とは違う観点や考え方で、認識し価値を見出し意味を与えている。
 当然、それを実行するには、ある程度のお金が必要となる。他人から見ると浪費と見えても、本人は、好きなものに自分の意志でお金を使っている。そして、マイナーなものに意味を見出し、存在を与えている。結果として、意図せず、面白いものや変なものを世の中に存在させているのである。

◯ そしてマニアに感謝しよう。

 くり返しになるが、どんな分野でも変なものやマイナーなものに興味を示しお金を使ってくれる人がいるから、それらは存在する。
 ニッチな分野の本や漫画も、新しい味のラーメンも、それに興味を示しお金を使うマニアがいるから存在できるのである。
 どんなものでも、良くても面白くても最初はマイナーである。そんなマイナーに興味を示しお金を使い、それに存在を与えているマニアがいるから、僕たちは、良いものや面白いものに出会うことができる。
 
変わったものが好きな僕としては、どんな分野でも変なものに存在を与えるマニアな人は、尊敬し、感謝したいと思っています。

最後に、面白いものがあるのは、マニアのおかげ、みなさんマニアな人に感謝しましょう。