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「傲慢と善良」を読んで(生き方に関するちょっとした参考書)

面白かった。読んで良かった。小説としてではなく、生きることを学ぶ本として。

自分の意志で生きてきた男性(傲慢)と母親の言いなりで生きてきた女性(善良)の、ぞれぞれの考え方や価値観、そして世界の捉え方について、結婚をテーマに教えてくれる本です。

 女性から男性へ「ストーカーが家に来ている」という電話から、物語は始まります。その電話をきっかけに、二人は同棲し結婚を約束する。しかし、何も言わずに女性が突然行方不明になる。
 男性は、ストーカーに誘拐されたのではと考え、ストーカーを特定するため、女性の過去について調査を開始する。女性の過去に触れ、自分とは考え方が違う人と会い、結婚に対する様々なスタンスを知る。そして、自分自身の生き方や結婚に対する認識について考え直し始める。
 一方、行方不明になった女性は・・・ という小説です。

 自分の意志に忠実に生きている人を、自己中心的な「傲慢」と見做し、周りの意見に左右され自分がなく生きている人を、素直で「善良」と呼ぶ発想が非常に面白いと感じました(あくまでも僕の解釈ですが)。

 この本に登場する人物は、生き方や考え方が異なっている。わざと価値観が異なる人物を登場させ、人にはそれぞれの生き方や幸せがあることを教えてくれているように感じた。生まれ育った地域で一生過ごす人、嘘をつくこともつかれることも普通と感じる女性。行動力があってやさしいが服装に無頓着な男性。そして、こういった男性を好む女性とそうでない女性。等々

小説のコーナではなく、”結婚とは”や”生き方とは”のコーナーに並べておくべき本と感じました。生き方の参考書としておすすめです。

9/7読了 タイトル:傲慢と善良 作者:辻村深月 出版社:朝日新聞出版