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こんなにも切ない励ましの言葉ー「会わないつもりの、元気でね」/SCANDAL

人の噂も七十五日」なんてことわざがありますが、SNSが発展したこの現代においては、移り変わりが早くて、もっと早く噂(うわさ)はなくなるだろうし、逆にインターネット上に永遠に記録が残るという意味ではいつまでも尾ひれがついたままになる気もします。

噂=よくないものってイメージが自分にはありますが、なんでですかね

いい噂、わるい噂どちらもありますが、わるい噂を英語ではスキャンダルと言います。

ということで、今回紹介したい曲はSCANDALが歌う、別れた後もわるい噂が立たないような別れの歌


「会わないつもりの、元気でね」/SCANDAL

会わないつもりの元気でね」ではなくて
会わないつもりの、元気でね」と、間に句点が入っているのがエモいですよね

この曲は失恋の歌なんですが、西野カナのようなスイーツみたいなカロリー高めの歌詞でもなく、back numberのような未練タラタラな曲でもない、男性側の余裕と切ない歌詞大人の恋愛という感じで、冬にぴったりだと思います

それでは歌詞を見ていきます!

「青になる 動き出す」ー1番の歌詞と解釈

離れてしまった心と心を 行き交う朝の喧噪に探した
「ここで良いから」と信号待ちで言う 見慣れた横顔 見えなくなる顔

喧騒=人などが騒がしいことです。
信号待ちというと、車で送ってもらったのか思いますが、この「信号」というのは暗に二人の関係のことを表してるのではないでしょうか

この時にはすでに別れることが決まっていて、二人で過ごした最後の夜だったんでしょう。どうして自分たちはこんなに心が離れてしまったのか、その理由を通勤や通学で賑わう人混みの中で考えますが、答えは見つからないまま。

仕事場が違うから、いつもの信号で別れを告げる。
でもいつもと違うのはもう会うことがないということ。
いつも隣にいて見慣れたはずの横顔が、もう見えなくなる。


始まる前のように 同じ世界に居ないように
出来るかな したくないな 失う直前
急に現実になって 言葉は喉に引っ掛かって
青になる 動き出す 微笑む君が言う

自分しかいない世界が
相手を好きになって二人の世界になった
離れ離れになってまた一人の世界へ戻る
いなくなった相手の部分が
戻ることなく欠落ちてしまうんじゃないか
忘れられないんしゃなくて
忘れたくないんだと
気づいた時にはもう遅くて
伝えたくても言葉が出てこなくて
信号は青に変わって、君が動き出して
二人の関係も動き出す


二度と 会わないつもりの「元気でね」 最後に優しさはいらなかったのに
「さよなら」とか「じゃあね」とか 糸を切るように離してよ
ねえ 会えなくなるから「元気で」と 最後まで二人想えるなら
手は離さないまま それで良いのに 遠くなる いつでも後から寂しくて

「元気でね」と、
ずっと一緒にいたから今まで言う必要がなくて
元気がなかったら励ましたり
一緒に悲しんだりができたけど
もう会わないだろうから「元気でね」
その一言で彼の優しさに気付く

気づいた時にはもう遅くて
もっと突き放してくれたらよかったのに
幸せになるために繋いだ手を
ほどかないと幸せになれないと気づいた時には
君はとても遠かった

「点滅する信号が赤になる」ー2番の歌詞と解釈

終わらせたのは誰? 先に目を逸らしたのは
意地を張って ムキになった 私の方で
急に愛しさが勝って 言葉がやっと声になって
赤になる その前に 君の名を呼びかけた

誰が私をこんなに苦しめるのだろうか
思い返せば、意地を張ったのも
目を逸らしたのも自分だった。
信号が赤になる前に
二人の関係が止まってしまう前に
喉に引っかかった言葉をやっと絞り出して
引きとめようとして、君の名前を呼びかける。


二度と 会わないつもりの「元気でね」 そんな優しさが大好きだったこと
「ごめんね」とかその前に言わなくちゃ‥

謝りたいことがたくさんあった
伝えたいことがたくさんあった
君の優しさが大好きだったと伝えたかった



会えなくなるから「元気で」と 気付けなくなるから「元気で」と
「さよなら」とか「じゃあね」より 大事なものを教えてくれた
会わないつもりの「元気でね」 言わせるまでわからなくてごめんね
点滅する信号が赤になる 直前で 振り向いて
手を振った 君はまた微笑んで 『元気でね』

「元気でね」と、
幸せにしてあげらなくてごめんねと。
相手が誰かわからないけど
他の人と幸せになってねと。
泣いている時に慰めてあげられないけど
寂しい時に隣にいてあげられないけど
「元気でね」と。

本当に辛いのは君なのに
最後まで私を想ってくれた
そのことに今になった気づいた。
呼びかけた君の名前は結局呼べなくて
点滅していた信号が赤になって
二人の関係もそこで終わる。
きっとこのまま私といても君を悲しませてしまう
君の優しさに最後まで気付けない
私にはその資格がないから

君は私のことをまだ好きでいてくれるだろうから
二人が別の道に進み
お互い幸せになるには
私が先に一歩踏み出さなくてはと
一歩進み、振り返って手を振る。
口に出すことができなかったいろんな思いを込めて。

また君が「元気でね」と少し微笑んだ。


最後に感想

この曲は女性の別れ際の心の移り変わりを、「朝の喧騒」と言う人混みの中にもかかわらず、まるでそこに二人しかいないように描くことでふたりの世界を、二人の関係の変化信号の色の変化に重ねて描写しています。

さらにその先には最後まで健気に私のことを思ってくれる「」の存在があったこと、自分はこんなにもぐるぐる気持ちが変わっているのに、「」は一貫して私の幸せを願ってくれていたことが伝わってきます。

疾走感のある曲のおかげで、どこかすっきりした気持ちで聞き終わることができますが、これがバラードだったらと思うと恐ろしいです。

P.S

人の噂が消えるのに2ヶ月半もかかるのに、別れを告げるのは三行半というのは寂しいですね

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