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国立軍事博物館 NMM オランダ/スースト ~時代の融合を図る挑戦的な展示表現


国立軍事博物館 NMM/Nationaal Militair Museum スースト

※ 訪問記は2017年10月時点の情報です。

展示内容

デルフトの陸軍博物館が移転し、2014年にオープン。ユトレヒト郊外の旧空軍基地の広大な敷地です。旧空軍基地には空軍博物館があったはずなので、陸空で統合。 残念ながらデルフト時代の八十年戦争特化型の展示はほとんどなくなりました。

2階建ての1Fは、基本的に戦車や戦闘機など現物の大物の展示が多いです。いちばん最初の暗めの部屋には、16-18世紀の鎧やら武器やら並べられています。武器教練の現物もあり。CGでページがめくれるようにもなっています。24ポンド砲の巨大さを体感できたのも良かった。版画では24ポンド砲といっしょに馬10頭くらい描かれているものもありますが、確かにあれを牽くのは並大抵の力では難しそうです。

2Fも大型展示ですが、ジオラマのほか、モニター中心の動的な且つ参加型の展示物になっています。360度シアターでは、八十年戦争期に関しては、スヘルトヘンボス攻囲戦を扱っていました。一般的な説明モニターのほか、ゲーム式のモニターもあります。日本については第二次大戦時のテーマだったので、あまり良い印象では語られていない気がして、きちんと観てきませんでした。 「宝物庫」と呼ばれる部屋が、いちばん通常の展示らしい展示でした。向かって左側が戦闘の絵画、右側が肖像画。中央にはガラスケース内に衣装が飾られています。

時代を融合して、かなり上のほうの壁に架けてありました。この部屋の展示には日本の鎧も有り。来歴は不明。幕末頃のサーベルといっしょに展示してあったのがなんとも…。

時間が限られていたので、1Fのレストランではなく、2Fのカフェで軽食をとりました。これと同じやつでしたが、戦車のタグはついてませんでした。

データベース

旧デルフトの頃にあったデータベースがしばらくなかったんですが、確認したら作成されていました。英語ページからは行けないようです。

特別展 ‘Willem’ ウィレム

2018年には現地に行くことはできなかったのですが、「八十年戦争450周年企画 80 JAAR OORLOG」という企画が各地で催されていました。
NMMでは特別展「ウィレム」を開催。下記リンクがまだ残っていたので、その展示の様子が少しだけ写真で分かります。

若かりし頃のウィレムに焦点を当てた展示会。軍事博物館なので、「軍人としてのウィレム」に注力しているのがめずらしい。ウィレムの所有していた元帥杖など貴重なアイテムも出展され、その元帥杖をウィレム=アレキサンダー現国王が手にしているお宝写真も公開されていたようです。

アクセス

アメルスフォールト駅から356番バスが直通バス。途中停まらず15分程度。それ以外にも2系統あるものの、いずれもかなり遠くに停まるようです。


【移転のため閉館】陸軍博物館 Legermuseum デルフト

※ 訪問記は2009年4月時点の情報です。デルフトでは2013年1月6日を最終開館日として、移転のため閉館。

Josua de Grave (1695) デルフトの武器庫
武器庫跡が陸軍博物館として使われていました。

デルフトでは2013年1月6日を最終開館日として、移転のため閉館。
ユトレヒト近郊のスーステルベルフ空軍基地跡に移転、2014年10月オープン。空軍の野外博物館と合併・併設され「国立軍事博物館 Nationaal Militair Museum」と名称も変更となりました。広大な敷地にバスでしか行けないため、外国人旅行者にはちょっと不便になりました。なお、旧公式HPは閉鎖済です。

移転前訪問記(2009年4月)

場所はわかりやすいのに入り口はわかりにくい、日本ではあまり知られていない穴場スポット(でした)。とはいえ、入っていくといきなり戦車や戦闘機があったり、軍事色丸出しなので、あまり興味のない人には抵抗があるかもしれません。ジオラマ、ロウ人形、モニタービデオから、原寸大セットなどの大型のものまで、どちらかというと現物や参加型の展示が多いのも特徴。そのせいもあるのか、いつも子供がやけに多い気がします。 17世紀には、この場所に共和国軍の武器庫が置かれていました。そのため軍事博物館になっていたわけですが、「陸軍」とあるように、「海軍」ものはほとんどありません。

Egbert van der Poel (1654) 武器庫の爆発
17世紀に一度大爆発しています。

八十年戦争のブースは3階の奥。1m×5mくらいの大型のジオラマ(スペイン軍のテルシオ)があります。モニタービデオは2種類あり、蘭語のみのものと蘭・英語のものとあり。英語はかなり平易でわかりやすい。子供は戦車が好きなので、このあたりにはあまりうじゃうじゃ居ないです。

特別展 'Prins Maurits en de Tachtigjarige Oorlog' マウリッツ公と八十年戦争

2009年3月~2010年の予定で特別展を実施していました。 全体的に子供向け展示とのコンセプトでしたが、期待以上に、内容は相当に濃いものです。2009年4月の旅行は、何よりもコレを観に行きました。…その後期間延長され、2013年1月の閉館まで常設展示状態だったようですが。 常設展でおなじみの、マウリッツの超イケメン蝋人形と子供鎧のレプリカもこの特設ブースに移されていました。(NMMには残念ながらイケメン蝋人形ありませんでした。)

蘭語のみですが各所にモニターがあり、子供時代のマウリッツのアニメーション(ものすごくかわいくなかった…)が、「スペイン人をやっつけよう!」とか言いながら軍制改革について説明してくれたり、クイズやゲーム形式で八十年戦争を勉強したりできます。「武器教練」の内容とか、攻囲戦争の手順とか、これも子供向けクイズと思えないほどマニアックで難しい。また、将校のテーブル、堡塁、武器庫など、原寸大模型や現物がごろごろしていました。登ったりテントの中に入ったりして遊べます。

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