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「ロンドンデリー・エアーとダニーボーイ」


 北アイルランドの北西部の港町ロンドンデリーは、長い冬と北風の町。
1600年初頭まではデリーという地名で、アイリッシュと呼ばれるケルト人たちが暮らしていた。ところが、この地を植民地化したイングランド王のジェームズ1世はロンドンの名を冠にして、ロンドンデリーと呼ぶようになった。
歌の由来は作者不明で、19世紀にジミー・マッカリーという盲目のバイオリニストが弾いているのを、ジェイン・ロスという民謡収集家が採譜した。タイトルのエアーは、詠唱曲を意味する音楽用語で、詞と曲を自由に変化させていくもの。
アイルランドの詩人トーマス・ムーアが感傷的な詩「The last rose of summer(庭の千草)」(原曲:ブラーニーの木立)を書いているが、同じように古謡を採譜し詞をつけていったことがうかがわれる。

 さて、ダニーボーイ。
1913年イギリスの法律家フレデリック・ウェザリーがDanny Boyというタイトルで歌詞をつけた。メロディーを聴いたウェザリーは、3年前に第一次世界大戦前夜の戦争への畏怖の気持ちを書いた詩を思い出した。それは、大きく途切れることのないバグパイプの兵隊召集の音色から始まり、息子を戦場に送る哀しい母親の表情が表現されていたものだった。原曲は必ずしも戦争に関わる内容ではないにしても、さまざまな哀しみを表現する旋律と言える。演奏する者にとって、曲の意味を理解し、その気持ちに沿って演奏したい。

おおダニーボーイ
いとしきわが子よ
いずこに今日は眠る
いくさに疲れた体を
やすめるすべはあるか

おまえに心を痛めて
眠れぬ夜を過ごす
老いたるこの母の胸に
おおダニーボーイ
おおダニーボーイ 帰れよ

<作詞:なかにし礼> ※2番以降省略

#ロンドンデリー・エアー #ダニーボーイ #アイルランド民謡 #なかにし礼 #ピアノ #ジャズ

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