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「熔ける」井川意高


太宰治の「走れメロス」の内容や読後感に似て、温かい気持ちになった。井川さんの事件の経緯、なによりも人間井川意高を知りたかった。

”亡くなった祖父(井川伊勢吉)は、幼い頃(私)に向かって口癖のようにこう言っていたものだ。
「銀行というのはな、晴れた日には親切に傘を貸してくれる。でも、雨の日になると肝心の傘を取り上げてしまうものなんだぞ」”

資本主義社会では銀行は当然のことだが、日本は一度失敗した人間に対して非情で、そっぽを向き手のひらを返していく人が多い気がする。しかしこの本の中の井川さんは慎ましく、些細な恨み言の表現もあるが、全体的に相手の立場を考慮した物言いである。○天のM氏、女優の宮○りえさんなどの言動には眉をしかめるしかなかった。反面、作家の佐野○一氏の記事に対して強い反論をし、案の定大阪の事件で彼の仮面は剥がれてしまった。こういうデタラメ記事が万人受けする風潮はどうなんだろう。

”裁判が始まってから今日に至るまで、私が本当の意味で親しくしている友人の中で、手のひらを返す人間がほとんどいなかったことはありがたかった。むしろ経済ジャーナリストの佐藤尊徳氏をはじめ、多くの方々が私を励ましてくださった。”

見城徹さんは何度も接見に来ては一緒に泣き、佐藤尊徳さんは井川さんのために連絡係として動いた。
堀江貴文さんは刑務所に入る直前の井川さんにこう言ったそうだ。
「失敗をしない人間などいない。人生は何度だってやり直せる」

メディアの操作に誤魔化されず、真に見極めのできるひとりの人間でありたい。
環境や境遇、さまざまなことが変わったとしても、どんな人にも礼節をもって接したい。
仁恕の矜持をなくすことなく。

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