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いまこそ、ジェンダーについて考えよう~自分らしく生きたい男の子の話~

ぼくは性自認は男性。これまでの25年を男の子として生きてきたし、これからも男性として人生を送っていくだろう。しかし「男”らしく”」という価値観や「男”なのに”」という言説にはひどく生きづらさを覚えてきた。

政界は数多ある業界の中でも超がつくほどの男社会。国会も地方議会も男女の比率が非常に偏っており、議員の側にも支援者の側にも古い家族観や時代遅れのジェンダー意識がはびこっている。ぼくは大学入学からかれこれ8年くらいこの業界の中に身を置いているが、本当に息苦しさを感じる場面が数えきれないほどあった。

そんな超がつくほどの男社会の中で生き抜くための術として、ぼくは偽りの自分を演じ続けてきた。伝統的な価値観とマッチしない男性であることを周囲に悟られないために、あえてステレオタイプの男性になりすました言動や行動をすることもあった。こうして文章を書く機会をいただいても、無意識のうちに男らしい文章を書こうとする自分がいた。

幼い頃から周囲に合わせて振る舞うのが得意だったぼく。多くの男の子が興味を持つ戦隊ヒーローも鉄道も恐竜も全然興味がなかったけど、クラスメイトがその話で盛り上がっているときはさも分かってるようなふりをしていた。本当は違うものが欲しいのに、クリスマスやバースデーのプレゼントにヒーローベルトや鉄道模型をお願いしたこともあった。

幸か不幸かそのスキルをいかんなく発揮して政治の世界でもさまざまな経験をさせてもらったが、偽りの自分を演じれば演じるほど、家に帰って自己嫌悪に陥ってはメンタルを悪化させていた。もっと自分らしく振る舞えたらどんなに楽だろうかと悩む毎日。だけど誰にも相談できない。両親や彼女でさえも。

森喜朗発言を考える

最近SNSやインターネット、メディアなどを見ていると、ジェンダーに関する発信や議論が以前に比べて増えてきているように感じる。

中には上記リンクでも取り上げられている「新潮45」問題に代表されるような無理解で偏見に満ちた論評もないことはないが、ともあれこうしたテーマが我が国でも遅ればせながら日の目を浴びるようになったのはとても良いことなのではないかとぼくは思っている。

そしてその潮流に拍車をかけたのが、昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックではないだろうか。

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の会長であった森喜朗氏の発言はいまだ鮮明に覚えている方も多いだろう。

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」

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