見出し画像

誕生日プレゼントの正解がわからない。

家族の誕生日が近い。

血の繋がった人間の好みくらいわかるだろう、そう思う方もいるのかもしれないが、正直私にはわからない。少し前まで同じ屋根の下に暮らしていた人間だが、それでもわからないものはわからないのだ。

わからないなら訊けばいいだろうか。
いや、そんな単純なことで解決はしない。
何が欲しいかを問えば「なんでもいい」と返されるのだ。

相手が特に好きなものに関して、多少は知っている部分もある。
ただし、相手も大人だ。しかも、私より年上の。

私の経済力でなんとかなるレベルの品は、とっくに手に入れている可能性が高いのだ。それも、同居しているうちはある程度持ち物を把握できたから良いが、別の家に暮らしている今となっては既に所有している物との被りの可能性も出てくる。また、ある作品の大ファンなのは知っているのだが、自分がその作品に疎くてどうにも選択しようがない。

それならば、食べ物か。しかし、食の好みも信じられないほど嚙み合っていなかったので何を贈るべきか判断しかねる。ド定番のケーキも、皆が食の細い実家に届けるのは少々躊躇われるところがある。しかも、ケーキならより近くに住んでいる他の誰かに先手を打たれているだろう。

相手は家事にそれほど積極的にも見えないので、キッチンツールなどは却下。インテリアなども好みがわかれるし、置き場に困らせてしまうのではないか。同居している時点で、部屋は好みのもので既に満たされているように見えた。故に、私の趣味をそこに捻じ込むのは如何なものかと考えてしまうのだ。

面白商品、ジョークグッズといった類は、間違いなく喜ばれない。失笑が目に浮かぶ。世話好きでもないので、花や観葉植物などその後の管理が手間なものはダメだ。

アレは? コレは? ……むむむ。

何か、ちょっと特別なものを。そして、喜んでくれるものを。
そんなことを考えて頭をフル回転させながら、結構前から悩み続けている。
それでも答えは未だ見つからない。

毎年この問題を繰り返しているように思うが、年齢を重ねるにつれてこのハードルが上がっているように思えてならない。子ども同士ならまだわかりやすかった好みも大人になって薄っすらとわかりにくくなり、ある程度自分の稼ぎで欲しいものを購入しているとなれば、どうしたらよいのか。

「気持ちが大切だよ」
まさにその通りだ。そうは言っても、その気持ちがあるからこそ、申し訳なさそうな苦笑いを見たくないのだ。素直に嬉しいと思ってもらえるプレゼントとは一体なんなんだろうか。今日もまた、私は正体不明なその一品を探し続けている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?