山田太郎ものがたり
山田太郎ものがたりをもう一度見直してみた。
U-NEXTで配信されていたとは知らなかった…
ジャニーズ系の映像作品はごく一部を除いて配信されないものと思っていたが。
僕は嵐、特に櫻井くんのファンのため最近なかなか供給されない櫻井くんのキラキラ王子様イケメン成分を求めて見てみたのだが、意外にも気づきが多かったのでメモします。
この作品は身分の高い人たちが通う高校を舞台に山田太郎(二宮和也)、御村託也(櫻井翔)、池上隆子(多部未華子)らの高校3年生青春真っ盛りコメディドラマなのだが、今見てみると平成のドラマだなぁと思うのだ。極端な貧富の差の表現や、過剰なイケメン演出、張られていたであろう伏線の未回収の数々、脚本をこねくり回しながら撮影していたらしき痕跡、飛躍した舞台転換etc
そしてそれらをイケメンパワーとドタバタコメディ感でまとめ上げるその感じ。それこそ平成のドラマだったよ！そんなんがよかった！と振り返って思う。
貧しくても家族と笑顔で一緒にいること
それが何よりも大事
これがこのドラマのファーストインプレッションだろう。
さてこの資本主義に真っ向から対立するかのような舞台設定と、貧しいけれど豊かな暮らしを強調するような脚本の数々。
皆さんは当時どのように受け取ったのだろうか。豊かさとは何か、家族とは何か、裕福とは何か
そんな課題をコメディチックに、さらにラブコメの香りも乗せてお届けされてきた平成のドラマ。
ここまで極端な時代設定は、平成〜令和のエンタメの発展の中でで淘汰され、嘘をとことん嫌いリアルを突き詰めていった設定が求められてきた。
令和ではもっとストレートに課題を突きつける方が絵として引きが強いのだろうか。
不倫、セックスレス、承認欲求、人間関係、パワハラ、多様性、マイノリティetc
これらのテーマが社会的に迎合されたことは、すなわち社会的娯楽の主軸が移り変わったと考察する。
社会的課題と社会的娯楽がどう関連するのか。ニュースとドラマ、バラエティはどう関連するのか。
それは「引き」にある。そして「引き」は「興味」と「共感」によってほとんど構成されている。
さて完全に私の主観で数値的根拠があるわけではないが、平成と令和のドラマの引きの違いとは、
他者への興味か自分への共感か
という点だと思う。
具体例を挙げるのであれば、資本主義に飲まれていく時代に対しみんなどうやって立ち向かえばいいんだろうとか、医療・命とはとか、そんなことを他者への興味と記している。社会への興味と言ってもいいだろう。
それに対して自分への共感とは、自分はどう振る舞えば良いのかとか、自分のマイノリティの部分をどう受け入れてもらうかとか、そんなことなのかなと思っている。
もちろん平成/令和で0/100で切り替わるものではないし、それぞれの時代にもそれぞれのテーマ設定があっただろう。
さらにもっと言えば、社会的課題と自身の内在的課題は不可分で相対的だ。どちらを主軸で描こうが、もう一方からの影響を受けてストーリーや結論が得られる。
僕が気づきとして挙げたのは、社会的課題に対する興味は薄れ、諦め、それよりも短い自分の人生をいかに充実したものにするか、という点が最近強調されすぎなのでは、と思うことだ。
そんなこと戦後の人間は当たり前にわかっていたことだ。社会主義崩れのような日本帝国軍からの洗脳が解け、希望に満ち溢れていた昭和中期然り、その時代から生まれた手塚治虫、不二子・F・藤夫らの作品然り。
それらが土台とあって、次は自身という境界を超えて、社会に対して何ができるかどう振る舞うか、という時代だったように思うのだが、どうもそんなうまくいってないらしい。
ポケモンが技を一つ覚えるために技を一つ忘れなきゃいけないように、社会的共通認識も忘れて覚え直さないといけないらしい。
ポケモンは4つも技を覚えられるのに、そんな難しいことなのかな…
そしてフィクションに自身を擦り付けたい、そんなのも今の時代の特徴なのかな、なんて思った。
これはダウ90000のコントでメタ的に映画や演劇の手法・流行り・それに対する視聴者のリアクションを笑いにしている(笑いになってる)と感じた時から。(今思えばしずるもそんなコントをやっていたような)
わかりやすいのはこれ↓
かたっくるしいことを書いたけど、まぁこれは愚痴として、最後にもう一つら極端な山田太郎くんの貧しいけど豊かな心イズムをまとめてみた。
・全科目満点、裁縫や料理、家庭菜園までこなす万能スペックなのに、アルバイトはもっぱら低賃金の肉体労働
・父親の才能と人柄で手に入れた豪邸と裕福な暮らしを、みんなと我慢しながら暮らしたボロ屋がいいと言って断る
・アメリカの教授、日本でも有数の研究者の目に留まり、学費免除、生活費支給、給料付与という高待遇のアメリカ行きを、家族みんなでいたいからと断る
などなど。恐れ入ります。
次はもっと広く娯楽の成熟度のフェーズをまとめてみようかな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？