見出し画像

権力構造の変化をどう理解するか

特定の政党に肩入れする気はないし、この記事でもそんなことを言いたいわけじゃない。だが戦後長い間変わらなかった権力構造が変わりつつあるということを説明しておきたい。

A: [昨日までのやり方で今日をやっていく]という態度の集団
B: [集団Aに何が何でも反対をしていく]という態度の集団

今までは、[A vs B] という構造で全てが語られてきた。新しい集団が現れても、Aなのか、Bなのか、という枠組みからは逃れられなかった。

2010年ごろ、AとBをひっくり返す試みを国民は行ったが、とても後悔した。その結果、いくらAのやり方が時代にそぐわず国力が衰退し国民にとって利益にならないとしても、Bを選ぶことはない、というような選択肢の無い状態となってしまった。

この構造に特徴的なのは「何も考えていない、スカスカ」であることだ。思考しない。AもBも同様だ。

Aは現行踏襲ばかりが目に付くので、過去の成功体験をなぞっているだけだ。問題に対する対応も場当たり的となる。

BはAの裏にいればいい。ただ時代の変化が速すぎてAの主張が右往左往するので、Bの位置付けが難しくなった。Aが経済主義・大企業主義のような時代は、Bで労働者主義・福祉主義、みたいな主張をしていればよかったが、最近はAは両方やっている。場当たり対応のスペシャリストみたいになっているものだから、Bは主義主張ではなく「政権交代」「Aはダメ」「私たちにやらせて」みたいなことしか言わなくなった。Bは、Aの組織体質や人格攻撃をすることしかなくなったように思う。

と言う状況だったのが、[A vs B] という構造に当てはまらない勢力がくっきりと見えて来た。

C: [昨日までのやり方を踏まえず、全ての現実問題をゼロから思考して、ロジカルに問題解決を行おう]と言う態度の集団

[A vs B] の構造には単に政党だけではなく、オールドメディアも含まれている。したがってオールドメディアの報道は、「あなたはAですか?それともBですか?、もしくは泡沫ですか?」という対立構造の中に必ず落とし込んでいくという性質がある。この性質の限りでは、Aは永遠にAであり、Bは永遠にBであり、両方には入れなければ泡沫となり国会であれば1~2議席しか取れない。

ところが、Cが現れた。[A vs B] の構造に絶対に入らないという強い意志がある。もう[A vs B] の図式自体から逃れたいので、Cが目に見えて支持を伸ばす。[A vs B] vs C、のような図式すら見えるようになるので、Cのオールドメディアに対する警戒感は半端ない。だから、CはSNSや動画配信などのニューメディアを好むのである。

また、Cはゼロから思考するため、より思考のプロセスを国民に対して伝えなければいけないので、オールドメディアで顔を売るような戦略に向いていない。オールドメディアでは話ができるターンは数分しかないのでまるで向いていない。もしくはニュースで切り取られて終わりである。一方で、SNSでは話したければ永遠に話せるのだ。

この勢力Cだが、現状、大きな弱点がある。思考すること自体はたくさんの人が個人でできるため、活動が個人ベースでありスケールして行かないことだ。この前の都知事選、56人が立候補している状態が揶揄されたが、あの状況を「知名度欲しさに泡沫がたくさん立候補する問題」のように語られていた。それは違う。[A vs B] vs たくさんのC、みたいな状態のように私は見えた。個人レベルでよい思考をしていらっしゃる方もたくさんいた。しかし、組織化できていないので、分散してしまう。多数決の決定プロセスでは、弱点となる。Cの主張だけを横に並べるから候補者いっぱい、のような現実となってしまった。

Cに共通することとして、 [昨日までのやり方を踏まえず、全ての現実問題をゼロから思考して、ロジカルに問題解決を行おう]、という目的があるのだから、この方向性を持つインフルエンサーのような人々が、仮に結集して一つの政治団体を作り上げることができたら、これはひっくり返る。

結構、Cに属する人たちは、言葉を持っていることが多いので、話がかみ合うのである。ゼロから考えているので、それぞれの違いを吸収し生産的に発展させることができる素養はある。

もしそれができなければ、ある一定の小さい支持者集団を作り上げて、それ以外は認めないような永遠に泡沫扱いされるだけに陥ってしまう。これは[A vs B] の構造の中で過去何度も起きたことである。Bにしか過ぎなくなる。

今はBすら弱体化する状況で、かといってAが大勝するほど現状踏襲に説得力はなく、Cの選択肢を取らないと、つまり社会構造から全て作り変えないと将来が無いと言う状況が見え始めている。次は、Cが個々で主張を発散していくのではなく、まとまりを作る段階にどうしてもある。

そりゃ、YouTubeでチャンネルを作って、支持者にワーワー言っているだけでお金がもらえる時代なので個人プレーに徹するのも食べては行けるだろうが、権力構造としては弱すぎる。いくらフリーランスを強化しても大企業には勝てないのと同じだ。

今後、思考力が大事になっていく。現行踏襲では社会が滅ぶことは共通理解だからだ。あとはどう、思考する集団がまとまるかということ。皆がロジカルであるというのなら、ロジカルにまとまれるはずなのに、と外部からやきもきして見ている。優秀な人たちが、個人であれこれ言っても何も進まないではないか。なのに、個人が支持者だけ集めて個人プレーをする図式からはまだ出ていない。それが残念だ。

まず今の段階ではこのように社会の権力構造を見て行けば間違いない。おそらくCに属する人たちは、この状況を把握はしていると思うし、一部ではC同士の会話が始まっているように見える。Cの彼らの特徴は、ゼロから考えるので、相手が議論ができるのなら会話が成立するということだ。良ければ採用するので、現行踏襲にこだわらない。だから、今後新しい展開はあり得る、とにらんでいる。好き勝手言ってればいい、という態度さえ改められれば次の展開がある。

現状整理は以上だ。

いつも読んで頂きありがとうございます。 これからもよろしくお願いします。