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小児の在宅医療と小児のACP(人生会議)、看取りの実際

あいち小児保健医療総合センター主催小児在宅医療研修会「小児の在宅医療と小児ACP・看取りの実際」

2022年12月10日、研修会にてお話ししました。

予定より30分以上の延長になるほど、終了後の質疑もたくさんいただきました!

最近、子どものACPというテーマをよくいただきます。

「こうすればいい」という単純な答えがないテーマなので、毎回うまく伝わるか苦戦しますが、苦悩しながらも諦めずに前に進んでいく様子を伝えられれば、と、

オレンジの考え方や取り組みを、視点を変えながら見ていただく手法をとったりしています。

昨日は、主催者の糸見先生が「病院でACPをやっていると『人生会議』という言葉はがあまりしっくりきていなかったが、在宅での実践を聞いたら、とてもしっくりきた」と仰ってくれ、人生会議を行うタイミングや場についても議論が深まりました。

僕の表現が未熟なために、小児科診療を中心に行なっている方々には、ひょっとするとムカっとさせてしまう表現があるかもしれません。しかし、遠回しになりすぎて意味がわからなくならないように、恐る恐るもはっきりと伝えるようにしています。

小児に限ったことではありませんが、医療やケアの話し合いでは“主語誰問題”が発生します。

本人のことを思いすぎて、まるで本人が選んだかのように話が進んだり、

自分の不安が強すぎて、きっと本人も不安なはずだ、と主語が入れ替わったり。

話し合いから一歩引いて聞いていると、10分の間に主語のすれ違いが10回以上起こっていることに気づくこともあります。

「子ども」という弱者性
「病人」という弱者性
「子ども」×「病人」という最弱者を前にした時、
周囲の大人たちは、本人から話を聞くのを忘れ、
かわいそうなその子のために“勝手に”決めて進んでいこうとする

いつものように、熊谷晋一郎先生の

自立とは依存先を増やすこと、希望とは絶望を分かち合うこと

を引用しながら、

子どもを囲む、大人たちの覚悟についても触れます。


そして毎回「安全面」を崩すポイントは?という質問もいただきます。

完璧な安全を求めたら、病院から一歩も出ないことが正解。としたときに、生活に戻り、暮らしを循環させて、人生を楽しめるように考えることは、どれも、全てが「安全からは離れていく」活動かもしれません。だからこそ、皆が話し合って、理論的な結論よりも共感を大切にして、ひとつひとつ選びながら迷いながら進んだり戻ったりするのが大切だと思います。

悔やむことのない選択をするよりも、そのような方向に進んだとしても一緒に悔やむ仲間がいる選択をしていく。

残念ながら、一切悔やまないような選択、安全第一な選択を重ねた人たちこそが、大きな後悔をしていくのを見てきたから。

おそらく、参加された皆さんがスッキリと「わかった!明日からはこうしよう!」となるようなお話ではないはずですが「そうかー、モヤモヤしながらも進んでいくしかないなぁ、でも明日子どもに会いにいくのが楽しみになったなぁ」と思ってもらえれば嬉しいです。

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