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俺は変われるのか【舌癌寛解近し③】

私が罹患した舌癌。

この癌は目で直接見る事が出来る癌。

お口を開いて舌をベーっと出すと腫瘍が丸見えだ。
なので、CTやMRIなんぞしなくても癌の育ち具合が毎日見れる訳だ。
直に触って硬さをチェックしたりも可能。

最近あるネット記事を見て一つ思い出した事があった。
それは、舌癌が中咽頭付近に再発して、その腫瘍が喉の大部分を覆った時の話である。

福島県で約2ヶ月の再発治療を終え、自宅に戻って数日後の晩であった。

妻「またこうして家族みんなで寝れるなんて本当に良かった。もう「臭い」もすっかり無いし、本当に病気が良くなったんだね。」

私「臭い??」

妻「そう、貴方の病気は口の中だったでしょ?病気が良くなった今だから言えるけど腫瘍独特の臭いというのかな、貴方には申し訳なかったけど口からの臭いが結構あったよ」

私「そうか、なんか迷惑かけたね。ごめん。」

妻「いや、こんな事言ってこちらこそごめん。ただ言いたかったのは、お口の臭いって自分ではわからないじゃない?だから今後また同じ臭いがした場合は再々発の可能性があるでしょ?その時の為にこの事を言っておかないとと思って。」

私「そうか、それは逆に助かるよ。遠慮なくいってくれ。」

こうしてこの日から、妻の「臭い」の監視が始まったのだった。

最近、男が臭いとか、街中が臭いとか言っている方がおられるようですが、そんな貴方も、朝起きたら口臭いだろうし、アポクリン汗腺のある場所も臭いがあるはず。

そんなネット記事を見た時、武士道の一節「口に出さないで耐える事を学べ」を思い出した。

最終的に妻は口にはしてしまったが、それは私の病気を早く察知する為に言ってくれた事。
耐えていてくれた事に感謝したい。

しかし、妻からは「酒くっさ」とよく言われているから、よくよく考えてみればネット記事の話と同じ構図なんだよね。
未だ耐えていてくれる事に謝りたい。

本当に俺は変われるのか。

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