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ゼロワン Others 感想

仮面ライダーゼロワン、そして劇場版であるREAL×TIMEに続くVシネマである「ゼロワン Others 仮面ライダー滅亡迅雷」「ゼロワン Others 仮面ライダーバルカン&バルキリー」の感想を書く。

この2つの作品は、ゼロワンの総括ともいえる劇場版「REAL×TIME」のさらなる続編で、ここまでの物語の主演を務めていた飛電或人ではなく、サブキャラクターたちがメインで話が進んでいく。まさに「ゼロワン Others」の物語なのだ。

まず最初に公開されたのが「仮面ライダー滅亡迅雷」で次に公開されたのが「仮面ライダーバルカン&バルキリー」だ。別々に公開された作品ではあるが、この2作は完全に続いている。

「仮面ライダー滅亡迅雷」のラストを見た時の衝撃はすごかったし、「これは今すぐ続きを見なければ」と思ったのだが、当時劇場に見に行った方は1作目の「仮面ライダー滅亡迅雷」が公開してから約5ヶ月間待って「仮面ライダーバルカン&バルキリー」を劇場で見ているという計算になる。5ヶ月の間、続きが分からず「どうなるのか?」という感情を抱えたまま映画の公開を待たされていたと思うと、ゼロワンファンにとっては非常にキツかったのではないかと思った。

この作品を見る前に聞いていた評判としては、「なぜこんなことになったのか」「暗い」などの話をよく聞いていたので、どれほど暗い展開なのだろうか?もしや、この作品を見たら残念な気持ちになってしまうのか?と気がかりだった。しかし、実際見てみると、明るさのある話ではなかったが、基本的には腑に落ちる展開だったし、好きな作品になった。

滅亡迅雷.netが破壊されるのは、決して蛇足ではなかったと思う。

ヒューマギアであり心などいらないと言い続けた滅、そして迅や雷、亡が飛電或人やその他の人間たちと出会い、心を知ったがゆえに同族であるヒューマギアのソルドたちを救うための手段として、社会にとっての必要悪となり自らを破壊しよう(させよう)とするのは辛い展開ではあった。何より滅亡迅雷.netは魅力的な敵キャラクターだったので尚更だ。

だが、あの物語の進み方では、ああなる未来しかなかっただろうし、彼らならあの道を選ぶだろうと、ここまでの積み重ねからそう感じた。

それに、滅亡迅雷.netの活動目的が、今は再びアークが生まれないように世界の悪意を見張り続ける、というものになったが、元々は人類滅亡を目論んでいて、彼らによって傷つけられた者たちが数多く存在するのもまた事実だ。

不破諌は彼ら4人の覚悟を受け取り、自らも決死の覚悟で戦いに挑んだ。

ショットライザーが破壊された時には「どうするんだ?」と思ったが、その後イズを通じ或人と通信をしたことで新たな答えを導き出し、ゼロワンドライバーを使って新フォームに変身した。この展開はかなりの力技だが、この後のゼロワン世界の荒れっぷりを思うとこの程度の力技を使っての展開はご愛嬌だ。

ただ、不破諌の死に関しては、「その必要は無かったのではないか?」と思っている。

これまで色々なVシネマを見てきたが、作品によってテレビシリーズ後の物語になったり、テレビ本編途中の物語だったりと様々だ。正直なところ、Vシネマに関してはストーリーの緻密さうんぬんかんぬんよりも、1年を通して戦い続けてきたキャラクターたちがカッコよく戦って幸せでいてくれたらオールOK!!と思っている。

なので、ゼロワン Othersの展開はかなりビターだと感じた。

やっぱり、不破さんには元気に仮面ライダーを続けてほしかった。不破諌の死、それだけがこの物語の中で心に引っかかったことだった。

あともう1つ、心に引っかかった、というわけではないのだが、心配なキャラがいる。それは飛電或人のことだ。

或人はこの物語の間、飛電インテリジェンスの仕事関係で宇宙に行っていて、ほぼ劇中に登場しない。彼が日本に帰ってきてから滅亡迅雷.netの破壊や不破諌の死を知ったらものすごくショックを受けるだろうし、立ち直れるのだろうか?と、或人のことがとにかく気になる。

Vシネマ以降のゼロワン世界のことを考えると、ゲンムズやアウトサイダーズのお陰でもはや何でもありの世界になっている。

この辺りはきちんと追えていないので細かいことはわからないが、滅が復活を遂げていたり、ゼロスリーという新しい仮面ライダーが出てきたり、檀黎斗がヒューマギアから人間になったらしい。

このような世界になっているのならば、滅が復活したという事実から考えても、おそらく滅亡迅雷.netの復活は可能だろうし、創世の女神が祈れば不破諌だって理論上は復活できてしまう。

本当になんでもありなんだと思わされる、そんな世界になってしまった。

ということで、Vシネ後の世界のことは、今は考えないようにする。

Vシネマは暗い展開だったので、正直なところ滅亡迅雷.netメンバーのささやかな日常とか、不破諌と刃唯阿、そして天津垓が互いに文句を言い合いながらも仲良く過ごす日常とか、そんな姿が見たかった!!なんて思ったが、ゼロワン Othersの大部分のストーリーにおいては、これはこれでよかった思うし、今となってはカオスとなったゼロワン世界で新たな「仮面ライダーゼロワン」の物語を作るのは、それこそ蛇足になってしまうかもしれない。

ゼロワンの物語は人間とヒューマギアの対立と共存は可能なのか?ということが描かれてきた。

人間と人工知能の共存については、ゼロワンの物語に留まらず、現実世界でも大きな問題になっている。

そんな問題を扱ってきた「仮面ライダーゼロワン」の物語は、ゼロワン Othersで一旦終幕を迎えたと考えている。

おそらくこの問題は簡単に答えるの出る話ではないだろう。

ゼロワン Othersの結末はビターなものであった。だが、それだけで終わるのではなく、この出来事を受け止め、人間とヒューマギア(人工知能)の共存という問題を白黒はっきりさせるのではなく、向き合い続けるという姿勢が示されたことが1番の救いだったし、現実世界を生きる自分たちにとっても大切なことを考えさせられる、そんな物語だった。

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